映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

ワタシの映画遍歴〜後編・荻窪の1Rでアンドロイドの夢を見る〜【映画周辺の雑記】

自己紹介を兼ねた映画遍歴、後半です。(前半はこちら

仕事に邁進していた30代前半、同時に自分の限界を感じて悶々としはじめます。体力、瞬発力、コミュ力…この職業に必要な要素がどれも少しづつ足りないことを自覚。「小生意気な若手女子」という下駄もとうに履けないお年頃です。この頃よく寝落ちするまで観ていたのが寿命の短いレプリカントのお話「ブレードランナー」、36歳で亡くなったマリリン・モンローの「お熱いのがお好き」「紳士は金髪がお好き」などでした。荻窪の狭い部屋で一人、繰り返し同じ映画ばかりをただ目にチカチカと映しながら眠りにつく日々。そして青春の終わりを悟ります。

マリリンのように散れなかった36歳、小さな会社を興し新宿に事務所を構えます。同じ業界でこれまでの仕事も生かせる業務。望んだような才能はなかったけれど、いま手に持っているもので食べていこう…。たった6畳のワンルームでしたが一国一城の主です。「プラダを着た悪魔」は気合を入れるにはもってこいの作品でした。

仕事帰りに寄った映画館はバルト9(ここは今もある)。正社員として1年がんばってもらった人と一緒に観たのは「世界侵略: ロサンゼルス決戦」でした。高島屋の上にあったテアトルタイムズスクエアも良い映画館だったなあ(閉館)。「イントゥ・ザ・ワイルド」(2007年)やマイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」(2009年)をここで。

この頃腐れ縁の彼がおりまして、(一方的に)結婚したかったのですが上手くいかず、見かねたバイトさんに「そんな彼なら捨てちゃえば?」(2009)を勧められるも結局未見。思えばこの頃のワタクシは「アデルの恋の物語」のイザベル・アジャーニのごとき様相だったと思います(怖えよ)。

そんな諸々の後40代半ばで突如長年会っていなかった昔の知り合いと結婚。夫は映画に詳しい人ではありませんがDVDのパッケージを観て「良い作品」を見分ける特殊能力があり、「ウィッチ」(2017年アメリカ)、「シグナル」(2014)、「草原の実験」(2015)など面白い作品を選んでくれました。そう、恥ずかしながらここで初めて「自分では決して選ばない映画を付き合いで観たら面白かった」という体験をしたんです。いや〜幾つになっても世界って広がるもんですね。

しかし充実した映画生活とは裏腹に会社は行き詰まりワタシ自身も鬱状態に。ついに会社を知人に譲りしばし雇われ社長をやったあと、フリーランスに戻ります。同時進行で義父の死去、実父の介護、コロナ禍などが押し寄せたため、今はあれほど嫌いだった地元に戻り、立川の40年前にはまだなかった映画館に足を運ぶ他、Netflixとアマプラで映画生活を送っています。黒沢清のVシネ「蛇の道」「蜘蛛の瞳」、意外な展開を見せるクライム作品「夜を走る」などは配信でないと出会えなかった作品でしょう。そうそう、Netflixの「ボクたちはみんな大人になれなかった」は主人公と同じ年代で同じテレビ業界の裏方という仕事がら、他人とは思えない気持ちで観ましたよ。

40年ぼんやりとスクリーンを見つめている間に時代は変わりました。「ジェミニYとS」の製作総指揮者ジャニー喜多川はその蛮行を問われ、多くのミニシアターはなくなり、アニメは子供のものではなくなりました。(スラムダンク感動した!)

「人生なんて映画で変わる」。これは昔、車内広告で見かけた映画専門チャンネルのコピーです。確かにそうだけどそうでもない。妙に心に残ったこのコピーをもじってブログのタイトルにさせてもらいました。映画ごときで人生は変わらない。でも映画ごときで変わるような軽やかな人生はきっと素晴らしいと思います。

ワタシはこれからも映画を観続けるでしょう。そして感じたこと、面白いと思った箇所、なぜおすすめしたいのか…頼まれてもないのに感想を書き続けます。好きだからです。そんなわけで拙い映画紹介文…ってか紹介にもなっていない記事ばかりで恐縮ですが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします〜。