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【岸辺露伴ルーヴルへ行く】感想と評価(ネタバレなし)/「皆様のNHK」の限界を見た?!

 

不穏度

40(100を満点として)

もっと黒ければなあ…

基本情報

公開年:2023年

監督:渡辺一貴

脚本: 小林靖子

キャスト: 高橋一生(岸田露伴)飯豊まりえ(泉京香)長尾謙社(岸田露伴の青年期)木村文乃(奈々瀬)白石加代子(露伴の祖母)安藤政信(辰巳隆之介)

上映時間:118分

あらすじ

<以下公式サイトより引用>

特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴は青年時代に淡い思いを抱いた女性からこの世で「最も黒い絵」の噂を聞く。それは最も黒く、そしてこの世で最も邪悪な絵だった。

時は経ち、新作執筆の過程で、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は取材とかつての密かな慕情のためにフランスを訪れる。

しかし不思議なことに、美術館職員すら「黒い絵」の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13」だった。そこで露伴は「黒い絵」が引き起こす恐ろしい出来事に対峙することになる…。

寝落ちしました…

いやあ…テレビシリーズが面白かったもんですから楽しみにしていた「岸辺露伴ルーヴルへ行く」。えーっと…見事に一回寝落ちしまして、2日に分けて観ることとなりました。購読させていただいている、映画評を書かれるブロガーさんが辛口評価をされていたので嫌な予感はしましたが、「やはり…」でありました。評価するなら100点中50点。もちろん良いところはあります。では以下、良かったところといまいちだったところ、感想です〜。

感想

良かったところ

ヘンテコなのにカッコいい高橋一生

この作品、NHKでやっていたドラマの劇場版です。ドラマを観ていた時から思っていましたが、高橋一生=岸田露伴のズレのなさ、本当にすごいです。だって変な服と変な頭飾りをしてて変な動作する、漫画の中にしかいないような変な人を違和感なく演じているんですよ?世の中には、スーツから喪服から「何を着ても『コスプレ感』」が出てしまう人と、逆に何を着ても「ちゃんとその人」になる人がいます。この違い、どこから来るのか分かりませんが(今度ファッション関係の人にあったら聞いてみよう…!)、今作の高橋一生は、その中間あたりをたゆたゆしているように思います。妙には妙だけどハマっている。かっこいいし。この人を見ているだけでもう「なんかいいもん見た!」と思えるのがこのシリーズの良いところ。そして映画では「露伴の青年時代」を別の役者さんが演じています。同じ変な頭飾りつけて。おんなじようなひらひらした白いシャツ着て。この方がですね、ちゃんと「変なもん頭に付けてる人」に見えるんです。「妙」と「ハマり」でいえば「妙」のほうに傾いている。そのおかげで改めて高橋一生の凄さが分かるっていうね。ちなみに編集者の泉京香を演じる飯豊さんも微妙に変でウザくて良いです。

「ホンモノ」なロケ場所

テレビシリーズ放映の頃から話題になっていましたが岸辺露伴の自宅、ロケ地は葉山加地亭。国指定登録有形文化財であり、フランク・ロイド・ライトの弟子・遠藤新が1928年に設計した近代建築の秀作です。この家、もう一人の主役ともいえるほどよく出てきては強い印象を与えます。そしてこの家の重厚さが「漫画っぽさ」の軽さを抑える役割を果たしているのですよ。露伴のキャラクターの「漫画っぽさ」と、自宅の「本物感」。絶妙なバランスが素晴らしい。

ちなみにここ葉山加地亭は宿泊可!(高けええ〜)

kachitei.link

そして青年時代の露伴の回想シーンに出てくる旅館。ここも良い場所だな〜と思って調べたら会津若松の「向瀧」というこちらもホンモノの旅館。以前「一休」で見つけて一度は泊まってみたいなあと思っていたところです。こちらも国指定登録有形文化財。旅館のホームページを見ると、割といろんな映画やドラマのロケ地になっているようです。その時は全館貸切にするんだろうか??

www.mukaitaki.com

さらに地下室のシーンは大谷石採掘場だそうですが、もちろんルーヴル美術館もホンモノ。今作にも登場する例のガラスのピラミッド、出来た当初は批判もありましたが今ではすっかりルーヴルの顔になっていますよね。

岸辺露伴シリーズ、当初からロケ地にはかなり拘って良い場所を探しているように思います。前述したようにどうしても軽くなりがちな「漫画原作」ですが、ロケ地選びを徹底すれば重厚に見せることが出来るんだなあとと思いました。

いまいちな点

その程度の「黒」でいいのかい?!

さて、肝心のストーリーは「この世で最も黒い絵」という呪われた絵を巡る謎解きです。「鏡は光を反射するけど、黒は光を吸い込む。本当の黒は何もかも吸い込むんだ」みたいなセリフが何度か。「黒」は神秘的で恐怖感を煽る色ですが、これをテーマにするなら画面もうちょっと「黒く」なんなかったかね?と残念に思いましてね。あるシーンではCGで黒い●を入れたりしてて、うん…まあいいんですけどね…。

しかしNetflixで一番低画質のプランを入れているワタシのような素人でさえ、高くて良いカメラ使っている映画は「いいカメラ使ってんな」って分かるもんです。なぜなら良いカメラって黒いところがすごく黒く映るんですよ。映像も全体的にピキッとしている。せっかくこういうストーリーなんだから「黒いところをものすごく黒く見えるように撮る」ことができればそれだけで作品の品格が2〜3ステージ上がったのでは?

でもいい機材は購入してもレンタルにしても凄く高価なんすよね。同作の制作は「アスミック・エース/NHKエンタープライズ/P.I.C.S.」の3社が名前を連ねています。

監督はNHKエンタープライズの人。NHKってある意味民放よりも視聴率を気にしています。国民の皆様から徴収したお金を使っているのですから当然。そして国民に質の高い作品を提供する、という目的であっても無駄なお金は使えない。

岸辺露伴に聞くまでもなく芸術とは無駄の塊ですから、このへんのクオリティが妥協点ってとこなんでしょう。

世界中にファンがいるジョジョのスピンオフという素材、漫画から抜け出したような実写という話題性、本来なら海外への訴求の可能性も十分な企画であるだけに残念だなあと思ってしまったのでした。これを「皆様のNHKの限界を見た」というのは言い過ぎでしょうか…?!

ホントのこと言えば、映画よりこちらのほうがおすすめ!NHKのドラマです。

アマプラではNHKで放送された「岸辺露伴は動かない」の第一期〜第三期までプライム会員特典(プライム会員なら無料)で観ることができます。

岸辺露伴は動かない 第一期

 3エピソードを収録。

岸辺露伴は動かない 第二期

 3エピソードを収録。

岸辺露伴は動かない 第三期

 2エピソードを収録。

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