基本情報
原作・脚本・監督:井上雄彦
キャスト:仲村宗悟(宮城リョータ)・笠間淳(三井寿)・神尾晋一郎(流川楓)
木村昴(桜木花道)・三宅健太(赤木剛憲)
上映時間:124分
ABOUT SLAM DUNK
<以下、公式サイトより引用>
週刊少年ジャンプ(集英社)1990年42号から1996年27号まで連載された、井上雄彦による少年漫画。高校バスケを題材に選手たちの人間的成長を描き、国内におけるシリーズ累計発行部数は1億2000万部以上。その影響からバスケを始める少年少女が続出し、テレビアニメ(1993年10月~1996年3月)やゲームなども製作された。2006年、若いバスケットボール選手を支援するための「スラムダンク奨学金」が設立される。2018年、全カバーイラスト描き下ろし、物語の節目ごとに巻を区切り直した新装再編版(全20巻)刊行。2020年、イラスト集『PLUS / SLAM DUNK ILLUSTRATIONS 2』刊行、連載開始から30周年を迎えた。
ワタシの「知らない度」はこのくらい
最近はあまり言わないのかも知れませんが、私(アラフィフ)くらいの年代以上にとって「教養がない」というのはなかなかに恥ずかしいことであります。自分的にも教養がなくて恥ずかしいわあ…と思うのは世界的カルチャーである有名少年漫画をいっさい読んだことがないこと。恥ずかしいならなぜ読まない?と問われれば「いまさら追いつけないからもういい」という高2で理系を諦めた時と同じ言い訳をかまさせていただきます。
さて、もちろん「スラムダンク」も知らない漫画の一つです。漫画もアニメも触れたことがありません。しかしあまりに有名なのでちょこっとだけは知っています。
事前に知っていることを並べてみました。
①バスケの漫画である
②原作者はバガボンドも描いているとても画が上手い人
③バスケ強豪校の秋田県立能代工業高校がモデルだ
④そのわりに「聖地」とされているのが鎌倉の踏切
⑤「諦めたらそこで試合終了です」という台詞は知っているが誰の台詞かは知らん
並べてみるとわりと良く知ってるじゃん…。そんなワタシが「THE FIRST SLAM DUNK」を観に行くきっかけは同じくスラムダンクを全く知らない夫に誘われたからです。それと「THE FIRST」というのは、「はじめてのスラムダンク」という意味で「初めてスラムダンクに触れる人でも楽しめるよ!」という意味でもある、とどっかで読んだのが大きいっす。③〜⑤の疑問も解消されるといいな、と思いつつ。
〜映画館に向かう道中、夫と車中でかわした会話〜
「観た人はだいたい面白かったとか感動したって言ってるよね」
「みたいね」
「でも原作の漫画家が監督したんだって?専門外じゃん不安だよ」
「うん、脚本もその原作者の井上さんみたいだしね。漫画家だからって脚本が上手いとは限らないじゃん?」
「不安〜」
「不安〜」
〜以下、あまりにも何も知らないので話すこと無し〜
てな感じだったのです。で、結果どうだったかというと。
引くほど感動しました、ハイ。
原作者だからと言って漫画家が映画の脚本も監督もするなんて専門外じゃん不安だよ、などと言って本当に申し訳ありません!!以下、ざっくりと映画の流れとワタシの感情の流れを説明しましょう。
あらすじと感想
前半の泣きポイントはリョータの過去
あ、タイトルに「ネタバレ」と書きましたが、ふつうの人がどの程度スラムダンクのことを知っているのか全くわからないので一応つけさせていただいた次第です。ちなみに公式サイトにもパンフレットにも「ストーリー」は載っていませんでしたが、簡単に書くと、『インターハイの二回戦(?)で強豪の山王工業高校と対戦した湘北高校。その試合の様子の合間に選手たちがどうしてバスケを始めたのか、なぜ勝たなくてはならないのか、その背景がカットバックされる。主にスポットが当たるのは宮城リョータ。命運を賭けた試合の行方は…?!』という感じ。
観はじめて早々に「原作者はとても画が上手い人」の認識が間違っていなかったことを確認。描いた線が人になり人がキャラクターになり動き出すオープニング、アガります。The Birthdayの主題歌LOVE ROCKETSのドリブルのようなベースの音がピッタリ。
続いて③④の疑問が解決。嬉しい。
能代工業=山王工業が主役だと思ってたけど違うんですね、湘北高校なんですね。そんで湘南にある高校だから例の踏切が聖地なんですね…。
とほっとしたのも束の間、主人公が父と兄を相次いで亡くすという過酷過ぎる幼少時代が描かれ、ここでまずちょっと泣きそうになります。
(えっと、スラムダンクを知っている人にとっては主人公は別の人かも知れませんが、ワタシにとっては宮城リョータが主人公です。)
ソータ(リョータの兄)が亡くなったことを受け入れられない母親と弟。リョータがソータの部屋で仮面をかぶり、それを母親がはがそうとして格闘するシーン、すごいですね。
ちょっと気になって「仮面」の意味を小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)から一部引用すると…
仮面をかぶることにより、人は自己であると同時に自分以外の別の存在ともなるので、自己と自己以外のものとの重複がおこり、両者の交流が仮面によって可能になる。
そう、このシーンでリョータは自ら仮面をつけソータになろうとします。母親はその仮面を外そうとする。しかし別の場面では母親がリョータに「ソータになって欲しい」という気持ちを押し付けているのです。母と息子は「ソータの死」というあまりに重すぎる出来事を一緒に抱えたり時には押し付けあったりしながら必死に生きてきたのですね…(涙ドバ)
息を止めて観よ!怒涛の試合シーン
いろいろあって(話一気に飛びますが)
「諦めたらそこで試合終了です」を確認!嬉しい。
あのおじいちゃん監督のセリフだったんですね〜!そういえば「タプタプ」シーンはどこかで観たことがある気がする。あと桜木花道という赤い髪の人がギャグ担当ということはわかりました。
んでさらにいろいろあって。
湘北高校の点数が足りない。あと数分(あまり良く覚えていないのですが2分40秒くらい?)で試合終了、このままでは負けてしまう。さあここから逆転できるのか?!というラストまでの一連のシークエンスがすごい。とにかくすごい。観客全員が息を呑む「ゴクリという音」が劇場に響く、こんな体験は初めてしましたよ。
今まで見たスポーツを題材にした映画で「試合シーン」がすごい!とすぐに思い出せる作品もありますが、今回見たTHE FIRST SLAM DUNK の試合シーンはこれを超えるというか、今までに見たスポーツを題材にした映画のシークエンスで一番よかったのでは!?と思うほどすごいと思いました。
ストーリーは終盤、勝つか負けるか最後の1秒、いや1フレームまで分からないというシーソーゲーム。彼らの「戦う意味」「勝たなくてはならない理由」を知っている私たち観客。
そんな爆発寸前の緊張感を見事に表現する画は、実写では追いつけないアニメならではの表現。構図。「無音」という音楽の使い方。
すごい!漫画家監督すごい!いや、全員すごい!
さっきからすごいすごいばかりで説明になっていなくてすみません。
『原作漫画を読んだこともアニメを見たこともないおばさん』という最も遠い属性の人がこれほどの感動するとは。「泣いた」というより「すごいものを体験した」と言うのが合ってます。「フィクションの美しさを再認識した」くらいに言ってもいいです。
まだまだ公開していると思うのでぜひ映画館で観ることをおすすめします。
〜夫と帰りの車中で〜
夫「はわわ〜すごかったねえ」
ワタシ「わわわ〜感動したねえ」
夫「原作だとあの赤髪が主役なんじゃない?」
ワタシ「え〜そうかな?あいつギャグ担当じゃん?主役務まるかねえ?」
んで帰ってTVアニメ版を確認したらまんまと桜木花道が主役でした。これからスラムダンクの漫画やアニメを観るかどうかわかりませんが(夫は28話まで観たらしいがワタシは早々に寝ました)このシリーズ(原作監督脚本・井上雄彦版)が次もあるなら絶対観ます!!返す返す「原作漫画家が監督やるなんて不安」とか言って本当に申し訳ありませんでした!!(土下座!)