基本情報
公開年:2025年
監督:呉美保
脚本:高田亮
キャスト:嶋田鉄太(上田唯士)瑠璃(三宅心愛)味元耀大(橋本陽斗)蒼井優(上田恵子)風間俊介(浅井裕介)瀧内公美(三宅冬)
上映時間:96分
あらすじ
<以下、公式サイトより引用>
上田唯士(ゆいし)、10才、小学4年生。両親と三人家族、おなかが空いたらごはんを食べる、いたってふつうの男の子。最近、同じクラスの三宅心愛(ここあ)が気になっている。環境問題に高い意識を持ち、大人にも臆せず声を挙げる彼女に近づこうと頑張るが、心愛はクラスのちょっぴり問題児、橋本陽斗(はると)に惹かれている様子。そんな三人が始めた“環境活動“は、思わぬ方向に転がり出して――。
評価
面白かった!良い映画でした。ってか誰が観ても「良い」という評価を付けると思います。「子供たちががんばっているから」とかいうつまらん理由ではなしに。
いや、実際子役の皆さんはみんな凄いんです。ナチュラルに映っているというより、ちゃんと芝居をしてちゃんとこちらの感情を揺さぶってくる。そんな子供たちが一クラス分いるわけですから、どうやって演出したんだろう?!ってほんと思います。呉美保監督作品は初めて観ましたが、すげえなあ〜!
では以下、どんなところが良かったか?の感想です〜。(ネタバレちょいあり!)
感想
オープニングはマンションのエレベーターに乗り込む10歳男児・唯士(ゆいし)の姿から。顔に対してカメラは水平。つまり、子供の顔の高さまでカメラが降りているということです。その後フレームインしてくる友達の顔と共にかなりのアップです。
エレベーターを降りたら走って登校するのがデフォルトな10歳男児、そのスピードに合わせて、手持ちカメラがかなり豪快に揺れる。こっちが酔うくらい。
この冒頭一連のシーンで「この映画は子供の目線で子供の世界を見せる作品です」と高らかに宣言しているわけです。肝据えてついて来いよ、っつう監督の気合いを感じます。
話の展開も早く、まず主人公の唯士は大人びたクラスメイト・心愛(ここあ)に恋をする。環境問題と大人の欺瞞を訴えた彼女の作文に心を打たれたのです。子供とはいえ、10歳ともなれば自分の恋心を相手や周囲に知られるのは恥ずかしいんじゃないか?と思うんですが、唯士はとても素直な子なので、もう身体全部を心愛のほうに向けてしまう。常に顔も身体も気持ちと一致している感じがします。お母さんの蒼井優が心を砕いて真っ直ぐ育てている良い子です。
一方、唯士が好きになる心愛は周囲の女子と比較しても大人で、心のうちは読めません。いつも座って環境問題に関する本を読んでいるので、意識が高いのは分かります。
そして彼女が気に入っている男子が陽斗(はると)。突然クラスメイトの持っているボールを奪って投げたりする暴れん坊。問題児ですが背が高く顔がいいので、なんとなく女子にもそこまで嫌われていない。行動力があるのでむしろ人気があるほう。(小学校にいたなあ、こういう男子!)
この三角関係のせいで、3人ではじめた「環境問題啓発活動」がエスカレートしていく。大人の世界でもあることです。
で、圧巻は最後の「保護者呼び出し会」。
もはや環境テロリストと言えるほどエスカレートしていく心愛とそれを煽る陽斗。一体コイツらの家庭どうなってんだ?親の顔が見たいわあ、などと思っていると最後ちゃんと親が出てきます。大騒動になってしまったんで親子共々学校に呼び出されるのです。
心愛の母親役が瀧内公美。映っている時間はわずかですが、まあ凄い。「由宇子の天秤」でも度肝を抜かれましたが、こういう役にハマると本当に凄いね。
陽斗の保護者は両親。突然のことで預ける先がなかったのでしょう、ぐずる幼い弟たち同席。
ぜひ観てこの嫌な感じを共有して欲しいので詳細は書きませんが、親が登場した瞬間、大人には「あ〜、だから子供がああなのかあ〜」って分かっちゃうのですよ。10歳なんてのは、まだ親の一部位みたいなもんなのです。
それでも唯士はこの席で、親も予想だにしなかった勇気ある告白をする。このシーン、子供が親と分離し、一個人になる瞬間を見たようで泣けましたよ。
冒頭の作文の授業で、ある生徒が「10歳は半分成人式をすると聞きました」と言うんですが、ここにかかっているように思います。その後、心愛が唯士に心を預けるのもとても良いです。
この映画、一人の人間が恋をし、その結果トラブルを巻き起こし、その経験を通じて成長を遂げるという実にドラマチックなストーリーなんですが、それがコメディタッチで淡々と描かれる。誰もが子供時代を思い出して、酸っぱい気持ちになったり温かい気持ちになったりするような作品です。
あ、あと個人的には子供がさよならの代わりに「バイビ〜」って言っていたのにグッときたよね〜。40年前も言ってたけど、今の子も「バイビ〜」言うんやね?!
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子どもが出てきて「どうやって演技つけたんだろう?凄いなあ〜」と思ったもう一本の作品が「0.5の男」。全5話からなるドラマです。ドラマ用につくった架空の戦隊モノに大ハマりしている暴れん坊の幼稚園児が出てきます。存在があまりに自然すぎて一体どうなってんの?!ってなります!レビュー貼っておきます。
瀧内公美さん主演「由宇子の天秤」レビューはこちら。報道ドキュメンタリー番組のディレクター役。自分では正義の味方だと思っていますが実際は自分の作品のことしか考えていないクセモノです。瀧内さんの横顔ゾクゾクしますよ。
