基本情報
公開:2006年
監督:ジェイソン・ライトマン(他監督作品:マイレージマイライフ JUNO/ジュノ)
脚本:ジェイソン・ライトマン
キャスト:アーロン・エッカート(ニック・ネイラー)マリア・ベロ(ポリー・ベイリー)キャメロン・ブライト(ジョーイ・ネイラー/ニックの息子)ケイティ・ホームズ(ヘザー・ホロウェイ)
上映時間:93分
あらすじ
<以下、DVD紹介文より引用>
タバコ研究アカデミーのPRマンをするニック・ネイラーは、厳しさを増すタバコへの攻撃をかわすため連日マスコミの矢面に立って戦い続ける業界の顔。中でも、パッケージにドクロマークを、と息巻くフィニスター上院議員は目下最大の懸案事項。そんなある日、ニックは映画を使ってタバコのイメージアップを図る“スモーキング・ハリウッド作戦”の指揮を任される。一人息子のジョーイを連れ、ロサンジェルスへと渡ったニックは、さっそくハリウッドの大物エージェントと面会、タバコPRのための映画の企画を話し合う……。
感想
面白い!社会派ブラックコメディ!
同作を一言で言うなら「社会派ブラックコメディ」でしょうか。ともかくあっという間に時間が過ぎる面白さです。主人公は「タバコ」のイメージを上げるという難題を請け負ったPRマン。PRマンとはクライアントの商品を「いかにも宣伝」だと思わせずに世に広めたり、世論を作ったりする仕事です。決して法律違反ではないけどかなりなグレーゾーンにも踏み込む。
アメリカでは1990年、ナイラというクウェートのかわいい女の子が「クウェートでイラクの兵士が赤ちゃんを殺している」と証言したことで、一気に世論が反イラクに傾き湾岸戦争に突入したのですが、後日これは大手PR会社が一枚噛んだプロパガンダだったことが発覚。ナイラ証言も限りなくグレーだということになりました。(詳細はWiki「ナイラ証言」をどうぞー)
日本で言ったら電通とマスコミの間に入り、なにやらむにゃむにゃやっている会社、といえばわかりやすいでしょうか。あまりイメージは良くないですが、水面下で行っている自分の仕事が世の中を動かしている、という面白さに取り憑かれるのはよく分かります。
主人公のニックは水面下ではなく、むしろ堂々と自分の名前と顔を売りながら「どんな嫌われ商品だって上手くPRしまっせ!」と世の中を渡っていく。当然ディベートも上手く、時には人の揚げ足を取りながら、時にはカネで人の頬をひっぱたきながら仕事をこなすその様には、ピカレスクロマン的痛快さがあります。…と言いつつひろゆき的「論破王」が世に溢れる今観たらどう感じるんだろう…。ワタシはこの作品を公開当時の2006年に観ていますが、世界の裏側ってこうなってるんだ…という気づきにもなりました。それはともかく、時代が変わっても面白い同作のポイントは主人公がタバコをPRしながら喫煙シーンが一切ないところ。シャレが効いてますな。
ハニートラップにかかって足元を掬われますが、決してつまづいたままでは終わらない。そんな父親に呆れつつ尊敬する息子との関係もとても良いです。
イーロン・マスクが製作総指揮に!
さて、この映画の基本情報を調べてて驚いたのですが製作総指揮にあのイーロン・マスクが名前を連ねていたんです。その面白さが評判になりヒットした本作ですが、マスクは以降、映画制作には関わっていないようです。(マスクからすれば映画は小さすぎる商売だったのかも知れないっすね)それでも関わった一本が「口先三寸で世界を瞞す男」のブラックコメディというのは、さすがというかなんというか…。
短い映画の良さ
「サンキュー・スモーキング」は93分の作品。続けて短い作品を紹介しましたが、短い作品の良さというのは気軽に楽しい気分で観られるってことですね。(当たり前のこと言ったな)重かった、疲れた、嫌な気分になった…ってのはあまりないのではないでしょうか。そのかわり「深い感動」にはなりません。深い感動というのはそれなりに時間のストロークが必要なのです。
当ブログでは上映時間別に作品を選べるようにカテゴライズしていますんで、長い作品、短い作品、様々な映画のレビューを見られます。スマホの方はトップのほうにある「メニュー」→「上映時間」をクリックしてみて下さい〜。と、最後は当ブログのPRで締めてみましたよ、ふふふ…。
人生変わった度
★★★★★★
この作品でPRの面白さを知り、片足を踏み入れましたわい
「サンキュー・スモーキング」はAmazonプライムビデオで観られます。↓このトップ画(DVDのパッケージ)もむちゃシャレてません?!
原作はクリストファー・バックリーの「ニコチン・ウォーズ」。実話ではありません。