映画ごときで人生は変わらない 

不穏映画が大好物のアラフィフ女 不穏度を数値化しています 感想と考察が入り混じる映画レビュー すべて個人の感想です

【シャイニング】感想/衣装に隠された秘密。赤と青が示す「狂気」の正体とは?!

 

シャイニング [Blu-ray]

シャイニング [Blu-ray]

  • ジャック・ニコルソン
Amazon

不穏度

90(100を満点として)

基本情報

公開年:1980年

監督:スタンリー・キューブリック

脚本:スタンリー・キューブリック ダイアン・ジョンソン

キャスト:ジャック・ニコルソン(ジャック・トランス)シェリー・デュヴァル(ウェンディ・トランス)ダニー・ロイド(ダニー・トランス)

上映時間:119分

あらすじ

<以下、アマプラの紹介文より引用>

冬の間閉鎖されるホテルに、作家志望のジャック一家が管理人としてやってきた。そのホテルでは過去に、管理人が家族を惨殺するという事件が起こっていたのだが…。

評価

キューブリックの傑作ホラー『シャイニング』。 たぶん3回目くらいの鑑賞ですが、相変わらず……いやまてよ、今回は今までで一番面白かったかもしれません!

そもそもなぜ今さら見直したのかって言いますと、 今読んでいる「映画分析入門」という本に書かれていた解説に腰を抜かすほど驚いたからなんですよ。

「この作品は、人間の獣性と理性との葛藤を描いている」

ええええっ、そうなの!? あっしは「雪のホテルに閉じ込められた書けない作家が狂っていくホラー」だと思ってましたよ!ほえ〜

では以下「増補改訂版Film Analysis  映画分析入門」を引用しつつの感想です〜。

感想

獣性と理性の葛藤とは?!

フィルムアート社発行の「映画分析入門」、著者はマイケル・ライアン&メリッサ・レノス。構図やカメラワーク、編集にはこんな意味があるんですよ、と実際の映画作品を引用しながら解説してくれる分かりやすい一冊です。練習問題なんかもついてたりして学生向けっぽい。

その中に「映画の精読」という章があり、黒澤明の「天国と地獄」、SF「メッセージ」などと並び「シャイニング」の解説がありました。

まず、ワタシの「シャイニング」の印象は「嫁の顔が怖い」です。気ぃ狂っていくジャック・ニコルソンとホテルに現れる双子の姉妹が怖いってのが定説ですが、追い詰められる妻役の女優さんも独特の容姿をしていてなんか怖いんですよ。そんで自分も家で仕事しているから作家のジャックのイライラが良く分かり、感情的すぎる妻にも非があるのでは?なんて思っていたんです。

ところがところが。

「映画分析入門」によれば「人間の獣性と理性との葛藤」をテーマに据えたこの作品では、理性的な「善の人」が妻であり、理性を失い獣化していくジャックが「悪」である、と。

そして視覚的に理性は青で、獣性は赤で表現されている、と。

・妻・ウェンディと息子ダニーのオープニングの衣装=赤い服の上に青い服を重ね着

・意味=理性(青)で本能(赤)を抑えている

とくにウェンディの「真っ赤な上下の上に半袖のギンガムチェックのワンピース」という妙ちくりんな格好はそのためだったのか!

一方でおかしくなり始めた時のジャックはエンジ色のシャツ

そして壁も便器も真っ赤という異様なトイレのシーンは、ここからジャックの獣性が全開になるという転換の場面です。

こうなってくると画面の中でひたすら赤と青を探してしまう。あの人の帽子さっきまで青だったのに赤に変わってるぞ?あの部屋にあったのは赤い表紙の本だな、とか…。もはや間違い探しゲームです。1回目の見方としてはどうかと思うけど、3回目としてはとても楽しい。

そんで、そもそもキューブリックがこの映画で何を伝えたかったかと言えば、一人の人間の中の獣性と理性のせめぎ合いは、社会にも置き換えられる、と。

獣性=保守、理性=リベラルと考えると、そのバランスを崩してやしませんか?と。

だからあのホテルは先住民族の墓地の上に建っているという設定であり、ラストに出てくる写真の日付が7月4日(アメリカ独立記念日)ある、と。

もちろんこれは批評の一つなのでキューブリックの意図と全く同じとは言えないのでしょうが、こういう見方、思いもつかなかったので驚きでした。

実に教科書的古典映画なので色々と学ぶことはありますが、ただ単にぶっ壊れていくジャック・ニコルソンを怖がるだけでも充分面白いホラーです。

ちなみに「シャイニング」とはダニーが持っている超能力のこと。「輝く」の意味も掛けられていて、「善」側の妻に当てられる光もまた意味を持っているんだとか。

一度は観るべきホラー、この機会にぜひどうぞ。アマプラで観られます〜。

シャイニング (字幕版)

シャイニング (字幕版)

  • ジャック・ニコルソン
Amazon

アマゾンプライムは30日間無料体験できます。初めての方はこちらからお申し込みを!

「増補改訂版Film Analysis  映画分析入門」、天国と地獄の精読も面白かった!登場人物たちの感情が変化していく様を空間の中の人の配置で表現している…なんてことが解析されています。こちらも面白い映画なのでまた観たら引用しつつ備忘録としてまとめたい。

キューブリックはもう一本「博士の異常な愛情」レビューも書いています。キューブリックといえば一点透視法ですが、あれって神の目線なんですよね…。いずれ大好きな「2001年宇宙の旅」もレビュー書きたいと思っています。

kyoroko.com