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不穏映画が大好物のアラフィフ女 不穏度を数値化しています 感想と考察が入り混じる映画レビュー すべて個人の感想です

【汚れた血】感動しすぎ映画をもう一度観てみたら…?!疾走シーンで泣ける理由

 

汚れた血 [Blu-ray]

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  • ドニ・ラヴァン
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不穏度

30(100を満点として)

ディストピアに咲く愛

基本情報

公開年:1988年

監督:レオス・カラックス

キャスト:アレックス(ドニ・ラヴァン) アンナ(ジュリエット・ビノシュ) リーズ(ジュリー・デルピー) マルク(ミシェル・ピッコリ)

上映時間:125分

あらすじ

<以下、公式サイトより引用>

あと数年で21世紀を迎えようというパリ。彗星が接近しているため、夜でもおそろしく暑い。そして人々は愛のないセックスによって感染する新しい病気「STBO」の蔓延におそれおののいていた。

天涯孤独となったアレックス(ドニ・ラヴァン)は、どこか別の場所で、新しい人生を送りたいと思っている。ガールフレンドのリーズ(ジュリー・デルビー)と過ごす、愛のひとときも彼には無意味で、ただここから抜け出せればよかった。

中年の男マルク(ミシェル・ピコリ)と美少女アンナ(ジュリエット・ビノシュ)に誘われアレックスは脱出のための金欲しさに、犯罪に手を貸す。マルクは亡き父の友人で、アンナはマルクの情婦。いつしか、アレックスはアンナを愛するようになるのだが…。

評価

感動しすぎてもう2度と観たくないという映画がこの世には存在します。

こんな書き出しで「汚れた血」のレビューを書いたのが3年前。17歳で出会ったこの作品、「今観たら冷静に分析する自分が出てきそうで観られない。」と書きましたが、この度勇気を出して、ユーロスペースで上映していた4Kレストア版を観てきました。

その結果「良い映画はいつ観ても良いなあ〜」とさらに深く感動しましたよ!かつ17歳でこの映画に出会えた事は人生の宝物だとも思ったし、当時心を震わせた自分凄いなあという謎の自己肯定感も得られたりして。

では以下、2年前に書いたものをがっつり改訂したレビューです。

感想

疾走シーンで泣く理由

もう本当に語り尽くされた部分ですが、やはり一番印象的なのは走るシーンでしょう。公開当時確か「疾走する愛」みたいなコピーがついていた記憶があります。

一つはアレックスがデヴィット・ボウイの「モダン・ラブ」に合わせて踊り走る長回し。7回テイクを撮って結局一番初を使ったそうな。

舞台は近未来パリの夜。アレックスが走るアスファルトのバックには、工事現場にある衝立のような壁が立っている。白いその衝立のところどころに、作品のテーマカラーである鮮やかな赤や青が塗られています。この衝立は連なってあるので、画面に縦の線が無数に生まれます。この縦の線を突破する形でアレックスが走る。彼を追うカメラは横移動です。

画面構成上「縦の線」ってとても意味のあるものなんですよね。例えば2人の人物の間に柱、つまり縦の線が一本あると、その2人は対立しているという意味合いになったりします。

アレックスの行き先にはその縦の線が無数にあります。障害や心の壁のメタファーでしょう。

確かこの疾走の前、泣いているアンナを懸命に笑わせるくだりがあるんですよね。恋したアンナは仲間の恋人。そしてアレックスはこれから命を張った大強盗をしようとしている。

恋の喜びと悲しみ、恐怖感と高揚感。これらの感情を爆発させつつアレックスは縦の線=障害物を突破していくのです。立ちはだかる壁をものともしないエモーション!こんなの泣きますよ!

そしてこのシーンに呼応するのがラストのアンナの疾走。

パラシュートで失神したり、目の前のホテルに行くのにもお姫様抱っこをしてもらう、「静」の人、アンナ。その静の人が、ラストに突如死んだアレックスのために走る。この走りっぷりが実に良くて、ここでもまた泣けてしまう。

昔観た時はなんでこんなに泣けるのか分かりませんでしたが、今なら分かります。上手なんですよ、つくりが。「画面の中で人が走る」という実にシンプルな、けれど映画の原点のようなカットにいかに焦点を当てているのかも良く分かるし、これだけでもカラックスがいかに映画を愛しているのかが分かります。そんなところにもまた泣ける。

いやあ〜、昔感動し過ぎた映画も観直してみるもんですね!良い作品はより良さが分かるってもんです。

レストア版観て良かった!

今回デジタル化したものを観られて良かったです!ものすごく色が綺麗なんですよ。

ジュリエット・ビノシュに憧れて、17歳からワードローブに赤いカーディーガンを絶やさずにいました。ずっと黒っぽい赤だと思っていたのですが、今回明るい赤と判明。40年間違って買い続けてたんかい…。

夜のシーンが多いので、暗い画面に浮かびあかる赤、アレックスの革ジャンの黄色、ビノシュの青いバスローブ、ジュリー・デルピーの透き通るような白い肌など、どこをとってもハッとするほど美しいです。

※4Kレストアについてはこちらをどうぞ

kyoroko.com

赤い表紙のパンフレットも購入。スチール多めですが、どれも本当に美しい場面でうっとりします。88年の公開当時のパンフレットと共に宝物になりそうです。

足を運べそうな方はこの機会にぜひ!

ユーロスペースの作品情報ページを貼っておきますね〜。

www.eurospace.co.jp