基本情報
公開年:2021年
監督:前田弘二
脚本:高田亮
キャスト:成田凌(大野康臣)清原果耶(秋本香住)小泉孝太郎(宮本功)泉里香(戸川美奈子)
上映時間:98分
あらすじ
<以下アマプラの作品紹介文より引用>
外見は良いが数学一筋で〈コミュニケーション能力ゼロ〉の予備校講師・大野。その前に現れたのが、自分は恋愛上級者と思い込む、実は〈恋愛経験ゼロ〉の香住。全く気が合わない二人だったが、共通点はどちらも恋愛力ゼロで、どこか普通じゃない、というところ。そして香住は大野にあれやこれやと恋愛指南をすることに。香住の思いつきのアドバイスを、大野は信じて行動する。香住はその姿に、ある作戦を思いつく。大野を利用して、憧れの存在である宮本の婚約者・美奈子にアプローチさせ、破局させようというのだ。予想に反して、少しずつ成長し普通の会話ができるようになっていく大野の姿に、不思議な感情を抱く香住。二人の心がかすかに揺らぎ始めた時、事態は思わぬ方向へと動き出す。二人が見つけた《普通》の答えとは?
評価
「まともじゃないのは君も一緒」。少女漫画かラノベのようなタイトルの作品ですが50代のオバハンが観てもとても面白くて幸せな気分になる素敵な映画でした!
楽しくてキュンとできてクスッと笑える、こういう定番のラブコメって案外撮るの難しいと思うんです。寒くなるギリギリ手前で持ち堪えられるのは主演2人の力量も大きそう。では以下感想を。(ちょいネタバレしてます!)
感想
普通って何かね?
映画「愛がなんだ」で致死量の色気を振りまいていた成田凌が今作では冴えない予備校講師の役。この人、身体が妙にふにゃふにゃしてるんですが、そのふにゃふにゃ加減の面白さが最大限に生きていたのが、三揃えのビシッとしたスーツの肩にトートバッグをかけ突っ立っているショット。スーツにトートってあんなに合わないものなんですね!その変すぎる姿を見てなぜかキュンとしている清原果耶さんも含めて笑ってしまいました。
そしてもう一人の主役がその清原果耶さん。一滴も酒を飲んでないのに酔っぱらってるシーン、これ下手な人が演ると目も当てられませんが、しっかり面白くなってて凄い!
香住(清原果耶)は「先生はおかしい、普通じゃない!」と言って大野先生(成田凌)に普通の恋愛の仕方を伝授していきます。でも「普通じゃない!」と人を弾劾する香住こそ「普通じゃない自分」を受け入れることができていないのです。
スッタモンダのあげく最終的に2人は(おそらく)恋人同士になるという王道のラブコメですが、そこに「普通って何よ?」という視点が一つあることで今っぽくなり、恋愛にとうに興味を失ったワタクシのようなオバハンが観ても面白くなっています。
原作がありそうに見えますが脚本はオリジナル。高田亮氏は「オーバーフェンス」「さがす」「ボクたちはみんな大人になれなかった」(どれも好きな映画だ!)などを手掛けているベテランです。香住と大野2人の丁々発止のセリフが実に楽しいです。
裏にある「教育の害」という要素
さて。大野と香住にからむもう一組のカップルが宮本功(小泉孝太郎)と美奈子(泉里香)。野心的な実業家とホテル経営者の令嬢という組み合わせです。そして2組のカップル計4人全員が「教育」と何かしら関わっています。
大野は予備校講師。「ふつう」に考えれば勉強だけ教えれば良い立場です。一方の宮本は知育玩具などを開発販売する事業を起こし、教育に関する講演会を行なっています。文科省の教育方針を批判したりして、まあ世間的には「若くてイケてる教育専門家」ですが息をするように嘘を付きラブホテルに香住を連れ込むようなクズです。
そして香住は「無理矢理中学受験をさせられて傷ついた」という設定。高校受験は失敗したようで通っている高校はあまりレベルが高く見えません。
美奈子からは「父親がとても厳しかった」という言葉が出てきます。宮本との結婚も「父親に従わなくてはならないから」という側面があるようです。
実はこのお話で何度も出てくる「普通」とは「現代の教育方法の型」や「親の求める子供の型」にハマること。2人の女性はうまくハマれず苦しみつつも、自分が苦しんでいることにさえ気づいていない(教育って洗脳だからね〜怖いわあ)。
この2人を救うのが数学が大好きで、大好きなことに夢中なあまり常識を知らないトンチキな予備校講師というわけ。
楽しいラブコメだけどそれだけじゃない。もし自分が今10代だったらきっとこの作品に救われただろうなと思いますね。
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ずいぶんテイストが異なりますが、同作と同じ高田亮氏脚本作品レビューを置いときます!(どちらも胸糞注意です!)