基本情報
公開年:2007年
監督:クリス・ヌーナン(他監督作品:「ベイブ」)
キャスト:レニー・ゼルウィガー(ビアトリクス・ポター) ノーマン・ウォーン(ユアン・マクレガー)
上映時間:92分
あらすじ
<以下、DVD「ストーリー」紹介より引用>
1902年、ヴィクトリア朝の英国。上流階級の女性が仕事を持つことなどありえない時代に、ビアトリクス・ポターは大好きな動物たちの絵本を世に出すという夢を実現していく。彼女が描いた「ピーターラビット」の物語は驚異的なベストセラーとなり、やがてビアトリクスは編集者ノーマンと恋に落ちるが身分違いの許されない恋の行方には、思わぬ運命が待っていた…。
感想
泣いた理由「と「コンビニ人間」
ワタクシ、金曜ロードショーを楽しみにしている人間です。ここんとこのラインナップは、と…3/24「ピーターラビット2 バーナバスの誘惑」かあ…..。趣味にはちょっと合わないなあ…なんて思っていたところ、ふとピーターラビットの作者の伝記「ミス・ポター」を映画館で観て涙したことを思い出しまして。
話は変わりますが「コンビニ人間」が芥川賞を獲ったのが2016年。ソースがはっきりしなくて申し訳ないのですが「『コンビニ人間』以降『変な女の人』が世に受け入れられ描きやすくなった」という話を聞いたことがあります。ほんとかなあ??って気もしますが、それまでの創作物で描かれる「変な人」といえば男というのが相場だったようで。(女性だと「不思議ちゃん」「メンヘラ」というまた別のカテゴリーになる)そりゃあ生きにくかったわけだよ、、と自分の半生を振り返って深いため息をついた女性はワタシだけではないはず…。
そう、ワタシが2007年に「ミス・ポター」を観て泣いたのも実はそこなんです。ポターという女性、すんごい変わりもんです。裕福な家の生まれだったから良かったものの、この時代(1900年初頭。ビクトリア朝時代です)結婚もせず絵を描いている。しかもそれを仕事にしようとして出版社に持ち込んでは断られている。「あそこの娘はあたおかだから」などとご近所さんから陰口を言われていてもおかしくないはず。
その上、映画では触れられていなかったと思いますが、ポターはキノコの研究にも没頭していたとか。論文も書きましたが当時は女性は学会にも入れてもらえず、落胆して辞めてしまったのだそう。絵を見れば分かりますがあれだけの観察眼を持つポター、研究者としてもきっと優秀だったんだろうなあ…。
さて、映画は92分と短いもので、悲恋のエピソードだけに絞ってコンパクトにまとめています。ポターは彼女を理解してくれる年下の編集者ノーマンに出逢います。親は「身分が違う」とかなんとか言いますが反対を押し切って婚約。この時ポター39歳。遠距離恋愛だったので手紙のやりとりが主でしたが、だんだんと返事がこなくなります。どうしたんだろう…とやきもきしていたら、ノーマンは重い病気に罹っており、そのままあっけなく亡くなってしまうのです。傷心のポター、湖水地方に移り住み美しい自然に癒されながらピーターラビットの物語を描く…。ってなところで終わります。
現実にはその後、湖水地方のナショナル•トラスト活動を一緒に行ってくれた弁護士と結婚。(この時46歳)その夫に財産を託し77歳で生涯を終えています。
裕福な家のお嬢様で身なりもきちんとしているし、演じるのはほんわかした雰囲気のレニー・ゼルウィガーだし、乱暴なセリフもないしで一見そうは見えませんが、ポターという女性、女はええとこに嫁いで子供生んでナンボという時代にかなり破天荒です。好きなことだけに一直線という生き方は、今よりずっとしんどいことも多かったろうなあ…なんて勝手に想像してぐずぐずと泣いてしまいましたよ…。
「ミス・ポター」アマゾンプライムビデオでは配信してない、とな…。
映画ピーターラビットはこちら。(ずいぶんワルイうさぎになってるっぽいぞ)「ピーターラビット2/バーナバスの誘惑」の前作にあたります。
昨年刊行されて話題になった川上未映子さんによる新訳「ピーターラビット」シリーズ。まずはこの一冊から。
やっぱ翻訳は石井桃子先生でしょ!という方にはこんな素敵な24冊セットも。うっ…欲しい…!小さなお子さんへのプレゼントによさそうです。
ちなみにワタシは姪っ子が年長さんの時にピーターラビット本のセットをあげました。その後すくすくと本と絵が好きな子に育ち、まあまあレベルの高い高校に入りました!(自慢じゃ!!)