不穏度
50(100を満点として)
最後の最後までドキドキする…
100点をつけた不穏映画はこちら
基本情報
公開年:1998年
監督&脚本:アンドリュー・ニコル
キャスト:イーサン・ホーク(ヴィンセント)ジェローム(ジュード・ロウ)ユマ・サーマン(アイリーン)
上映時間:106分
あらすじ
<以下、アマゾンの紹介文より引用>
DNA操作で生まれた"適正者"だけが優遇される近未来"不適正者"として自然出産で生まれた若者が適正者に成りすまして宇宙へ旅立とうとするが・・・。
評価
どのくらいの知名度がある作品なのか分かりませんが、ワタシは90年代SFを代表する傑作の一本だと思っています。
とにかく映像が美しいのですわ…!最後の最後までドキドキさせるストーリーも申し分なし!
いつかもう一度観てレビューを書きたいと思っていたところ、アマプラ見放題に入っていたので(2026年3月現在)20年ぶりくらいに観ました。印象は当時と変わりませんが、「適性者」と「不適正者」が生まれつきで決まるという設定が現実味を帯びてきたよなあ…なんて。当時は「親ガチャ」なんて言葉もなかったからね…。
では以下、ネタバレちょいありの感想です!
※ネタバレが絶対嫌な方はここからアマプラにどうぞ!
感想
大きさ比較が面白い!
主な登場人物は3人。
自然出産で生まれた「不適合者」ながら、宇宙を目指すヴィンセント(イーサン・ホーク)、適合者として水泳選手として活躍していたけれど、怪我で車椅子生活となり自暴自棄の生活をおくるジェローム(ジュード・ロウ)、宇宙局「ガタカ」のヴィンセントの同僚で彼と恋に落ちるアイリーン(ユマ・サーマン)。ジュード・ロウとユマ・サーマンの人間離れしたルックスが効いています。
さてオープニング、出演者クレジットのバックに流れるのは美しくも不思議な映像です。三日月状の物体が上から何個も落ちてきたかと思えば、黒い綱のような物体が絡まるような映像が続き、さらには雪のようなものが降ってくる。
実は三日月状の物体は爪、黒い綱に見えたのは髪の毛、雪は身体の垢です。それを超クローズアップで映している。
ヴィンセントが爪を切り、髪を落とし、たわしで身体を擦っているのです。ジェロームになりすますために。
どうしても宇宙に行きたいヴィンセントは自然出産で生まれた「不適合者」。生まれつき宇宙に行ける資格はありません。そこで車椅子生活の「適合者」ジェロームと契約を結び、彼の血液や尿をもらってジェロームになりすまし、宇宙局「ガタカ」に潜り込んでいる。自身のDNAが採取されたら終わりです。そのためヴィンセントは毎朝念入りに爪を切り、髪を落とし、体を擦って痕跡を残さぬようにしているのです。
爪や髪、垢といった小さなものを画面に大写しにしているのは、それがヴィンセントにとって命より大切なものだからです。うっかり落としたら一生をかけた夢が絶たれてしまう。
と、小さなものを大きく映す冒頭から始まりましたが、その後はほぼ全編真逆の効果を狙った映像作りがされています。つまり巨大建造物を背景に、手前に人物を小さく配置している。人間の無力感が出ます。本人の意思も努力も関係なく「適合者」と「不適合者」に分けられてしまう社会。コンクリートの巨大建造物はその圧倒的な社会の力の表現です。社会主義国家でやたら巨大建造物が多いのも同じ効果を狙っていますよね。
ガタカ社のビルとなったロケ地はフランク・ロイド・ライト建設のシビックセンター。砂漠に巨大ミラーがずらりとならぶ太陽光発電所も実際にある場所だそう。
構図もストーリーもシンプルなだけに、こういう「モノとモノとの大きさ比較」による映像表現が生きています。
人は欠落に恋をする
さて、ストーリーはといえば、中盤ガタカで殺人事件が起きます。警察がやってきて「不適合者」が紛れ込んでいることもバレてしまう。
ヴィンセントはアイリーン(ユマ・サーマン)を味方につけて難局を乗り切ろうとします。実は「適合者」であるアイリーンも心臓の欠陥が見つかり、宇宙飛行士にはなれない。
人は人の短所に恋をすると言いますが、まさにそう。欠落のある2人はやがて愛し合うようになります。
そしてヴィンセントは宇宙に飛び立つ直前に「容疑者」となってしまう。果たして彼の夢は潰えてしまうのか…?!気になる方はぜひ観て下さい!とても良い話です。
「遺伝子か環境か」という話ではありますが、夢を持ち努力をする人の周囲には、その人を応援したくなる人が必ず生まれるという話でもあります。
運命に逆らうヴィンセントを中心に、あくまで少ない登場人物だけのミクロの視点で終わるのも良い。彼に感化されて革命が起きるとかしちゃうと安っぽいし、80年代っぽい。小さな一歩が簡単に世界を変えないところが今観ても古くない理由の一つです。
ディストピア感満載の建造物の中に50年代を彷彿とさせる車や衣装といったレトロフューチャー感、ニヒルなジュード・ロウと宇宙人的に美しいユマ・サーマン、人間っぽい表情を見せるイーサン・ホークなどなど見どころはいっぱい。
監督のアンドリュー・ニコルはその後「TIME/タイム」で失敗してから精彩を欠いている印象ですが、またこんな美しい作品を生み出してくれないかな〜なんて思います。
それとタイトルの「ガタカ」、原題は「Gattaca」。GとAとTとCは、DNAの基本塩基であるguanine(グアニン)、adenine(アデニン)、thymine(チミン)、cytosine(シトシン)の頭文字なんですって。ね、観たくなったでしょ?!
「ガタカ」はアマプラで観られます〜。
90年代SFといえば「13F」も隠れた傑作だと思っています。レビューはこちら。
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