不穏度
70(100を満点として)
生贄としての女
基本情報
公開年:1991年
監督:ジョナサン・デミ(他作品「フィラデルフィア」「レイチェルの結婚」)
キャスト:クラリス … ジョディ・フォスター
ハンニバル・レクター博士 … アンソニー・ホプキンス
クロフォード … スコット・グレン
“バッファロー・ビル” … テッド・レヴィン
上映時間:118分
あらすじ
<以下「羊たちの沈黙」公式サイトより引用>
アカデミー賞主要5部門独占受賞。映画史に刻まれるサイコ・スリラーの金字塔!
女性を誘拐し、皮を剥いで殺害する連続殺人事件の捜査を任命されたFBI訓練生のクラリス。彼女に与えられた任務は9人の患者を惨殺して食べた獄中の天才精神科医レクター博士に協力を求め、心理的な面から犯人に迫ることだった。レクター博士は捜査に協力する代償に、彼女自身の過去を語らせる。息詰まる心理戦の果てに導き出された答えとは──?
考察
橋本環奈現象と名付けてみた
突然の自分語りで恐縮ですが、私は女性にしても背が低いほうです。両親共に背が低いのですが、なぜか母親は私の背の低さを「格好悪い」「恥ずかしい」「牛乳を飲まないからだ」と非難し続けました。「いや、遺伝…」などと口走ろうものなら烈火の如く怒るので何も言い返しませんでしたが、そんなわけで私は10代の頃「チビコンプレックス」の中で育ちました。なんという毒親!…ですが、主題はその話ではありません。そんなチビコンプレックスもりもりの頃に出会った映画です。
という前振りからもお分かりのように、取り上げたいのはクラリス役のジョディ・フォスターの身長の話。検索するとどうやら160センチ前後のようです。一般女性とすると平均的でしょうが、モデル出身も多いハリウッド女優の中では小柄。しかも「意外と」小柄だなという印象を受けます。
澄んだ青い目と意志の強そうな薄い唇。ジョディの顔はとても知的で大人に見えます。
顔だけ見ると体型もなんかシュッとしてそうなイメージ。ところが身体つきは小柄で、ちょっとお尻が大きく決して「シュッと」してないんですよね。どちらかといえば「どんくさい」。少なくても「スタイルいいですね」と言われるタイプではありません。このように初めに顔だけ見た印象→その後全身を見た時に「思ってたのと違う」違和感を持つ。これを「橋本環奈現象」と言います。言います、って言い切りましたが、今思いついただけです。すみません…
クラリスがジョディ・フォスターである理由
何が言いたいかと言うと、「羊たちの沈黙」はそんなジョディ・フォスターの「身体つき」あっての映画だということ。ここで言う身体つきとは、ボディメイクではいかんともし難い骨格のようなものの意味です。よく言われているようにこの作品はサイコスリラーであると同時にフェミニズム映画でもあります。(このあたりの解説は優れたブログなどがたくさんあるので検索してみてください)観客である私たちはクラリスを通してバッファロービルやレクター博士の恐ろしさを体験し不安感を抱きますが、不安感の原因はそれだけではありません。全体を通してクラリスに言いようのない不安を与えるのは「男社会」です。それをたったの1シーンで表現したエレベーターのシーンは有名です。小柄なクラリスが屈強な男たちでいっぱいのエレベーターに乗り込むと、扉が音もなく閉まります。この場所はFBIの中ですから何をされるというわけではないのですが、それでも怖いですね。この怖さを観客はクラリス=ジョディの身体を借りて追体験するのです。小柄でどんくさいジョディの身体つきはこの主題にピッタリなのではないでしょうか?レクター博士は初対面で「十分な栄養をとったため骨格は頑丈だが2世代前まではプアーホワイトだったろ」とクラリスを分析します。原作あるのに当て書きしたんかと思うくらいですわ。
そしてジョディ・フォスターはこの作品でアカデミー主演女優賞を獲得。
役者の身体は物語の入れ物でもあるのですね…ということを再認識した作品でした。あと、いろいろと言い切りましたが映画大好きいち素人の考えなので怒らないでね、チャオ!
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