映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【イントゥ・ザ・ワイルド】ネタバレ感想/主人公と共にあてのない旅に出る


イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

基本情報

公開:2008年

監督:ショーン・ペン

脚本:ショーン・ペン

キャスト:エミール・ハーシュ(クリストファー・マッキャンドレス)

ジェナ・マローン(カリーン・マッキャンドレス        )マーシャ・ゲイ・ハーデン(ビリー・マッキャンドレス)ウィリアム・ハート(ウォルト・マッキャンドレス)

上映時間:148分

あらすじ

<以下、DVD紹介文より引用>

1990年夏、大学を優秀な成績で卒業したクリストファー・マッカンドレスは、ハーバードのロースクールへの進学も決まり、将来を有望視された22歳の若者だった。ところがある日、周囲に何も告げることなく全てを捨て、彼は姿をくらました。これがクリスの“真実を探す”壮大な旅の始まりだった。最終目的地は、アラスカ。

ゴールデンウィーク、みなさまいかがお過ごしでしょうか?ワタクシは昨日夫を誘ってハイキングに行ってきました。田舎から田舎に移動しただけと言えましょうが、新緑がまばゆい折、楽しゅうございました。さて、もともとワタクシは映画館はむろんのこと、吉野家からオーセンティックなバー(おほほ…)までほぼ一人で出かける人間です。昨日は明らかに運動不足の夫を連れ出しましたが、次は一人で行ってみよう…とぼんやり思いまして。ハイキングといえど山は山。一人となると遭難した際のことも考えとかないとね、と思い出したのがこの映画です。いや、そこらの低山と「イントゥ・ザ・ワイルド」の荒野を一緒にすんなよって感じですが。

では感想です。

ネタバレあらすじと感想

最後までのあらすじ

ネタバレ…と言ってもたぶんバラして差し支えないと思いますが、最後に主人公、死にます。これ実話です。アラスカで亡くなった青年がつけていた日記を元に、ジャーナリストがその足取りをまとめたノンフィクション「荒野へ」が原作です。これにいたく感動したショーン・ペンがメガホンをとった、と。

大学卒業まで「いい子ちゃん」だったクリストファー。しかし現代の消費社会、物質社会に嫌気が差し、家出。IDをメタメタに切り裂いて(アメリカ映画見てるとID=身分証がないと何もできないと思ってしまうのでこれは衝撃でした)捨て、文字通り「荒野へ」と向かいます。そこで知り合った同じような世捨て人のじいさんと仲良くなって「養子にならんか」などと言われますが、「まずはアラスカに行きたいんだ。帰ってから考える」と去ります。そしてアラスカに廃バスを見つけ、本当に一人ぼっちの自給自足生活をはじめます。とはいえ、サバイバル能力もないトーシローですから行き詰まって街に降りようとします。しかし川が増水して渡れない。最後は毒のある野草を食べてしまい衰弱。「幸福が現実となるのはそれを誰かと分かち合った時だ」と日記に書き込んで亡くなるのでした。

「どう感じたらいいかわからない」のは何故なのか?

さて当時この映画を見た知人、一言「バカじゃん?」。…うん、まあその意見もわかりますが。ええとこのボンボンが出来もしない現実逃避をし、あげく後悔しながら死んでいくわけですから。正直ワタシも思いました。おかしな言い方ですが「これは…どう感じたらいいんだ?」と。どう感じようと観た者の勝手でいいはずなんですが、現代の多くのエンタメ作品というのは「さあ泣いて!」「さあ笑って!」「さあ感動して!」とこちらの感情の落としどころを決めてくれています。この作品にはそれがないので「どう感じたらいいかわからなくて」あたふたするのです。いやあ、この構図こそが主人公クリストファーが命がけで私たちに教えてくれた「消費社会」と「そこから逃れた時の状態」なんですよね。

さすがですわ、ショーン・ペン。「彼に憧れたり逆にバカにしたりしてるだろうけどお前らみんな同じだろ?」と現実を叩きつけているのです。

劇場で観たのですからもう15年も前になりますが、今でもクリストファーと共に旅したあの美しくも厳しいアラスカの自然と、彼が亡くなった後のどうにも言い表せないモヤモヤとした感情が記憶の隅に残っています。そうそう、映像もとても美しい名作ですので、ぜひ!

人生変わった度

★★★★★

逃げるのも勇気

2023年5月現在、残念ながら配信で観られるところはないようです(ごめんちゃい)

DVDはこちら


イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

ベストセラーになった原作「荒野へ」(ノンフィクション)はこちら。中古でかなり安く手に入ります。