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【冒険者たち】感想/あまりに切ない青春レクイエムの傑作!

 

冒険者たち [Blu-ray]

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  • アラン・ドロン
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不穏度

40(100を満点として)

死んじゃいけない人から死ぬ

基本情報

公開年:1967年

監督:ロベール・アンリコ

脚本:ロベール・アンリコ ジョゼ・ジョヴァンニ

キャスト:アラン・ドロン(マヌー・ボレリ)リノ・ヴァンチュラ(ローラン・ダルバン)ジョアンナ・シムカス(レティシア・ヴァイス)        

上映時間:112分

あらすじ

<以下アマプラの作品紹介文より引用>

パリ郊外の飛行クラブで教官を務めるマヌー(アラン・ドロン)、レーシングカーの画期的なエンジン開発にいそしむローラン(リノ・ヴァンチュラ)、そして前衛彫刻家の卵、レティシア(ジョアンナ・シムカス)。微妙なバランスの友情で結ばれた三人は、コンゴ動乱の際に海底深く沈んだ5億フランの財宝を引き上げるため、アフリカの海に旅立った。しかし、その財宝をつけ狙う一味が現れ……。

感想

当たり前の話ですが自分は歳を取るけど映画は歳を取りません。若い頃見て感動し、歳をとったらまた観ようと思っている作品が何本かあります。「冒険者たち」はその一本。DVDも持っているのですが長らく再生しておらず、えーとどんな話だったけな…とネット上であらすじを漁っていたら思い出してきちゃって、それだけでもう胸が締め付けられて切なくて切なくてとても観られそうにないっすわ…。

素晴らしいキャストの3人、どこか不穏な音楽、どこまでも青い南の海や、フランス版軍艦島と呼ばれるボワヤール要塞といったロケーション…。何もかも素晴らしい青春レクイエムの大傑作です。

そんなわけで以下、昔の記憶を辿りながらの感想を。

男2人に女1人。この組み合わせ、女が肝心です。誰が演るかで「コイツらヤってるかヤってないか(下品ですんません)」を観客は勝手に想像します。ジャンヌ・モローだとヤってますよね両方と。同映画のジョアンナ・シムカスはヤってません。南の海でビキニになろうと、2人の男にサンオイルを塗ってあげようとヤってないったらヤってないんすよ!!2人の男だって手が出せないんですよ!こんなにカワイイのに!

びっくりするほどハンサムなアラン・ドロンと渋いリノ・ヴァンチェラの2人も良いですが、なんと言ってもこのジョアンナ・シムカスのフレッシュさが青春そのものを表しています。

そして最も若く生き生きしているその彼女が一番先に旅立ってしまう。遺体に潜水服を着せ、海に沈めて弔う名シーンは今でもハッキリ覚えています。青春って短いわよね…。

後半は亡くなった彼女の人生を巡る旅。残された男2人は彼女の苦い半生を初めて知ります。そして彼女が愛した海上の要塞を買い取り、改装を始めるローラン(リノ・ヴァンチェラ)。久々に訪ねてきたマヌー(アラン・ドロン)と語らいますがマヌーは追ってきたマフィアに殺される。一番年長者であるローランだけが一人生き残ってしまうのです。うう、ツライ…。

ローランの年齢は不明ですが、演じたリノ・ヴァンチェラは当時47歳。この歳で世界最速エンジンを作るという夢を追って、その夢が潰えたら次は「南の島のお宝」という夢を追った。その夢が叶ったと同時に若く美しい相棒の一人を失った。しかし悲しみを乗り越えて次の夢を見つける。それは彼女の地元で海の要塞をホテルに改造するというものでした。それなのに、その場所でもう一人の、同じ夢を見ることができたたった一人の大切な相棒を失うのです。

さよならだけが人生だとは言いますが、初めて観た30代の時は絶望的な終わり方に唖然としましたよ。それでも素晴らしい作品には違いないので、マヌーの年齢に近くなったらまた観ようとDVD買ったんですわ。

でも50代になった今、DVDを引っ張り出してはみたものの、いやちょっと無理だな、観られないな、と。

人は年齢を重ねると自分のためには生きられなくなるものです。ワタシのようなザ・自分勝手みたいな人間ですら不思議とそうなるのです。人のため、とくに未来のある若い人のためなら…と重い身体を支えている。お子さんのいる方ならお分かりでしょう。

ローランがいつまでも少年のように夢を見ることができたのは若い2人がいたから、ということが身に染みて分かる年齢になってしまった。それなのにその若い2人を失うのです。いや、こうなったら観る前から大号泣ですよ。本当に素晴らしい名作ですがこれは無理だわ、どんな胸糞猟奇モノよりキツすぎる…。

ラストは横たわるマヌーの遺体と立ちすくむローラン。空撮でどんどん小さくなっていく2人。聴こえるのは波の音だけ。なんという残酷な幕切れでしょう…。

夢を追い続ける限り冒険者でいられる。ローランの冒険はここで終わったのでしょうか…。いや、亡くなった2人のためにもホテルを完成させて、次の夢を見て欲しい。せめて死ぬまで冒険者であって欲しいと切に願います。

「冒険者たち」はアマプラで観られます〜(2024/5/9現在レンタル料がかかります)

冒険者たち (字幕版)

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こちらも古い作品ですが「青春映画の大傑作」といえば外せない「アラビアのロレンス」レビューも置いておきます。

kyoroko.com