※VOIDは2026/6/30までYouTubeにて無料公開の短編作品です
不穏度
95(100を満点として)
彼女だけがその死を見つめている
不穏度100の殿堂入り作品はこちら
基本情報
公開年:2026年
監督&脚本:岩崎裕介
キャスト:野内まる、大石水月、伊藤歌歩、若杉凩、神嶋里花
上映時間:24分
評価
めっちゃ不穏!大好きなテイストです!最高です!
観に行きたい映画もあるけれど長雨のせいで体調が今ひとつ。TVerでドラマでも観ようかしらと思っていたところ、Xにこの映画の紹介が流れてきました。
映画館で予告編を観るたびに期待感が高まっていた「チルド」の岩崎裕介監督の初作品だそう。
うわあ〜!大正解でしたよ!こんなところでうっかり傑作に出会うとは!
ますます「チルド」が楽しみになりました!では以下、さっくり感想です!(ネタバレなし!)
感想
あらすじを書けるほどのストーリーはありません。
冒頭はどこにでもありそうな一軒家を映すカット。カメラが横スクロールをしていくと、途中で身綺麗な犬が座り込んでいます。ん?こんな綺麗な犬がリードもつけずに道端に?なぜ?と思うと、犬小屋の前で倒れている女性の姿が。
次のシークエンスは5人の女子高生が学校の屋上でたわいのないおしゃべり。
冒頭の倒れていた女性が何なのか、とくに何の説明もないまま進んでいきます。やがて主人公の女子高生が何かを「視る」。不穏です。
どのシークエンスも不気味観が満載ですが、一番嫌な感じだったのは家族3人で食卓を囲む場面。主人公の家です。食卓と言っても実際の食事は出てきません。父親、母親、女子高生の3人をそれぞれ写し、切り替えしています。ただ、母親だけが画角が違う。他の2人に比べて狭い、つまり他の2人がバストショットなのに対し母親だけが顔のアップなのです。その3人が食事をしながら話をしているのですが、母親は娘に圧をかけている。台詞だけ聞けばありがちな会話かも知れませんが、表情と画角で、ものすごい圧を感じます。ああ、この家庭環境が彼女を「視える子」にしてるんだなあ、と分かる。思春期女子と母親というただでさえ微妙な関係をするっと入れてきて、こちらを陰鬱な気分にさせるこの感じ、たまりません!
さて冒頭の倒れている女性が誰なのか?は、話が進むにつれ分かってきますが、何にしてもはっきりとした説明はありません。
この映画が何を映しているのかを説明するシークエンスは中盤の1箇所のみ。ファミレスっぽい場所でスーツ姿の男性が言います。
「負の感情には虚無であがらうのだよ」。
タイトルの「VOID」とは「虚無」の意味。
現代を生きる人々は皆虚無なのに、主人公の彼女だけが虚無になりきれなかった…と解釈したのですが、どうなんだろう?
よう分かりませんが、思春期の人間が人の死をどうやって受け止め乗り越えていくか?という極めて真っ当な話のようにも思えます。(これが不穏度を100でなく95にした理由です)
それにしても怪しいこの男性の正体がさっぱり分からないところもまたいい。長編に膨らますとしたら重要な役柄になりそうです。演じるのは池田良さん。「恋人たち」で性格の悪い弁護士役をされていた時から好きな役者さんです。
あと、これは完全に好みの問題ですけど、気味の悪いものが出てくる時それが動かないというのは良いな、と思いました。やたらと元気の良い幽霊っているじゃん?あれ冷めるんですよ。貞子シリーズは頑張っていましたが、動きで怖くするって限界がある気がして。とはいえ単に予算の都合かも知れないので、長編の「チルド」がどんな感じなのか?楽しみです!
「VOID」、24分でさっくり観られるのでぜひ!
ついでに映画「チルド」のトレーラーも貼っておきます!2026/7/17〜公開予定だそうです!