映画館によく行かれる方ならお気づきだと思いますが、数年前から、古い映画を映画館でリバイバル上演することが多くなりました。最近だと、ウォン・カーウェイ作品、ローマの休日、さらば、我が愛/覇王別姫などなど。んでいずれも「4Kレストア」とか「4Kリマスター」とか書いてある。
たぶん綺麗になってるんだろうな〜、くらいのことしか知識がなかったんで4Kレストアについてちょっと調べてみました。
4Kレストア/リマスターとは、「主にフィルムで撮影された映画を、4Kクオリティでスキャンしデジタルデータに変換して修復する作業のこと」とのことで、うん、そうだろうなという感じですが、「一体どうやって?」という疑問は残ります。んで調べてみたのですが、理系を破棄したワタシのアタマには技術的なことがちと難しすぎて分からない。
ただ理解できたことは、
・そもそもフィルムというものは映写機にかければ傷はできるし、かといって缶に入れたままでも気温や湿気で劣化するという非常にやっかいなもの。その上燃えやすい。
・そんなフィルムで撮った古い映画は歴史的名画でさえボロボロになっている。
・それを4Kクオリティでスキャンして取り込みデジタル化。
・デジタル化した映像を1コマづつ人間が目視でチェック。ゴミや傷を取り除いていく。ちなみに1秒に24コマあります。1分だと1440コマ。これを120分ぶん、編集室にこもってやっている人がいるのか…(白目で失神)
・監督やカメラマンが健在の場合は彼らが監修する
そうなんですよ、まさかの手作業。レストアとは「修復」のこと。確かに古い価値ある美術品の修復は専門家が恐るべき忍耐力でもって少しづつ修復しているイメージがあります。映画という芸術が誕生してから130年あまり。古い映画もまた「骨董品」の域に入ったということでしょう。
さて、修復作業を解説した記事の中でワタシ的に一番心にヒットしたのは次の文章です。
【樋口真嗣の地獄の怪光線】フィルム映画はこうしてキレイに生まれ変わる! ~東京現像所潜入レポ・ファイナル - AV Watch より引用
清水:「用心棒」の三十郎がずたぼろの格好で逃げる場面。夜なのに昼間みたいな照明になっていて、当初は方々から「明る過ぎるのではないか」との指摘を受けました。でも小森が当時の文献や台本を調べたところ、“昼間のような月光の中、三十郎が逃げる”との一文を見つけたので、そのままにしています。疑似夜景での撮影ですので当然明るくなる部分はありますし、プリントも実は明るいんです。
樋口:遺跡を復元する考古学者みたいな世界ですね。
映画監督の樋口真嗣氏がレストア作業を行なっている東京現像所さんに行って話を聞くという企画。レストア作業の最後に映像全体のカラー、明るさを整えるのですが、その時「用心棒」の一場面が問題になったのですね。フィルムの劣化で明るくなってしまったのか、意図的に照明をバンバン炊いて撮ったのか今となっては分からない。んで、文献や台本にあたったら、真相がわかったというわけ。
うわあ〜!この仕事してえ!と思ってしまいましたよ。まさに考古学!映画にまつわる仕事というとどうしても制作ばかりが浮かびますが、こういう「保存」「修復」もこれからひとつの大きな分野になっていくのでしょうね。
映画館でかかる「4Kレストア」、気になってはいたので今度観に行ってみようかな、と思います。感想はまたこちらで!
上の引用の記事のほか、こちらも参考にさせていただきました。わかりやすいです!より詳しく知りたい方はどうぞ〜。