基本情報
公開年:2025年
監督&脚本:ジェシー・アイゼンバーグ
キャスト:ジェシー・アイゼンバーグ(デヴィッド) キーラン・カルキン(ベンジー)ウィル・シャープ(ジェームズ)ジェニファー・グレイ(マーシャ)
上映時間: 90分
あらすじ
<以下公式サイトより引用>
ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)は、亡くなった最愛の祖母の遺言で、ポーランドでのツアー旅行に参加する。従兄弟同士でありながら正反対の性格な二人は、時に騒動を起こしながらも、ツアーに参加したユニークな人々との交流、そして祖母に縁あるポーランドの地を巡る中で、40代を迎えた彼ら自身の“生きるシンドさ”に向き合う力を得ていく。
評価
まあ、役者ってのは佇まいが全てなんですが、まさにその「佇まい」で多くを語った「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグが監督&脚本&製作&主演をしている今作。今回もとても役柄に合っていて良かったです!そして従兄弟役のキーラン・カルキンはゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞。あの「ホームアローン」のマコーレ・カルキンの弟だそうで。似ています。
公開2日目で、割と大きめの劇場が7割ほど埋まっていました。90分という短さながら、しんみりとした余韻の残る良い映画でした!途中ボロボロと泣きましたよ、ええ。
では、どのへんが泣けるところだったのか?も含めて以下、感想です〜。なるべくネタバレしないようにしますが、肝心な所を言わざるを得ないので、ネタバレ絶対に嫌という方はここで引き返して下さい!
感想
さて「リアル・ペイン」、どんな映画かといえば、40歳になろうという従兄弟同士の2人の男性米国人が自らのルーツであるポーランドに行き、第二次大戦の負の遺産であるホロコーストを巡るツアーに参加し帰ってくるという、まあただそれだけの映画です。旅行先のひとときを描いていますがロードムービーって感じでもない。
現地でのツアーガイドはオックスフォードで東欧の歴史を学んだ非ユダヤ人男性。参加者はユダヤ人夫婦、ユダヤ人女性、ルワンダのジェノサイドを生き延びてユダヤ教に改宗した男性、そして主役で従兄弟同志の2人は、おばあちゃんが強制収容所の生き残りなので当然ユダヤ人です。
この2人、性格は正反対。ジェシー・アイゼンバーグ演じるデヴィッドは家庭を持って仕事をし、「まっとうな」人生を歩んでいます。積極的に人と接する性格ではありませんが、社会性はちゃんとあります。一方のベンジー(キーラン・カルキン)はどうやらほぼ無職の実家暮らしっぽい。愉快で場を明るくする性格ですが、感情的になりすぎて常識はずれなことをする。そんで、これは映画の芯となる部分なんですが…そんなベンジーは半年前に自殺未遂をしているんです。これをデヴィッドが皆の前で語る夕食のシーンがクライマックス。泣けるところです。ついでに「まっとう」に見えるデヴィッド本人も強迫性障害で薬を飲んでいることが明かされます。
何度も「ペイン」というセリフが出てきますが、明るく見えるベンジーもまともに見えるデヴィッドも、そしてツアーに参加している面々も、本人にしか分からない痛みを抱えている。ホロコースト・ツアーで壮絶な虐殺の現場を見て、つまり先祖の痛みを目の当たりにして、彼らが今、現実で抱えている「痛み」は何かに変わったのか…?よくわかりません。
冒頭とエンディングが「空港で変人を眺めている」ベンジーの顔なんですが、変わったと言えば変わったし、そうでないと思えばそうでないし…。正直、どう解釈してよいか分からない。
ですが、私たち観客も一緒にこのツアーに参加したんですよね。マイダネク(ルブリン強制収容所)に向かう道すがらは一緒に緊張したし、ガス室を正面から捉えたカットには息を呑みました。あと親切にも劇伴がほぼショパンでして、「ポーランドにいる!」って感じしたし。
そう考えると「痛み」が一人一人異なるように、ラストの解釈も皆違っていいんでしょうね。って当たり前すけど。ワタシは「ベンジーは何も変わっちゃないけれど、もう二度と死を選ぶような真似はしない」と解釈しましたよ!人は旅をすると「人生観が変わった!」などと言いがちですが、変わらんタイプの人もいます。ベンジーはまさにそんな人に見えます。そこが彼の良いところです。でも、オレが死んだら悲しむ人がいるんだな…ってことは身に染みたことでしょう。
ちなみにジェシー・アイゼンバーグの祖先は実際ポーランドからの移民だそうで。彼の自伝的作品にもなっています。本作は移民の国アメリカだからこそ生まれた素晴らしい作品の一つですが、トランプ大統領の移民排除政策で今後どうなっていくのやら…。
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