
不穏度
5(100を満点として)
意外と爽やかな後味だったりする…!
基本情報
公開年: 2026年
監督&脚本:黒沢清
主なキャスト:
本木雅弘(荒木村重)
菅田将暉(黒田官兵衛)
吉高由里子(千代保/村重の側室)
青木崇高(荒木久左衛門)
宮舘涼太(乾助三郎)
柄本佑(雑賀下針)
オダギリジョー(郡十右衛門)
上映時間:147分
あらすじ
<以下、公式サイトより引用>
荒木村重(本木雅弘)は暴虐な織田信長のやり方に反発し、籠城作戦を決行する。城は織田軍に囲まれ孤立無援に。
城内の血気盛んな家臣たちを抑えながら、村重は妻・千代保(吉高由里子)を心の支えに、城と人々を守ろうと苦心していた。そんな時、城内である少年が殺される事件が発生。その後も怪事件が次々と起こる。容疑者は、密室と化した城内に居る家臣や身内の誰か。城外は敵軍。城内は裏切り者。誰もが疑心暗鬼になっていく中、村重は牢屋に囚われた危険な天才軍師・黒田官兵衛(菅田将暉)と共に謎の解決に挑む。事件の驚きの真相とは―。
評価
面白かったー!!
時代劇も戦国時代もよく知らんのだけど分かりやすかったし、謎ときになっているので最後まで集中力が途切れる時間帯がありませんでした。キャスト陣も豪華で楽しかったし。黒沢清作品にしては(って言い方もアレですけど)「ふつうに」面白かったです。
とはいえ、キヨシファンの方もご安心下さい。いつものビニールカーテンの代わりはちゃんと出てきます。ホラー味溢れるシーンもしっかり出てきます。一瞬ですけどワタシは結構ゾッとしましたよ!
では以下、どのへんが面白かったかの感想など。
感想
米澤穂信原作の戦国ミステリー「黒牢城(こくろうじょう)」。観に行こうと思った理由はもちろん黒沢清監督作品ということもありますが、半分は菅田将暉さん目当てです。
いや〜、ずいぶん遅れてからハマっちゃったのですよ。
きっかけは大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の義経役。返り血を浴びながら少し寂しそうにニッって笑うんですぜ?!あんなに天才でアホで無邪気で可愛くて切ない義経は観たことないよ!!
さらに今年2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟」での竹中半兵衛役も良かった!一説によれば官兵衛など足元にも及ばぬ軍師だったらしいじゃないですか。その天才が志半ばで病に倒れる。亡くなる寸前、青白い顔で夢を語る半兵衛=菅田将暉の美しかったこと…。
って、もしかして時代劇の菅田将暉が好きなのかも。となれば黒田官兵衛役なんて大好物でしかないじゃん?!…ってことで映画館に走りました。
さて、その菅田将暉=黒田官兵衛、冒頭さっさと捉えられ半地下牢に閉じ込められます。ここから一歩も出ない。ずっと小汚い格好しています。
でもこの半地下牢がいいんですよ!床は剥き出しの土。平らではなくぼこぼことしている。タルコフスキーの「ストーカー」が頭に浮かびましたが、たぶんオマージュなのでしょう。だとしたらここは現実と非現実のあわいのような場所なのかも…?!
明かりは頼りなく揺れる蝋燭と高い場所から差し込む太陽光のみ。頑丈そうな鉄格子の扉があり、牢屋番が立っている。官兵衛は柱に鎖で繋がれています。(「蛇の道」っぽいよね)
この場所でのシーンはだいたいが城主の村重(本木雅弘)と官兵衛との1対1の対話。普通に考えれば、捉えられた囚人の官兵衛が弱い立場で城主の村重は強い立場です。当たり前ですね。しかし、わりと早い時間帯に「おや?そうでもないぞ?」と思わせるシーンが出てきます。
村重を前にした官兵衛がヌーッと立ち上がるんですよ。すると顔の高さが村重と同じになるんです。
なんてことのないシーンなんですが、立ち上がり方のヌーッとした感じや、自分の命を握っている相手に対し一切遠慮なく顔を見据える感じに官兵衛の底知れぬ不気味さが現れている。そしてその不気味さに怯む村重、という構図です。
「あれ?この2人の関係性、思ってたより複雑なのでは?!」という予感がしてポップコーンを食べる手が止まりましたよ。
こういうシーンが冒頭にあると、映画館で襟を正すというか正座して観たくなりますわ。
半地下牢のやりとりは何度か出てきますが総じて面白い。鎖で繋がれた官兵衛はほぼ動けないので代わりに村重が歩き回りながら話をします。床の凸凹、先ほどはストーカーのオマージュでは?と書きましたが、単純に村重が歩き回った時に動きが面白くなるから、という理由かも知れません。
そして案の定、村重は官兵衛に頼るようになる。頭脳一つで牢獄の中から人を操る官兵衛、というプロットを「羊たちの沈黙」に例えるレビュワーさんもたくさんいたようです。確かに。心理劇ものが好きな方にもおすすめです。ただ、冒頭に力関係が反転して以降、そのシーソーは変わらないので、どこかでもう一度反転したらいいのになあとは思いました。
それと、面白いな〜と思ったいくつかのシーンについて。
あるセンテンスと、次のセンテンスの始まりがワンカットの中に収まっているといったシーンがいくつかあります。音楽でいうとシンコペーションみたい。前の章の最後の音符から歌が始まる、みたいな。
いやごめん、別に珍しくもないのでしょうが、冒頭テンポよく話が進んで引き込まれるのはこのせいか〜!と気づいたもので。
あと会議シーン。よくテレビなんかで観る江戸時代劇のよりずっと部屋が狭くて武将たちがぎゅうぎゅうになっており、それがかえって面白かった!
それから最後のほう。なんでか分からないのですが、かなり怖いシーンがありました。正直、それまで「ハマってないな」と思った役者さんが出ているのですが、そのホラー味あるシーンにはバッチリハマっていました。なるほど…。
うーん、ネタバレなしで書けるのはこのくらいかな。
荒木村重ってそういう人だったのかあ〜(あくまでフィクションですけど)っていう感想も。
それと最後になりましたが、菅田将暉の黒田官兵衛は言うまでもなく良いです。すごくいいです!!
ともかく老若男女、人を選ばず誰が観ても面白い戦国ミステリーだと思いますよ!公式サイト貼っておきますね〜。
今作は直球の時代ものミステリーでしたが、黒沢清監督作品は怖くて不穏でよく分からんものが多いです。おすすめタイトルをまとめてありますので以下もどうぞ。