映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【九十歳。何がめでたい】評価と感想/楽しくてちょっとホロリ…。観たらきっとおもしろババアを目指したくなる!?

基本情報

公開年:2024年

監督:前田哲

脚本:大島里美

キャスト:草笛光子(佐藤愛子)唐沢寿明(吉川真也)藤間爽子(杉山桃子)真矢ミキ(杉山響子)木村多江(吉川麻理子)

上映時間:99分

あらすじ

<以下、公式サイトより引用>

断筆宣言をした90歳の作家・佐藤愛子(草笛光子)は、新聞やテレビをぼうっと眺める鬱々とした日々を過ごしていた。同じ家の2階に暮らす娘・響子(真矢ミキ)や孫・桃子(藤間爽子)には、愛子の孤独な気持ちは伝わらない。

同じ頃、大手出版社に勤める中年編集者・吉川真也(唐沢寿明)は、昭和気質なコミュニケーションがパワハラ、セクハラだと問題となり、謹慎処分に、妻や娘にも愛想を尽かされ、仕事にプライベートに悶々とする日々。

そんなある日、吉川の所属する編集部では愛子の連載エッセイ企画が持ち上がり、吉川が愛子を口説き落として、晴れて担当編集に!

このふたりの出会いが、新たな人生を切り開く――?!

評価

99分という尺の割に長く感じるところもありましたが…全体としては面白かったです。

いえね、ここんところホラーだのスリラーだのばかり観てて陰鬱な気分になってたもんですから。6月末まで有効の東宝の株主優待を使って「笑えて楽しい作品」を観ようかなと思い、今TOHOシネマズで公開している中から選んだのがこれ。予想通り、ちょびっと笑えてちょびっと泣ける楽しい作品でした。脚本にも少々のひねりがありつつ、ついていけないほどのひねりではない。シニア層にも優しい映画です。テレビでやっていたら流し見するのにちょうど良いかと(褒めてますよ?)。

では以下感想です〜

感想

エッセイをどうやって映画に?!

原作はシリーズ累計180万部突破のベストセラーだそうですが…すんません、読んでません。話題になったのは知っていますが、何にしろババアの日常を描いたエッセイ、どうやって映画にしたのかな?という所には興味がありました。この手の失敗作(って失礼ですけど)には「佐賀のがばいばあちゃん」がありまして。原作はお腹を抱える面白さだったんですが、映画のほうはまず吉行和子さんが「ばあちゃん」に見えないところから始まり、原作に書かれたエピソードをそのまま映像にして積むという方法だったもんで最後まで観られなかった記憶があります(悪口ゴメンね)。

さて、本作、まず佐藤愛子役の草笛光子さんが原作通りの90歳。佐藤愛子先生は「私はあんなに美しくない」と語ったそうですが、なんのなんの。写真で拝見する姿は大変お美しい。つまり佐藤愛子=草笛光子がばっちりハマっているのです。

ストーリーは、エッセイそのものを描くのではなく「断筆宣言をした九十歳の作家がなぜエッセイを書くはめになったのか?」を描きます。もう一人の主役は彼女にエッセイを書かせる編集者・吉川(唐沢寿明)。時代についていけず左遷された、無駄に熱い50代です。(この人物はおそらく創作です)。吉川にも家族を巡るドラマがあり、愛子がつむぐエッセイとの出会いによって人間関係が変わっていきます。エッセイを原作にしつつ、それが生まれるまでのドラマ、そして出来上がった本が読者の人生を変えていく様を描く…。とても良くできてるなあ、と思いましたよ。

目指せ!おもしろババア

さて、本がベストセラーになり、時の人となった愛子。インタビューでは「何を言ってもウケる」愛子無双状態です。例えば、「先生、今の世の中に言いたいことを一言でお願いします。」愛子「…何もないッ!」。これだけでドッとウケる。これ、「本の中では世の中に怒ってばかりいるバアさん」が、「…ないッ!(怒)」と言い切るから生まれる裏切りの笑いですが、元気な90歳が大きな声で歯切れ良く喋るから笑えるんですよね。ヨボヨボのバアさんでは笑えません。元気な人=笑っても良い人なのです。

映画の冒頭では、断筆宣言をした後の愛子が朝ベッドから起きるだけでハアハアと息をあげ、テレビの音量をやたらあげては娘に叱られ、「楽しいことなんて何もない」とボヤく。

それがエッセイを書き始めてから生き生きとしはじめるのです。さらに本が売れると周囲の扱いも変わる。用済みのバアさんから大切な先生になるわけです。するとこれまでと同じことを言っても「誰も相手にしない」から「爆笑をかっさらう」になるわけです(これも世の皮肉ですね〜)。

最後、吉川が「自分、いいジイさんになれますかね?」と聞くと愛子先生は「いいジイさんになんかならなくていい。面白いジイさんになれ」と励まします。

観ていたワタシも「どうせバアさんになるならおもしろいバアさんになろう、そのために必要なのは健康だ!!」と気持ちを新たにしましたよ〜。まあ、健康健康と言い出すところがすでにババアなんすけどね。

人生変わった度

★★★

ちょい役で有名人がたくさん出ていて楽しいです。三谷幸喜さんかな?と思ったらそれは三谷幸喜さんです!

公式サイト貼っておきます!

movies.shochiku.co.jp

原作、佐藤愛子「九十歳。何がめでたい」。

映画の中に、「幼稚園がうるさいと建設反対運動が起きている」という新聞記事をネタに「子供の声や雑踏の音は素晴らしいもの」と書き、最後は「戦時中、空襲警報が鳴ると街が静まり返った。あの静寂の恐ろしさを知っている人間からしたら…」と締めるエピソードが出てきます。このエピソードだけでも大正・昭和・平成と生きた人生の豊かさと深さが見えますね〜。

もう一つ、今の感覚だと雑な飼い方に見える犬のエピソードも、「でも愛情の深さは変わらない」と思わせてくれて涙。