基本情報
公開年:1985年
監督:ロバート・ゼメキス
キャスト:マーティ・マクフライ…マイケル・J・フォックス
ドク…クリストファー・ロイド
ビフ・タネン…トーマス・F・ウィルソン
ロレイン・マクフライ(マーティの母親)…リー・トンプソン
ジョージ・ダグラス・マクフライ(マーティの父親)…クリスピン・グローヴァー
さすがにストーリーは皆さんご存知と思うので省きます。暇に任せて「みんなが好きな映画ランキング」というふわっとしたランキングのサイトを見てみたところ、1位がバック・トゥ・ザ・フューチャーでした。
【人気投票 1~797位】面白い映画ランキング!みんながおすすめする名作映画は? | みんなのランキング
1985年公開の映画が1位ってすごくないですか?
確かに老若男女誰に対しても「面白いよ!」とお薦めできる作品ではあります。
しかしテレビで何度も見たせいか実際初見はいつだったのか、映画館に行ったのかすら覚えておらず、「どうだったっけ?」と昔の段ボール箱をあさっていたらパンフレットが出てきました。ってことは映画館に行ったのですね。
さて、もう一つ今わざわざ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を取り上げようと思った理由はNetflixの「ボクらを作った映画たち」というドキュメンタリーを観たため。
このドキュメンタリー、「懐かしの名作」を取り上げディレクターやプロデューサーなどの裏方にインタビュー、制作の舞台裏を紹介する1話30分ほどの番組です。とても良いのは、歳をとった裏方たちが最後にロケ現場を訪ねるというお決まり。「あの頃はめちゃくちゃで大変だったけど今振り返ると楽しかったよね」的な。プロジェクトXみたいな「アルゴ」(往年の脚本家が出てきてしみじみしますな)みたいな。
50にして何も成し遂げていないワタシも「うんうん、あの頃はよかったねぇ」となぜか一緒にホロリとしてしまうのですわ。
それはともかく。
知っていると楽しい裏話2つとおまけ
せっかくなんでパンフレットと「ボクらを作った映画たち」の中に出てきたおもしろ裏話を少々。
①脚本は劣等生コンビ
そもそもの脚本は監督のロバート・ゼメキスと脚本家のボブ・ゲイルが書いたもの。この2人、南カルフォルニア大学映画科の同期なのだそう。卒業制作で他の学生が眉間に皺を寄せながら「映画とは芸術だ!」とゴダール風のおしゃんてぃな作品を作る中、「やっぱ映画はドキュンバキュンっしょ」と派手なガンアクションだのカーチェイスだのがてんこ盛りの映画を作り、教授に「バカなの?」と言われ落第スレスレの評価をつけられどうにか卒業したというコンビ。卒業後は、脚本を売り込みいくつかの作品を作るけどどれも大コケ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の脚本も黙殺されます。しかしゼメキスが(おそらく雇われて)監督をした「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷」がなぜかヒット。「これでバック・トゥ・ザ・フューチャーが作れる!」と喜んだのだとか。
※なぜかヒットと書きましたが、「ロマンシング・ストーン/秘宝の谷」は午後ローでやってそうな80年代っぽいバカらしさ満載の楽しい映画です。
②マーティはマイケル・J・フォックスではなかった!
まあいろいろあって撮影が始まり6週間後。ラッシュを観た監督、「これは困った…」と頭を抱えます。主役のマーティ、当初からマイケル・J・フォックスの名前も上がっていたのですが、当時マイケルは「ファミリー・タイズ」というテレビドラマに出演していてクソ忙しかったため却下。かわりに「マスク」というヒューマンものに出演して高い評価を得たエリック・ストルツという役者が務めていました。あ、マスクはあの顔が緑のやつじゃないです。ライオン病という顔が肥大化してしまう難病におかされた少年の物語です。
エリック氏、台本を読んで「これは悲しい話だ」と解釈。
曰く。マーティが過去に行っていろいろやらかしたせいで現代の家族の様子が変わってしまう。マーティはすべてを知っているので自分を偽って生きていかなくてはならない。これはSFであると同時に悲劇でもある。
あ〜わからんでもない。確かにそういう話にも受け取れますね。
しかし脚本のゼメキス&ボブは卒業制作にドカンバキュンな映画を撮って「バカなの?」と評価されたコンビです。そんな崇高な話のわけないじゃないですか。
ところがエリックは劇中ずっとハムレットでも演ってるんですか?という辛気臭い顔をしていたそうで。6週間も撮影したのち「やっぱ違う」と前代未聞の主役交代となったのだとか。
双方にとってしんどいことになりましたが、これ監督は役者に「いうてもコメディなんで。」ってちゃんと説明したんですかね。説明しても受け入れてもらえなかったでしょうか?ゼメキス、まだ若手監督だったから舐められたとか?さらに降板は誰がどんな言い方をして伝えたんでしょう?想像するだけで胃がキュッとなりますね…
とはいえ大きなトラブルもなく(降板を伝えられたエリック、ほっとした顔していたという話も…)主役は交代、製作陣は念願のマイケル・J・フォックスを手に入れたわけです。エリックに降板を伝える前にマイケルに打診をしたわけですが、当然はじめに話を通すのは「ファミリー・タイズ」側の人。製作総指揮に「マイケル貸してください〜」と土下座の勢いでお願いすると「ん〜こっちの撮影を優先にしてくれて本人がやるって言うならいいんじゃない?」と言われます。「よっしゃ〜」とマイケル本人を呼び出し「たのんます、この映画に出てください。まずは脚本読んでください」と台本を渡すとマイケル、右手に「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」の台本、左手に「ファミリー・ダイス」の台本を持って重さを確かめ「はい、やります」と即決。
「ファミリー・ダイス」の撮影、過酷だったんでしょうね。「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」の台本、軽かったんでしょう。もうこのエピソードだけで、製作陣がなぜマーティをマイケルにしたかったのかよくわかりますね。軽いんですよ。マイケルのこの軽さサイコーじゃないですか。80年代の空気にぴったりです。ここからマイケルは昼はドラマの撮影、夜は映画の撮影と寝る間もなく働き、今も世界中の人に愛される名作「バック・トゥ•ザ・フィーチャー」が出来上がったわけです。
③デロリアンでなかった可能性も!
この他にもこんな裏話が…
・タイムマシン、当初は冷蔵庫だった
・フォードからマスタングを提供したいという申し出があったが丁重に断りデロリアンになった
・主役がマイケルに交代したことで、マイケルの恋人役も「マイケルより背が高すぎる」と降板させられるもらい事故に…
いや〜思い出すだけで楽しくなる映画だな〜。こんな映画そうそうないんじゃないかしら。また金ローで放映するだろうから、観る前に裏話もちょっと思い出してくださいね〜。
人生変わった度
★
人生にはさほど影響しませんがとっても楽しい気分になれます。
バック・トゥ・ザ・フューチャーはAmazonプライムビデオで見られます。吹き替え版がいいと思うので貼っときますね〜
ブルーレイはこちら。
2と3も面白いよね!3枚合わせて入った25周年アニバーサリーBOXも!