【es［エス］】感想／介護でイラッときたら思い出したい映画

基本情報
あらすじ
感想的なもの
人生変わった度

基本情報

公開年：2002年

監督：オリヴァー・ヒルシュビーゲル（他監督作品：ヒトラー〜最期の12日間〜）
キャスト：モーリッツ・ブライブトロイ（囚人番号77／タレク）クリスチャン・ベルケル（囚人番号38／シュタインホフ）オリヴァー・ストコウスキ（囚人番号82／シュッテ）

上映時間：119分

あらすじ

新聞広告で集めた被験者を「看守役」と「囚人役」に分け、模擬刑務所で生活をさせる…。スタンフォード監獄実験を題材に描いたドイツ映画。元記者でタクシー運転手の主人公タレクは、起死回生のネタとして新聞広告に載っていた被験者募集に応募。二週間で4000マルクの高額報酬の上、実験の様子は記事にできる…。実験が開始されるとタレクは囚人側に。初めの１日は穏やかに過ごしていたがやがて看守側と囚人側の対立が激化していく…。

感想的なもの

恐ろしすぎた「ルポ死亡退院〜精神医療・闇の実態〜」

「es （エス）」、公開当時はわりと話題になった作品ですがAmazonプライムビデオでもネトフリでも配信されてないんですね…。とはいえ2015年にアメリカで「プリズン・エクスペリメント」という題名で同じスタンフォード監獄実験を題材にした作品が作られ、こちらは配信しているようです。（下にリンク貼っておきます）

話は変わりますが、先日NHKで「ルポ　死亡退院」という恐ろしいドキュメンタリーを見ましてね…　（おそらくNHKオンデマンドで観られます）

「ルポ死亡退院〜精神医療・闇の実態〜」 - ETV特集 - NHK

受信料の元を取る勢いでNHKを見ているワタクシでも「怖すぎて見られんじゃろ…」と一度は見送ったものの、日曜のゴールデンタイムに再放送をぶっ込んでこられたので覚悟を決めて見ました。東京都八王子の精神病院「滝山病院」の実態を暴いたものです。闇が深すぎて胸糞悪く口の中がずっと酸っぱい状況でしたが、とくに嫌だなあと思ったのは患者がなんでもないおしゃべりをした時、看護師が「うるせえんだよ」と暴言の上に殴る場面です。ええええ殴るんかい…。ものすごく嫌な気持ちになりましたが、かくいうワタシも親の介護に関わる身。認知症ではありませんが耳の遠い父に「え？」「え？」と何度も聞き返され、５回も同じことを言った日にはイラっとして最後はもう怒鳴り声になってしまいます。よくないと思いつつその瞬間の「イラっ」を抑えられんのですよ…。

スタンフォード大学監獄実験とは？

閑話休題。es［エス］は有名なスタンフォード大学の監獄実験を題材にした小説が原作。映画の中では死者が出ていますが、さすがに現実の実験はその前に中止になっています。とはいえ、リアリティを求めた「看守役」が暴走し、囚人役が錯乱して一人、また一人と離脱したというのは本当の話。本来のパーソナリティーに関わらず「与えられた役割」が人を変えるということです。

介護や看護の現場では片方が「その人の命綱」という絶大な権力を握っています。人間誰しも権力を持っていたら使いたくなる。しかもそうそうバレない密室だったら…。抑えるにはやはり「誰しもこういう心理状態になるものなんだ」という知識を持つ以外にないのではないでしょうか。

タイトルのes［エス］というのは「自我」のこと。細部は覚えていませんが、並のホラーより恐ろしかった記憶があります。だって暴力をふるう監視役の人、はじめはいい人なんだもの…。配信しているところがなさそうなのでお勧めしにくいですが、とても面白かったです。

禁断の実験「サードウェイブ」

観られない映画を紹介しっぱなしもなんなので…同じように「禁断の実験」を題材にした作品に「THE WAVE」（ウェイブ）があります。（2008年ドイツ映画）

実際の「サードウェイブ実験」とは、高校教師が独裁政権について学ばせようとナチスを再現した擬似組織を作り、軍隊風の規律を強制したところ、生徒たちががっつり洗脳されてしまったというもの。1967年アメリカの高校で実際に行われました。ってここまで書いててこちらもAmazonプライムはじめ主要な配信サービスでは観られないことに気がつきました。ドイツ映画ぁ〜ツライ〜！！

あ、あと今気が付きましたが耳の遠い父との会話は筆談にしよう！そうしよう！