映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【パターソン】感想/生活は芸術のゆりかごである


パターソン [DVD]

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基本情報

公開年:2017年

監督&脚本:ジム・ジャームッシュ

キャスト:パターソン(アダム・ドライバー)ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)永瀬正敏(詩人)

上映時間:118分

あらすじ

<以下公式サイトより引用>

ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン(アダム・ドライバー)。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に芽生える詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩。バーへ立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見変わりのない毎日。パターソンの日々を、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いと共に描く、ユーモアと優しさに溢れた7日間の物語。

さて、はじめに言っておきますと「何も起きない映画」です。殺人事件はもちろん、浮気も失業も旅も結婚もありません。ジャームッシュだしな。公開当時渋谷の劇場で観ましたが、はっきり言って配信で観たら寝る自信はあります。それでもラストまでもし起きていられたら、最後にちょっとだけ登場する永瀬正敏のセリフに涙することでしょう。そんな映画です(ってどんな映画や)。毎日の散歩の途中で寄るバーの感じとかワンコの佇まいとか、とても好きな映画ですが万人にはお勧めできないかな。ってか細かいとこあんまり覚えてませんすみません。以下、全体の印象を思い出しつつの軽め感想です。

感想

ワタシが面白く感じたのは「日々と芸術」を描いたこの作品にがっつり共感できたからでしょう。主人公のパターソン(パターソンという町に住むパターソンという名前の男性です)はバスの運転手。同じコースを巡るルーティーンワークをしながら「詩を作る」という一見正反対の趣味を持っている。趣味と書きましたがバスの運転手は彼にとって「ワーク」であるのに対し、詩人であることは「ジョブ」=天から与えられた【仕事】です。んでその妻ってのもなにやら独特の感性でカップケーキを作ってバザーかなんかで売っている。あんまりお金になるとも思えず、これもまた芸術活動のようです。なんというのんきさ!そしてこの「のんき」こそが人生の喜びではないか、と最近よく思います。

ちょいとワタクシごとになりますが…21時に帰宅してそこいらで買ったごはんとお風呂の後ソファで気を失い深夜2時に再びPCを開いて5時まで仕事‥みたいな生活を20年続けたのち、今は田舎で仕事は1日0〜6時間、余った時間はご飯をちゃんと作ったり花を植えたりバードウォッチングに出かけたりしています。そうすると芽生えてくるんすよね。何がって?そりゃあ、制作意欲ってもんがですよ!まあ、ワタシの場合はミシンでちまちま縫い物をしてスカートやバッグを作ったり、こうやってブログで好きな映画について言いたいことをつらつら書いたりする程度ですけど、それだけでとても楽しいのです。そんで夫は生活のためのワークもしつつ、日々、築30年の我が家のセルフリフォームに勤しんでいます(和室を洋室にし、なんとキッチンまでこしらえたのだ!)。収入は少ないけど支出も少ないのでどうにかやっていけている。パターソン家と異なるのはペットが犬じゃなくて猫ってとこでしょうか。

映画の中で起きる唯一の事件はパターソンが詩を書き留めているノートを犬がいたずらでビリビリに破いてしまうというもの。悲嘆にくれるパターソンの前に「日本の有名な詩人」永瀬正敏が現れ、彼を励まします。平凡な日々に暮らし続けること、それこそが詩であると。破天荒な生き方から生まれるものだけが芸術ではないのです。

それにしてもアダム・ドライバーという役者は顔が良いですね。スターウォーズに出てても、こんな地味な映画でバスの運転手役で出ていても違和感がありません。ニュージャージー州に魅力的な滝のあるパターソンという町が実在することもはじめて知りました。もしアメリカに行くことがあれば、ロスよりもNYよりも、真っ先に行きたい町になりましたよ。

人生変わった度

★★★★★

あの滝と犬と永瀬正敏の姿は定期的に思い出します

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パターソン(字幕版)

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