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不穏映画が大好物のアラフィフ女 感想と考察が入り混じる映画レビュー。不穏度を数値化しています

【ミッシング・チャイルド・ビデオテープ】感想(ネタバレほぼなし)/神隠しが導く怪奇な山の秘密とは?!

 

不穏度

90(100を満点として)

懐中電灯に切り取られた丸い世界の外側にあるもの。

※不穏度100映画はこちらにまとめています

基本情報

公開年:2025年

監督: 近藤亮太

脚本:金子鈴幸

キャスト:杉田雷麟(兒玉敬太)平井亜門(天野司)森田想(久住美琴)藤井隆(塚本哲也)

上映時間:104分

あらすじ

<以下アマプラ紹介文より引用>

敬太(杉田雷麟)は幼い頃、弟・日向が自分と出かけた山で失踪するという過去を持ち、今は失踪した人間を探すボランティア活動を続けていた。そして、ある日突然母から古いビデオテープが送られてくる。それは、日向がいなくなる瞬間を映したビデオテープだった。霊感を持つ同居人の司(平井亜門)はそのテープに禍々しい雰囲気を感じ、敬太に深入りしないよう助言するが、敬太はずっと自分についてまわる忌まわしい過去を辿るべく動き出す。そんな敬太を記事ネタの対象として追いかけていた新聞記者の美琴(森田想)も帯同し、3人は日向がいなくなった“山”に向かう…。

評価

ものすごく怖かったよう、うえーん…

「物の怪そのもの」も(ほぼ)映らなければ、ジャンプスケアもない。人によっては全然怖くないという作品でしょうが、ワタシにはとても怖かった上に、不穏映画好きとして正面からブッ刺さった作品でした。夜中にリビングのモニターで一人で観ていたんですが、恐怖に耐えられずに途中停止、翌日の昼間に続きを観たけどやっぱり怖かった…。

度々例にあげていますが、自分史上最高に怖かった映画は「呪怨(ビデオ版)」。その恐怖度を100とすると今作は90。

観客が物語を補完する「考察系」でもある今作ですが、なんせ超常現象がメインの話ですんで、どうとっても正解なのよね…。では以下、感想です。ネタバレはほぼなしです!

感想

オープニング。山の中で迷子になったらしき子供の姿。そこへ大人の男性が現れます。行方不明者探しのボランティアに参加している、主人公の敬太です。子供は敬太の持っている鈴に興味を示します。子供の視線が鈴に向いているのに気づいた敬太は「あ、熊避け」と言って子供に鈴をあげます。それを聞いた子供は「悪魔よけ?」と言う。

「あ、くまよけ」「あくまよけ」。ゾッとしますね〜。このシークエンスで期待度がぐわっとあがりましたよ、日本語でしか通じないのが残念ですが。

さて、この「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」というタイトルと山が舞台というシチュエーション、映画好きの方ならきっと思い出すでしょう、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を。タイトルの語感が似ています。

「ブレア・ウィッチ〜」は99年公開、低予算モキュメンタリーホラーとして大ヒットした作品です。

今作にも漂っているんですよね、90年代の匂いが。そして「怖そうな雰囲気」を出しつつの「そのもの」は映さないという手法も同じ。1988年生まれの近藤監督は「少年時代の自分を心底震え上がらせたJホラーをもう一度正面から作りたい」と語っています。「ブレア・ウィッチ〜」はアメリカの映画ですが、「あの頃見た怖い映画」の一本として影響を与えていることでしょう。

「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」に出てくる「恐いもの」は、神隠し、霊感のある友達、古いビデオテープ、見つからない廃墟、ノイズが入る通話、行方不明者が残したカセットテープ、過去に未解決事件が多数起きている山、などなど。

これと言って目新しいものはありませんが、どれもこれもしっかり怖い。ストーリーも、縁の薄い母親から一本のビデオテープが送られてきて、なぜ?何のために?を探るミステリー仕立てになっているので引き込まれます。

中盤まではミステリーの面白さで引っ張って、後半以降ひぇぇえ〜と恐さが迫ってくる。

ワタシが恐ろしさのあまり一時停止したのは司(霊感がある友達)が夜中に敬太の実家を再訪する場面。だいぶ後半です。もう少し頑張れば終わるのに、無理でした。だってさあ、絶対なんかいるやん、そこ。夜中に行くなよおおー!!(涙目)

今作に多用されているのが、ホラーものに必ずある、人物を背中から撮っておいて、その人が恐る恐る振り返ると…というあのショット。次のショットはカメラ位置が逆になって(つまり、その人物が見たものが映る)「後ろにいるそのもの」を映すというのが定番です。それにしてもこのパターン始めに発明した人は誰なんでしょう?すごいよね、バックショットの人物が立ち止まるだけでドキドキするもの。

今作ではこの定番パターンのアレンジバージョンもいくつか見られます。お、そうきたか!って感じで面白いです。恐いけど。

それと、旅館の男性が語る山の逸話が秀逸。怪談話は世に溢れていますが、あまり聞かない方向の怪談です。ゾッとします。注目したいのはこの男性の口から出る「神」という言葉。冒頭の「悪魔」と対義する言葉です。神は時に祟るもの。町の人たちが捨てた不浄のものを全て飲み込んでくれる山は、同等の贄を要求していたのです。

これは勝手な想像ですが、あの山で神隠しや悲惨な事件があった時、その前に村人が「何か」を山に捨てていたのではないでしょうか?山はそれを受け入れるかわりに生贄を求めた、と。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」に詳細な裏設定があったように、本作もそんなサイドストーリーを隠し持っているような気がします。この「そんな気がする」感もまた、不穏映画としてよくできてるな〜と思ったのでした。

あとさあ、あの塾の女の子、何を視てたんだろね…。新聞記者の彼女の過去も気になるところです…。ひえええー

ミッシング・チャイルド・ビデオテープはアマプラで観られます〜。

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