映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【コンタクト】感想(ネタバレほぼなし)/宇宙は科学と宗教を結ぶのか?


コンタクト [Blu-ray]

基本情報

公開:1997年

監督:ロバート・ゼメキス(他監督作品:バック・トゥ・ザ・フューチャー フォレスト・ガンプ/一期一会)

脚本:マイケル・ゴールデンバーグ

キャスト:ジョディ・フォスター(エリー)マシュー・マコノヒー(パーマー・ジョス)ジョン・ハート(ハデン)ジェームス・ウッズ(キッツ)          

上映時間:150分

あらすじ

子供のころから「なぜ私たちはここにいるのか?私たちは何者なのか?」という疑問の答えを求めていたエリーは天文学者となり、SETI計画で地球外知生命体の信号を受信しする。素数の羅列であるこのメッセージには、乗員を宇宙へ運ぶことのできる宇宙間移動装置=ポッドの設計図が含まれていた。ポッドが建造され、ただ1名の乗務員はエリーを目の敵にしていた天文学者ドラムリンに。しかし発射直前、テロリストによってポッドは破壊される。悲嘆にくれるエリーに以前から資金援助を続けていた謎の資産家ハデンが「装置はもう一基、北海道に建造されている」と明かす。エリーはそのポッドの乗務員となり、宇宙を目指す…

感想

大好きな作品です。同作の魅力は本格的なSFでありながら人間ドラマもしっかり描かれており、様々なテーマが内包されているところです。SFで今見ても古くないってのはいいですよね。難解な素材をエンタメ感たっぷりに料理する、さすがのロバート・ゼメキス監督です。

“科学的に正しい“作品

天文学者でSF作家のカール・セーガン氏が1980年に上梓した「コスモス」。上下巻の分厚い本でしたが子供の頃夢中になって読みました。面白かったですねえ〜。しかし高校で物理に挫折、ただでさえ遠い宇宙がより遠くなったわい…などと思っていたら、最近では「ビッグバンはなかった」だの「時間は存在しない」だの、勉強したあれこれ(いやしてないけど)はなんだったの…ってほど宇宙科学は変化しているようです。

「コンタクト」の原作はカール・セーガンのハードSF。「宇宙人のメッセージが数学の言語である素数」「ワームチューブみたいなとこを抜けて別次元にたどり着く」等かなり科学的に正しいと思われる表現を取り入れています。このあたりの「科学的に正しいSF映画」が2014年のクリストファー・ノーラン作品「インターステラー」あたりにつながっているんでしょうね。

そしてカール・セーガン氏は「コンタクト」にアドバイザーとして加わっていましたが、1996年完成を観ずに亡くなっています。

科学と宗教は対立するのか?

ゴリゴリの硬派なSFでありながら人間ドラマもしっかり描かれている同作。大きなテーマは「科学と宗教の対立」です。終盤、宇宙人からのメッセージをもとに国をあげて作った「移動装置=ポッド」をテロリストが破壊するという大惨事が描かれますが、このテロリストはキリスト教信者。アメリカでは未だ天動説を信じていたり「進化論など間違っている!」と主張するキリスト教信者が多いそうなので、リアリティがありますわな。

話は変わりますが、立花隆著の「宇宙からの帰還」という本があります。これが実に面白くて。宇宙飛行士たちへのインタビュー集なのですが、これを読むと宇宙飛行士が地球に戻った後、敬虔なキリスト教信者になったりスピリチュアル方面にハマったりと科学とは真逆の宗教的、哲学的な世界に没入していくのがわかります。宇宙で彼らの内面に一体何が起きたのか…?!映画でも「宇宙から帰還」したエリーが実際に起こったことを話しますが、それは「科学的でない」と批判されてしまいます。(宇宙に行ったエリーに何が起きたかぜひ映画を観て確かめて下さい〜)最終的には科学的な人間=エリーが、宗教学者=パーマーと愛し合い、それが「科学と宗教の融合」であると実にわかりやすく示唆されます。それにしても最新の宇宙理論とか物理の話を噛み砕いて説明してくれるYouTube番組なんか見ていると、改めて科学と宗教はごく近いところにあるなあ、なんて思います。

こじらせエリーに共感

さて、ワタシがこの映画を好きな理由の一つはジョディ・フォスター演じるエリーのキャラクターによるものです。理屈っぽく頑固で自分の気持ちに正直になれない。特にグッときたのが、宗教学者のパーマー(いかにも遊んでそうなイイ男)が「大好きだった亡き父と同じことを言った」のでちょっと好きになってしまい一夜を共にするシーン。起きたら男はいませんが電話番号とおもちゃのコンパス(?)を残しておいてくれる。ここでですね、エリー、ロマンチックな気分に浸るかと思いきや、あろうことか電話番号を捨てます。あああ〜本当はパーマーのことかなり気に入ったのに!そのくせ、おもちゃのコンパスは後生大事に持っている。その後パーマーとは無事再会するわけですが、一旦こういうことをしないと自分の気持ちに整理がつかないっていうね。こじらせてんな〜わかるな〜ってなりますわ。

いろいろあったエリーですが、最後はスッキリした顔で子供たちに宇宙への夢を語っていて良かったです。

ジョディ・フォスターの魅力については「羊たちの沈黙」でも語ったのでそちらもどぞ〜(下にリンク貼っておきます)

人生変わった度

★★★★★

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