基本情報
公開年:1954年
監督:黒澤明
脚本:黒澤明、橋本忍、小国英雄
キャスト:志村喬(島田勘兵衛)三船敏郎(菊千代)木村功(岡本勝四郎)稲葉義男(片山五郎兵衛)加東大介(七郎次)千秋実(林田平八)宮口精二(久蔵)/高堂国典(儀作)土屋嘉男(利吉)小杉義男(茂助)藤原釜足(万造)左卜全(与平)
上映時間:207分
あらすじ
<以下アマゾンプライムビデオ紹介文より引用>
戦国時代、野武士達の襲撃に恐れおののく村があった。村人達はその対策として、用心棒として侍を雇う事にする。侍さがしは難航するが、才徳にすぐれた勘兵衛を始めとする個性豊かな七人の侍が決まった。最初は侍を恐れる村人達だったが、いつしか一致団結して戦いに挑むことに。しかし戦闘は熾烈を極めた・・・・・・。
ちなみにwikiにはもっと詳しいあらすじ載っています!
感想
先日NHKBSで放映しておりまししてね、「七人の侍」。このタイミングで書こうと思ったもののあまりに名作かつ大作過ぎて多くを語られてもいるのでどこを切り取ったらいいのか分からん!…ので、まだ観たことのない方に向けようかなと。
まず単純にここまで有名な大作&名作になると「観ておかないといけない」という気持ちが先行して「本当に面白いのか…?説教なんじゃないか…?」と不安になると思いますが、安心してください。ほんとに面白いです。ただただ面白いです。
そんでこう思うわけです。「はあ〜まだ観たことない人が羨ましいぜ!」と。その理由は“あの驚き”を味わえるから。感動や面白さは何回観ても味わえますが、「驚き」というのは初見だけのもの。初めて観た時なんつーか「うわ、びっくりした!!」って感じだったんですよ。
まず、驚くのが登場人物の汚さ。時代劇というとテレビの「水戸黄門」とか「必殺仕事人」あたりを浮かべる方も多いと思うんですが…あと最近だとアニメか。時代は異なりますが「るろう」とか?どれも侍はシュッとしててカッコいいし衣装も綺麗です。
これに対し黒澤明監督、時代劇を撮るに当たって一番重視したのが「リアルさ」だったとか。「これまでの時代劇のカツラは大嘘だから」と床山さんに無理を注文。生え際は薄く、髷は貧相にと頼んだそう。そりゃあ髪が豊かな若い方以外はそんなもんだろて。そんなわけでカッチョいいハズの侍たちも若侍の木村功以外まあまあの汚さ。さらに百姓たちの貧相な小汚さといったら!ちょっと前の日本人ってこんなだったんだろうなあという感じ。衣装の汚しはもちろんなんですが、見事にみんな「絶妙にしょぼくれてて善人にも悪人にも見える」イイ顔の持ち主なんですよね。70年後の今探してもなかなかこういう顔のおじさんは見当たらないのではないでしょうか。特に与平役の左卜全さん。奇人すぎて時に撮影現場を混乱させることもあったという問題児(面白すぎな逸話が沢山ありますが長くなるので割愛)、左卜全氏を黒澤監督はとても大切にしていたと言いますから、やっぱり「顔のイイ役者に代わりはいない」と思っていたんでしょうね。
そしてもう一つびっくりするのはあの有名な「雨の決戦」シーン。
監督も役者もどこに行っても「あのシーン、大変だったでしょう?」と聞かれるそうですが、それもよく分かります。前日に大雪が降り、その雪をぐちゃぐちゃにし、さらに雨を降らせたので膝まで泥に浸かりながらの撮影。ずっと現場に立ち続けた黒澤監督は足の爪先が凍傷になり、亡くなるまで真っ黒だったそうです。ストーリーの中の「命懸けの戦い」の上に観客はさらに「撮影もまた命懸けだったんろうな」という想像が出来てしまうので訳のわからない感動が生まれるんですよね。大自然を観て得る感動とはまた違った「ヒトが創った物ならでは」の面白さが存分に詰まったシーンです。これ観て「映画って面白い」と思わなければその人は映画鑑賞に向いてないと思ってイイです!!(言い切った!)
他にも若侍と百姓の娘の儚い恋だとか、侍になりたかった菊千代の切なさとか、結局勝つのは地べたを這いずって暮らす者だけなのじゃよ(涙)などなど…見所は数え切れないので、また衝動的に追記するかもです!
※上記のいくつかのエピソードは妻を野武士に拐われた利吉役の土屋嘉男さんの回想録「クロサワさーん!」より。半世紀に渡る黒澤明監督との交流を描いていますが、やはり「七人の侍」のエピソード多め。大変な撮影だったことが伺えます。面白くて愛あふれる珠玉のエッセイですので興味のある方はぜひ!
2023年に発売された4Kリマスター版。セリフが聞き取りやすくなっているそうで、買おうかどうしようかずっと迷っている一枚。
アマプラでも観られます!レンタルHD(高画質)で400円〜
過去紹介の黒澤明作品。もちろんこちらもおすすめ。