映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【男たちの挽歌】感想/力を込めておすすめ!雑でシビれる香港ノワールの傑作!


日本公開35周年記念「男たちの挽歌 4Kリマスター版」4K ULTRA HD + Blu-ray(2枚組)

基本情報

公開:1986年

監督:ジョン・ウー

脚本:ジョン・ウー

キャスト:チョウ・ユンファ(マーク)ティ・ロン(ホー)レスリー・チャン(キット)エミリー・チュウ(ジャッキー)       

上映時間:95分

あらすじ

香港マフィアとして裏社会を仕切るホーと、ツレで弟分のマーク。ホーは実弟キットに自分の仕事を隠していたがキットが刑事になるため、足を洗おうと決意。部下のシンと最後の取引に臨むが敵の罠にかかり、3年間収監されてしまう。それを知ったマークはホーの仇をとるため対抗組織を全滅させるも脚に傷を負う。3年後、出所したホーは刑事のキットと再会するが、慕っていた兄の正体を知って傷ついたキットはホーを追い返す。そんな彼にマークが組織で権力を握ったシンへの復讐を持ちかける。

評価

人生というのは不思議なもので、は〜今日も碌でもない1日が終わったやれやれ…と晩酌のあと水風呂に浸かった熱帯夜ふと「男たちの挽歌が観てえなあ」などと思うことがあります。今の時代、そう思ったらすぐに観られちゃうんですよね。アマゾンプライムのプライム特典(月額600円のアマプラ会員になれば無料で観られるやつ)にありました。観たのはおそらく20年ぶりくらいだと思いますが、驚くほど当時と印象は変わりませんでした。「雑だけどシビれる面白さ!」という評価です。では以下、どのへんが雑でシビれるのか紐解いてみましょう〜。

感想

魅力はその「雑」さ?!

さて、「雑」という感想がどこからくるかといえば、例えば主人公のマークが観葉植物の植木鉢の中に隠しておいた拳銃で銃撃戦を行う有名なシーン(二丁拳銃って言えばコレ!)。スローモーションですごくカッコいい。だけど植木鉢から拳銃がモロにはみ出してるんですよ。いや、これじゃ見つかって先に敵に盗られないか?いや、そもそも植木鉢に隠す必要あったか?ロングコート着てるんだから内ポケットに入れとけば良くないか?!とか。

それからお墓参りの際、雨が降ってくるシーンがあるんですけど、これが雑。雨ってふつうポタ、ポタ、ポタって少しずつ降ってくるじゃないですか。ところが初めからバケツをひっくり返したような雨がドシャーっと墓石に降り注ぐんです。香港の雨ってこうなのか?!

あとはラストの銃撃戦、地面に爆破仕込んでいるの見えてるよ!とかね。

なんか全体的に「3日で撮りました?」みたいな感じがするんです。

こういう「雑だな〜」と思うシーンは山ほどあれど、それが逆にこの作品の魅力になっているところが不思議。「勢い」という本来映像では表現できないものが写っているんですよ。それは香港という街の猥雑さとも重なります。1986年の香港はまだイギリス領。情緒的に街を映すようなシーンはありませんが(そもそも話の展開が早く悠長なシーンがない)、ちょっとした場面に香港の魅力が詰まっています。

ワタシは90年代初頭、取り壊される直前の九龍城砦に遊びに行きましたが、アジアの業みたいなものが煮凝りになったその雰囲気に恐怖を感じたのを覚えています。今の香港はどんな感じなんだろう?もし当時の空気とはまったく違っているなら、返還前の雰囲気が色濃く映されているという、それだけでも貴重な映画と言えましょう。

ちなみに植木鉢の銃撃シーンの「ロングコートに二丁拳銃」はマトリックスでもお馴染み。ウシャウスキー姉妹はこの作品の大ファンだそうですよ。

男たちのシビれる関係性

さて、主要人物は3人の男たち。出来る男ホーを慕うツレのマーク、そして弟のキットも兄のホーが大好き。前半、この三人、つまりホーとマーク、ホーとキットが犬みたいに戯れるんですわ。一緒にいるのが楽しくて仕方ないっていう感じ。そしてここにもう一人、シンという男が絡みます。シンはホーとマークの子分でしたがホーが刑務所にいた3年の間にのしあがり、戻ってきたホー、そして脚を悪くして落ちぶれたマークに嫌がらせをします。偉そうにしてるし。嫌なヤツですね。シンは3人に嫉妬していたのでしょう。そして自分がトップになったとしてもホーのようなカリスマ性が自分にはないことを知っている。主要3人に共感しがちですが、シンの気持ちになってみるとまた違った世界が見えます。シンが憧れて憧れて、それでも手に入れられなかったのがホーを中心とした男たちの関係性。それを作れたのはホーの人間性であり、シンがどれだけ真似をしても手に入れられないものなのです。(切ない)

あと役者の顔がいい。マフィアを仕切る理知的な顔のホー(ティ・ロン)、「誠実顔」のマーク(チョウ・ユンファ)、どっから観ても弟顔のキット(レスリー・チャン)。エピソードを積まなくても「多分こういう人だろう」と分かるし、その通りなんですよね。アジア人の顔の区別がつかない西洋人にも分かりやすい映画だと思います。

人生変わった度

★★★

劇団ひとりを思い浮かべたら負け

男たちの挽歌(字幕版)

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