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【オーダー】感想(ネタバレちょいあり!)/現代も読まれ続ける恐怖の「ターナー日記」とは?!

 

オーダー

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  • ジュード・ロウ
Amazon

不穏度

20(100を満点として)

アメリカの田舎は闇

基本情報

公開年:2025年

監督:ジャスティン・カーゼル  

脚本:ザック・ベイリン

キャスト:ジュード・ロウ(テリー・ハスク) ニコラス・ホルト(ボブ) タイ・シェリダン(ジェイミー・ボーエン) ジャーニー・スモレット

上映時間: 117分

あらすじ

1980年代に起きた事件を元にした作品。白人至上主義者団体「ザ・オーダー」がテロリストと化していく。それを追い詰めるFBIの戦いぶりを描く。

評価

すんごく面白い!とまでは言えませんが、落ち着いて観られる良い作品でした。

そもそも「あらすじ」がたった2行ですみません。これ、Amazonのオリジナル作品なんですが、公式の「あらすじ」らしきものが見当たらず、適当に書いてみたら2行で終わってしまいました。いわゆる「FBIもの」で、設定もストーリーも既視感があるんです。でも失敗はしていないから安心して見ていられる。最も目を引くのは00年代に「最もセクシーな男性」にも選ばれたジュード・ロウの枯れっぷり。酸いも甘いも噛み分けた52歳、イイです!

では以下、ざっくり感想です〜。

感想

舞台は1980年代のアメリカ。牧歌的なド田舎(なに州か忘れましたすみません!)にやってくるFBIのテリー(ジュード・ロウ)。赴任の理由はここを拠点にしている過激思想のキリスト教団体に動きがあったから。この団体からもっと過激な一派が生まれ、テロ活動をしているらしい。ことなかれ主義を貫く現地の保安官らの中に、問題意識のある若者ジェイミーがいる。テリーは彼とバディを組みます。老練なテリーはジェイミーを「使える」と踏んだのです。

そして映画の中ではテリー&ジェイミーの家族環境が描かれます。若いながら奥さんと子供がいて一家の大黒柱として働くジェイミー。一方のテリーの家庭はどうやら崩壊しています。赴任先に妻と娘を呼ぼうと留守電にメッセージを入れるのですが、無視されるんだろうな〜という雰囲気が冒頭からぷんぷん。

一方、ボブを中心としたテロリスト側の家族関係も描かれています。こちらも一見和やかなパーティーに見えますが、幼児に銃の持ち方を教えている。嫌な場面です。

んでいろいろあって、ジェイミーは殉職し、老兵テリーは生き残る。お約束っちゃあお約束ですが、ジェイミーが息を引き取るまでのシークエンス、そして殉職を奥様に伝えにいくシーンは胸詰まるものがありました。若いジェイミーはテリーに反発しながらも憧憬の念を抱き、いつしかテリーの真似をするようになっていく。その結果、犯人に撃たれるのです。テリーの身になるとこれはキツい、キツすぎる…。ラスト、燃え盛る家(犯人・ボブの隠れ家)の中に突っ込んでいくところは「そんな無茶な」と思いましたが、テリーはもういつ死んでもいいと思っていたんでしょうね…。

さて、ワタシが興味を持ったのは、これが「実話ベース」の話だということです。

映画の中には「ターナー日記」という赤い表紙の本が出てきます。テロリストが子供に読み聞かせている場面もあります。これはアメリカで実際に出版されている本です。

この本、ネオナチ・白人至上主義者のウィリアム・ルーサー・ピアースという人物が1978年に出版したもの。

白人至上主義者の活動家“ターナー”の日記という手法で彼がテロを起こし、非白人(ユダヤ人・同性愛者含む)らを排除していく様子を描いています。テリーらFBIは途中でボブたちが、この本の内容に沿ってテロを起こしていることに気がつくんです。本には人を集め、資金を集め、武力革命を起こす、そのために必要な手段が書かれています。彼らのゴールは「ロープの日」。民族浄化のため、非白人を大通りに「吊るす」のです。

実はこの「ターナー日記」、今でもテロリストのバイブル的に読まれているのだそうで。

2020年1月の連邦議会議事堂占拠事件では、トランプ支持者たちがターナー日記に沿って議事堂前にロープ(絞首台)を設置したのだとか。

1980年代のこの事件を取り上げる企画が持ち上がったのは、まさに今だからなのでしょう。あれは遠い昔の出来事ではないよ、という警告として。制作はアメリカ・カナダ。こういう映画を作ることができるだけ、まだマシなのかも知れません。制作人の気概を感じる一本です。

オーダーはアマプラで観られます!

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  • ジュード・ロウ
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