不穏度
75（100を満点として）
霊能者のシーン、すごくいいよね
基本情報
公開年：2022年
監督＆脚本：萱野 孝幸
キャスト：高橋佳成（春利／はるとし）中村祐美子（小夜／さよ）青山貴史（ケント）
上映時間：81分
あらすじ
＜以下、公式サイトより引用＞
漫画家志望の春利は、大学を卒業しても夢を諦めきれず、同棲中の恋人の半ばヒモ状態。そんな後ろめたさから逃げ出すように、学生時代の友人たちと１泊２日の旅行に出かけるのだが、その最中、応募していた漫画賞の結果が落選だったことを知り自暴自棄になってしまう。そこへ、かつて思いを寄せていた小夜が遅れて合流してくるのだが、春利の微かな高揚感と淡い下心とは裏腹に、事態は思いも寄らない阿鼻叫喚の地獄へと転がり始めてゆく……。
評価
へええ〜！感心してしまいました！面白かった！またまた生まれた低予算ナイスアイデアジャパニーズホラーです！アマプラを開いたら「お勧め」に出てきまして、ちょっと前にXでバズってたし81分と短いのも良いし、と思って観たら大正解でした。
正直「映画」としての魅力はさほど感じません。冒頭から旅に出かけるまでのシーンの、隅々まで明るすぎるテレビドラマみたいな画にはゲンナリしましたが、中盤以降のホラーみと話の転がり方はそんな感想が吹っ飛ぶほどの面白さ！
幽霊から雷まで怖いモノは数あれど、【アレ】を恐怖の対象として具現化したホラー映画ってこれまでなかったのではないでしょうか？！でも確かにとても恐ろしいモノなんです…。
未見の方は絶対に話を知らない方が良いので、以下ネタバレしないよう、感想みたいななんやかんやです〜。
感想
キャッチコピーは「悪夢もまた、夢」「これは、おぞましくも切ない、モラトリアム奇譚」。うわ〜！後で見返すと実に的を射たというか、ネタバレやないの！というほど直球なコピーです。
さて、唐突な自分語りになりますが…
20代から30代にかけて良く「空を飛ぶ夢」を見ました。これ全然爽快じゃなくてですね…、何か（大蛇や魔物のようなもの。毎回異なる）に追われて仕方なく屋上から飛び降りて平泳ぎのような飛び方でどうにかこうにか逃げる…という悪夢。毎回汗びっしょりで目を覚ましていました。
同作の主人公、春利の夢である「漫画家」になぞらえると当時のワタシは「デビューはしたものの売れず失速、描きたくもないものを生活のために描いている状態」（実際には漫画家ではないですが「夢」に対する当時の位置ってことね）。もう無理かな〜…と思いはじめたころ、空を飛ぶ悪夢も見なくなったのです。まあ、一応夢は叶ったけれど持続できず中途半端に終わったってとこでしょうか。
映画の中で「夢を持っている」のは春利だけ。皆が会社で奮闘している時期にフリーターをしながら漫画家になる！と言っているんですから、恋人にはいい加減に働けと言われ、友人の中にはバカにする者もいる。その中で昔の恋人（未満？！）の小夜だけは応援してくれる。そしてもう一人、春利をバカにしない友人がいるのですが、彼は春利とともに「思いも寄らない阿鼻叫喚の地獄」へ旅をすることになります。なぜ彼だったのか？を後で考えると興味深いです。劇中ではその理由が語られない所も良い。彼のサイドストーリーが浮かびます。
…って、あ〜、うーん、いかん、ネタバレさせないように書けないなあ。
ん〜、もう一つ言うなら冒頭に「画としての魅力はあまりない」と書きましたが、おっ？！と思うような面白いシーンもたくさんあります。怖いし。ともかく短いくてサクッと観られるので、気になる方はぜひ観て下さい！
そしてこの作品を観て感じるところがあった方へ。
空を飛ぶ悪夢を見なくなった、と先ほど書きましたが、ワタクシ50代半ばになりまして、最近また違う悪夢を見るようになりました。昔の知り合い、例えば名前も覚えていないクラスメイトとか、仕事上の先輩後輩なんかが出てきて、直球で嫌なことを言われたり、いたたまれない感情になったりして、これまた汗びっしょりで目が覚めるっていう。朝からほんと嫌な気分になります。
これ中途半端にしたせいなんですよね、終わったと思っていても「アレ」はどこまでも追ってくるんですよ。みなさんもどうか気をつけて下さいね…。
※なんと！wikiにほぼ最後までのストーリーが記載されています。読んでもよいと思いますが、映画はそれ以上に魅力的です！
「夜を越える旅」はアマプラ会員特典で観られます〜。
「夜を越える旅」が気に入った方にはこちらもお勧め！低予算ナイスアイデアジャパニーズスリラー「メランコリック」。レビューはこちらです。
