映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE】女性キャラはどう変化した?!

 

 

基本情報

公開:2023年

監督:クリストファー・マッカリー(他監督作品:ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション/フォールアウト)

脚本:クリストファー・マッカリー

キャスト:トム・クルーズ(イーサン・ハント) ヘイリー・アトウェル(グレース)ヴィング・レイムス(ルーサー) サイモン・ペッグ(ベンジー) レベッカ・ファーガソン(イルサ・ファウスト)

上映時間:163分

あらすじ

<以下、公式サイトより引用>

IMFエージェント、イーサン・ハントに課せられた究極のミッション

—全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すこと。

しかし、IMF所属前のイーサンの“逃れられない過去”を知る“ある男”が迫るなか、世界各地でイーサンたちは命を懸けた攻防を繰り広げる。やがて、今回のミッションはどんな犠牲を払っても絶対に達成させなければならないことを知る。その時、守るのは、ミッションか、それとも仲間か。イーサンに、史上最大の決断が迫る—

感想(ネタバレほぼなし)

いや〜、面白かったです。ミッション・インポッシブルは毎回欠かさず劇場で観ているのですが、正直これまでで一番面白かったです。

「東宝の株主総会に行ってみた」の回で「予告編の出来があまり良くないのではないか?」などと生意気を申しましたが謹んで訂正させていただきます。

kyoroko.com

本編を観れば「予告編はやっぱああなるわな〜」と思わざるを得ません。そもそもなぜ予告編の出来が良くないと思ったかといえば、クライマックスシーンのつぎはぎに見えたから。本編を観た時に「予告編以上のものを観れなかった」というがっかりモードになるパターンではないかと思ったのです。しかし見事に超えてきましたよ予告編の映像を!!しかもストーリーもしっかりしているので感情移入出来るからドキドキハラハラが止まりません。いやはや凄い!

さて、面白かった理由はトム・クルーズ本人が挑むアクションはもちろんですが「アクションを先に考えてからストーリー作る」という無謀な方法ながらお話がちゃんと整理されていたこと、さらにもう一つ、魅力的な女性キャラの登場というこれまでなかった要素にあります。ヘイリー・アトウェル演じるグレースという女性キャラにすっかり魅了されてしまいましたわい。これまでのM:Iシリーズでこんな女性いたっけな?…などと過去作を思い起こしつつ映画館をあとにしました。

M:I各作品の主要女性キャラを洗い出すと…?

さて毎回欠かさず劇場で観ていると前述しましたが、はっきりいうと映画館を一歩出た瞬間にほぼ内容を忘れています。中身を忘れてるくらいだから当然主要女性キャラも覚えちゃいねえよ…ってことで、うっすらした記憶とwikiを繋ぎ合わせて過去6作品をいったん振り返ってみます。

「①特色」「②アクション&ロケ地」「③内容」そして「④ヒロインとなる女性キャラ」、最後に「⑤感想」。この5点を世界一簡潔にまとめてみました。

ちなみに今作を観たいけどこれまでのM:Iシリーズ観てないので心配…というアナタ!過去作は観なくても大丈夫です!「トムクル=イーサン・ホークが所属しているスパイ組織IMFはCIAでもごく一部の人間しか知らない極秘諜報部隊」ということさえ知っていればOK。

では以下、最新作も含めて7作品のまとめ、いってみましょう〜。

①ミッション:インポッシブル(1996)・裏切り上司の妻がヒロイン

■特色:古き良きスパイ映画の雰囲気。デ・パルマ監督らしい気品あり

■アクション&ロケ地:プラハ/パリ行きのTGV内でのアクション/トムクルが屋上から吊られながらPC上の機密を盗むシーンで有名

■内容:身内に裏切られるわ濡れ衣を着せられるわでもう大変!

■女性キャラ:裏切り者の妻クレア(エマニュエル・ベアール)。イーサンにとって敵か味方か最後まであやふや。アクションなし。劇中死亡。

■感想:面白い。ヨーロッパの俳優が出演、舞台もヨーロッパなため品がある。「デッドレコニング PART ONE」前まではこれが一番好きでした。

②ミッション:インポッシブル2(2000年)・女性キャラは一般人

■特色:二丁拳銃!鳩!スローモーション!どこを切ってもジョン・ウー!

■アクション&ロケ地:冒頭のクライミング/バイクアクション

■内容:悪の手に落ちたキメラウィルスを奪還せよ!

■女性キャラ:ウィルスを盗んだ悪人の元恋人ナイア(タンディ・ニュートン)。一般人なのでアクションなし。イーサンに協力し恋仲になり最後は人類のために死のうとするイイ人に。

■感想:つまらなくはない。全体的に土っぽい。トムクルが凄い場所を素手で登るロッククライミングシーンと二丁拳銃!鳩!スローモーション!しか記憶にない。

③ミッション:インポッシブル3(2006年)・イーサンに婚約者が!

■特色:上海の美しい夜景と悪役のフィリップ・シーモア・ホフマンに尽きる

■アクション&ロケ地:上海の高層ビルから飛び降り/水郷の村、西塘を走る!/バチカン潜入

■内容:引退して「普通の幸せ」を得ようとしたイーサンが再び現場に呼び戻される

■女性キャラ:イーサンの婚約者ジュリア(ミシェル・モナハン)。医療従事者の一般人。イーサンの正体を知らなかった。アクションなし。/イーサンの同僚の赤いドレスのアジア系美女はアクションあり。

■感想:まあまあ面白い。イーサンが「普通のおじさんに戻ります」って無理やろ、と思った通りの展開。最後はジュリアと結婚するけど嫌な予感しかしない。頭の中に爆弾を仕込まれるの怖い。

④ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(2011年)・同僚女性がヒロイン

■特色:とにもかくにもドバイの世界一高いビル、ブルジュ・ハリファ

■アクション&ロケ地:クレムリン爆破/ブルジュ・ハリファに登る

■内容:「コバルト」と呼ばれる謎の黒幕を追う。核戦争の阻止

■女性キャラ:同僚のジェーン。アクションあり。ちなみに一般人なのでイーサンといると危険にさらされるジュリアとは愛し合いつつも別れた。

■感想:内容はほぼ覚えていない。この回から長い副題が付き、同時にストーリーについていけなくなる。

⑤ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(2015)・ヒロインはスパイ

■特色:トムクルが素手で飛行機につかまるやつ

■アクション&ロケ地:トムクルが素手で飛行機につかまる

■内容:IMFが解体され召喚命令が下る。孤立無援のイーサンは謎の犯罪組織「シンジケート」を追う。

■女性キャラクター:イギリスの諜報員(?)イルサ。アクションあり。

■感想:いやまじでトムクルが素手で飛行機につかまるあのシーンしか覚えておらんのよ

⑥ミッション:インポッシブル/フォールアウト(2018年)・5作目ヒロインが再び!

■特色:骨折メイキングが話題になりトムクルがスタントなしで演っているという狂気の沙汰が広く認知された一本

■アクション&ロケ地:パリ/ヘリアクション/隣のビルに飛び降りて脚骨折したのがそのまま映っているやつ

■内容:⑤の続きっぽい。悪人の手に渡ったプルトニウムを奪還せよ!

■女性キャラクター:イギリスの諜報員イルサが再び登場。アクションあり。イーサンの味方という立場。覚えてないが元妻ジュリアも現夫とともに出ていた様子

■感想:これまた骨折シーンしか覚えておらず。

⑦ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023)・新キャラ登場

■特色:ロケ地の美しさとアクションの迫力!

■アクション&ロケ地:アブダビの砂嵐/ローマでカーアクション/ベネチア/フィンランドでバイクアクション/オリエント急行をぶっ壊〜す

■内容:人類を脅かすAIが悪人の手に渡るのを阻止できるか?!

■女性キャラクター: IMFに入ることになるコソ泥のグレース。アクションほぼなし/前回・前々回出演のイルサ。アクションあり。

■感想:面白かった!グレースとイルサ以外にも魅力的な女性キャラがいる。タータンチェックのミニスカートで暴れまくる菊地凛子似の殺し屋パリスもイイ。

新女性キャラ「グレース」の魅力とは?

時系列で振り返ってみると、2作目まで女性はあくまでアクション映画の「華」としての役割ですが、3作目からはイーサンの仲間としてアクションを行う女性が登場。それでもイーサンのロマンスの相手はあくまで「一般女性」。ところが4作目は完全にイーサン同様に激しいアクションをする同僚女性がメイン女性キャラになり、かつロマンスの要素は薄くなっていきます。5〜7作目は別組織だけどイーサンと同じスパイの世界に身を投じているイルサが相棒。トムクルの「相手役」というより「相棒」に近い関係になります。

そして今作初登場がグレースという女性。

グレースは世界を股にかけたコソ泥です。スリの腕前はイーサンも舌を巻くほど。ほんのワンシーンのセリフの中で、孤児だった彼女は生き抜くためにスリになった‥という悲しい過去が分かります。そんでちょっとネタバレなんですけど、今作は初めてイーサンらIMFの仲間たちの「IMFに入る前の過去・なぜ誰にも素性を明かせず使い捨てにされる過酷な極秘諜報部隊IMFに入ったのか?」がチラ見せされ、皆何かしらの暗い過去を背負っていることが分かります。逮捕され惨めな獄中生活を送るのか?IMFに入るのか?という究極の二択を迫られた結果、彼らは国のため、人類のために人知れず命を賭ける影の戦士になったというわけです。そして同じような経歴のグレースもまたIMFにスカウトされ、受け入れます。スリなんで器用だし度胸もあるけど、イーサンがいつもやっているような無茶な運転や身体を張ったアクションはできず、列車が落ちるシーンではイーサンに無言でしがみついて怖がります。そう、グレースは「アクション映画の華としてキャーキャー言うてるばかりの女性」でもなければ「始めからやたらと強い女スパイとか女殺し屋」でもなく、等身大の共感できるキャラクターなのです。おそらく次回作の「デッドレコニング PART TWO」はグレースの成長物語にもなるでしょう。今から楽しみです。

それにしても女性の描き方一つとっても時代の流れをちゃんと掴んでいる、制作者としてのトム・クルーズにも脱帽ですわ。

「デッドレコニング」の意味とは?

最後に今回の副題「デッドレコニング」について。長い副題がつくようになった4作目から正式タイトルも内容も覚えられないという事態に落ち入り、今度も「デッド?レ?は?なに?」ってなったのはワタシだけではないはず…。

そのデッドレコニングの意味ですが、パンフレットの監督コメントによれば古い航海用語だそうで。「最後に確認された位置情報のみに基づいて航路を計算すること」だそうです。つまりは盲目的に航海することである、と。それはイーサンをはじめとする登場人物へのメタファーにもなっているそうです。

へええ〜ふ、深い…。これは簡単に邦題もつけられませんね…。意味を知ってさらに来年公開のPART TWOが楽しみになりました!来年までがんばって生きるぞ!

ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONEはアマプラで観られます!

人生変わった度

★★★

トム・クルーズすげえなあって毎回思う