映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【バービー】感想と評価/例の炎上と共に語らざるを得ない内容でした…

 

基本情報

公開年:2023年

監督:グレタ・ガーウィグ

脚本:グレタ・ガーウィグ ノア・バームバック

キャスト:マーゴット・ロビー(バービー)ライアン・ゴズリング(ケン)リー・パールマン(ルース・ハンドラー)ヘレン・ミレン(ナレーター)

上映時間:114分

あらすじ

<以下、公式サイトより引用>

すべてが完璧で今日も明日も明後日も《夢》のような毎日が続くバービーランド! バービーとボーイフレンド? のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン。しかし、ある日突然バービーの身体に異変が! 原因を探るために人間の世界へ行く2人。しかし、そこはバービーランドとはすべて勝手が違う現実の世界、行く先々で大騒動を巻き起こすことに─?!彼女たちにとって完璧とは程遠い人間の世界で知った驚きの〈世界の秘密〉とは? そして彼女が選んだ道とは─?

初日に観てきましたよ、色々な意味で話題の作品「バービー」。いつもの片田舎のイオンシネマ、お盆連休初日とあって客多め。シニア、カップルがちらほら。思ったほど難しくなくて楽しい面白い作品でした。が、どうにもひっかかる点があり、ワタシ的評価は満点を100とすると75点くらい。以下思ったことをつらつらと。

感想

ポリコレ的・フェミニズム的で実に今どきのハリウッド映画っぽいという話を聞いていたので身構えていましたが、正直そのへんのメッセージに気づかなくても楽しい、面白い映画だなと思いましたよ。笑えるシーン、楽しいミュージカル、ポップな音楽、煌びやかなセット。親子連れはいませんでしたがお子様でも楽しめると思います。バービー人形とその歴史やカルチャーについて知らなくても大丈夫(ちょっと分からないとこもありますが)。言っておくと「スキッパー」はバービーの妹です。

さて、ではポリコレ的・フェミニズム的に見ると…?

これ、バービー(女性)の物語であると同時にケン(男性)の物語でもあるんですよね。終盤、「社会が求める『女性性』がいかに女性を苦しめているか?」を語る長台詞があります。あまりに思い当たることが多くちょっと泣いちゃいましたよ。一方「男性性がいかに男性を苦しめているか?」も物語の中で語られます。とはいえセリフとしてちょびっとあるだけ。「男性性」はどちらかといえば笑いに落とされコメディパートを担うんですよね。面白いけど哀しみもあってガハハとは笑えない。ってかよくよく考えると辛い。作品を複雑で奥深いものにしています。さらにマーゴット・ロビー演じる「金髪でスタイルのよい標準的バービー」はこの時代になりアイディンティティを失います。周囲のため、自分のために一生懸命ダイエットに励み美容にお金をかけてきたのに、ルッキズムがどうだこうだとここにきて梯子を外される…そんな現実にいそうな美女を想って胸が痛みます。

…などなど、いまどきの問題が盛りだくさんに入っているわけですが、ポリコレ映画と見るとどうしてもスルーできないのがワーナー公式がやらかしたバーベンハイマー騒動の件。

※2024/1/21追記:wikiにまとまっていました。項目「日本の反応」に炎上について載ってます。

ja.wikipedia.org

 

ワーナー本社からの正式な謝罪はありました。プレス向け文書で。そして来日したグレタ・カーヴィグ監督のコメントは「ワーナー・ブラザースが正式に謝罪をしたことにホッとしています。本当に良かったです」というもの。うーん、やはり日本人から見ると軽い感じはします。監督、それから一緒に来日していたプロデューサーも含めパフォーマンスでもいいからもっと「やらかしたワーナー側に本気で怒っている態度」を示して欲しかった。…って原爆が日本人にとってどれほど重いものなのか、ポリコレ的映画作ってたってやっぱり分からないよね…という事実を見せつけられたというか、アメリカ人は今や他国のことなんか気にしてる余裕ないんだな、ってことが透けて見えちゃったというか。宣伝側のミスで作品とは関係ないし、画像を作ったファンに悪気はないだろうし、切り離して考えたいところですが作品の内容的にどうしても頭をよぎってしまうんですわ。

気になった点 注意!ネタバレしてます!!!

女性性と男性性の話である、と前述しましたが、バービーランドは女性優位の世界。ケンは添え物です。二人はそれが逆転している現実世界に行き、ケンは「男性が主役になれる社会があるんだ!」と感動、バービーランドを男性社会に変えようとします。バービーランドでは大統領もノーベル賞受賞者も工事現場で働く人たちもみんな女性でした。ケンはそれをすべて男性に変えようとします。女性たちを洗脳して「男性に奉仕するのが幸せだわ脳」にするのです。しかし直前にバービーたちが洗脳を解き、男性の「独占欲」をうまく利用して逆転。またいっぺんに女性が優位になる社会に戻ります。この話のブロックの終わりになんとな〜く「これからはどっちが上とかじゃなく、お互いを尊重しあって〜」的なセリフでまとめるのですが(うろおぼえ)、どうも腑に落ちませんでした。多様性を謳うなら「男性に奉仕したい女性」がいても「どんなに嫌われてもマッチョでいたい男性」がいてもいいはずだし、そこはカオスになったバービーランドをしっかり見せて欲しかった。「カオスだけどみんな幸せ」じゃないといけないんじゃないかしら。逆に考えると、この作品の言う「多様性」ってこんなヌルいもんかね?…ってやっぱり「バーベンハイマー」がちらつくのでした…。

…と、微妙なことを書いてしまいましたがあくまでワタシの見方です。映像はとても楽しくポップだし、マーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングのコメディエンヌ・コメディアンぶりはとても良いです。それとエンドロール、面白かった!あの炎上をどう捉えるか?を見定めるためにも映画館に足を運んで損はないと思います!

人生変わった度

ところで公式サイト重すぎやしないかい?

2023/12/29現在、アマプラでレンタル509円〜観られます!

バービー

バービー

  • マーゴット・ロビー
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制作に関わっているマーゴット・ロビーは「プロミシング・ヤング・ウーマン」でも制作に名を連ねています。ポップでかわいい色調に毒、というところが同じ!

kyoroko.com

グレタ・ガーウィグ監督の自伝的作品「レディ・バード」。なんてことない田舎の女子高生のダサめな青春においおい泣きました。かつて17 歳だったすべての大人へ。

レディ・バード (字幕版)

レディ・バード (字幕版)

  • シアーシャ・ローナン
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グレタ・ガーウィグ監督作品、こちらは未見ですが評判いいのでいずれ観ようメモ。

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