【終わらない週末】評価と感想(ネタバレほぼなし!)/崩壊は内側からはじまる

不穏度

75(100を満点として)

終焉は心穏やかに迎えたい

基本情報

公開年:2023年

監督&脚本:サム・エスメール

キャスト:ジュリア・ロバーツ イーサン・ホーク マハーシャラ・アリ マイハラ

上映時間:141分

あらすじ

<以下公式サイトより引用>

のんびり週末を過ごそうと、豪華な別荘を借りた一家。だが到着早々、サイバー攻撃により携帯やパソコンが使えないという不測の事態が起こる。そして、玄関口に見知らぬ男女2人が姿を現す。

評価

映画マニアで知られるオバマ元大統領夫妻が製作総指揮に加わったことで話題になったNetflixオリジナル作品「終わらない週末」。この度やっと観たのですが評判通りの面白さでした!ジャンル的にはスリラーってとこでしょうか。日常がゆっくりと狂っていく様がたまりません。この手の作品が大好物なワタシは大満足でした。では以下、ざっくり感想です〜。(ネタバレほぼなし!)

感想

オープニング、妻のジュリア・ロバーツの一存で突如バカンスに出かけることになった一家。「人間は嫌い」というジュリアへの不自然なズームがあったかと思うと、軽快な音楽に乗せてタイトルバック。この映画、劇伴もあるのですが、それとは異なるキレの良い音楽の使い方をしており、センスの良さを感じます。監督のサム・エスメールは40代。映画監督としてのキャリアはまだ浅いようですが、おそらく耳の良い人なのでしょう、これからが楽しみです。

さて、一家4人は別荘をレンタル。まあ、民泊みたいなもんです。砂浜も近いし楽しく過ごそうと思っていたらネットが通じなくなる。13歳(?)の下の女の子は配信で観ていたドラマ「フレンズ」の最終回が途中で観られなくなったのでブンむくれ。

なんで「フレンズ」だったんですかね?これ、ラストシーンにも関わってくるんで理由はあるんでしょうが、すみません、フレンズ観てないんでさっぱり分かりません…。

そんでその後、巨大オイルタンカーが砂浜に突っ込んできたり、別荘の持ち主と名乗る黒人男性と娘が深夜突然ピンポンしてきたりと、おかしなことが起き始める。

視点はあくまでも郊外の別荘にいる彼らのもの。観客も「外の世界」で何が起きているか知る術はありません。断片的な情報と想像(妄想?)でアメリカがサイバー攻撃されたのでは?と結論づけるしかない。

んでですね…ちょっと気になったのは劇中、鹿に囲まれたり、フラミンゴがプールに集まってきたりと動物の異常行動が出てくるんですよ。動物がおかしくなるなんて「地球の危機」かと思ったら、あくまで「アメリカの危機」なんですよね。この辺はアメリカ映画だよな〜。アメリカ=世界という考え方が滲み出ているようでゲンナリしてしまいました。(いや、何か別の意図があるのかも知れませんけど)

…って、悪口になってしまいましたが、この作品、予算も莫大だろうし派手なシーンを作ろうと思えばバンバン入れられるのに、あくまで静謐に「アメリカの終焉」を描いているところが良いです。リアリティもある。どんな組織も崩れる時は内側からと決まっています。少しづつ確実に壊れていく様は、未来を担うはずの少女が最後まで「フレンズ」、つまり虚構の世界に夢中で、現実に関心がないことからもうかがえます。

サバイバル生活になったら一番の心配事であるはずの「食料」に関することが一切出てこないことも恣意的。「今そこにある危機」は、「食」という即物的なことではない、と言いたいのかもしれません。

最後になりましたが、別荘の持ち主役のG・Hを演じたマハーシャラ・アリの存在感すごいな。インテリっぽさと気味悪さと誠実さが混ぜこぜになっている今回の役はピッタリ!アカデミー助演男優賞受賞の「グリーンブック」ももう一度観て感想書きたいな〜と思ったのでした。

「終わらない週末」はNetflixのみで視聴可能です!

www.netflix.com

原作本もあります。ラストは映画とは異なるそうな。 

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