不穏度
20(100を満点として)
前作よりも不穏度はだいぶ下がりました
基本情報
公開年:2025年
監督&脚本&撮影&照明&編集:堀貴秀
キャスト:松岡 草子 杉山 雄治 三宅 敦子 堀貴秀
上映時間:105分
あらすじ
<以下、公式サイトより引用>
遥か昔、人類は地上の生息域減少により地下開発を進めた。
その労働力として人間に似せた人工生命体のマリガンを創造。しかしマリガンは自らのクローンを増やして勢力を広め人類に反乱。
第3次停戦協定から280年後の世界。人類は地上に留まり地球規模に広がった地下世界をマリガンが支配していた。
地下世界に異変が-
急遽、人間とマリガンによる地下世界の異変を探る調査チームが結成された。女性隊長トリス率いる人間チームと、クローンのオリジナルであるダンテ率いるマリガンチームは共に目的地である地下都市カープバールを目指すが、マリガンのカルト教団「ギュラ教」に襲撃されてしまう。
彼らの標的は希少種とされる人間の女性=トリス。しかしトリスにはロボットのロビンが護衛として帯同していた。
「トリス様をお守りする」
「ギュラ教」と戦い、調査を進めるが、圧倒的な戦力の差に苦戦を強いられる調査チーム。その激しい攻防の中で彼らは次元の<歪み>を発見する。そしてロビンはトリスを守るため次元を超えた作戦を計画するが-。
地下世界に隠された謎と異変の正体とは?そして次元を超えた戦いの末にロビンが下す決断とは?
評価
前作「JUNK HEAD」がパワーアップして帰ってきた!制作陣も3人からなんと倍の6人に!すごい!JUNK HEADの前日譚となる今作、話は複雑になりキャラクターも増え、何より時間軸のスケールがものすごく大きいのが魅力的。とても面白く、ギャグがツボにハマってしまい笑いを堪える場面が多々ありました(他のお客さんよく笑わずにいられたなあ〜)。では以下、前作JUNK HEADにも触れつつ、感想です〜。
感想
日本人ならたまらないキャラが大集合!「JUNK HEAD」
ざっくり説明しますと、2021年に劇場公開された「JUNK HEAD」は、監督の堀貴秀氏が7年かけてほぼ一人で作り上げたコマ撮りアニメーション。内装業の傍ら、手作りのフィギュアを動かし総コマ数約14万をつないだという狂気の沙汰が話題となりました。いつだったかNHKのドキュメンタリーで制作風景を観たのですが、感動を通り越して「ヤバすぎるやん、この人…」と恐怖感を覚えたことを思い出しました。
…と、この作品を語ろうとするとどうしてもこういったバックステージの話になってしまいますが、ワタシが声を大にして言いたいのは、「アニメ作品としてとても面白いです」ということ。
とにかくキャラクターが良いです。「JUNK HEAD」の主役は、ポンコツ改造人間で見た目ほぼロボットの「パートン」。可愛いです。離れ気味の小さな目に下膨れの顔。口らしきものが顎のところにあるけど、あまり動かない。こういう造形はディズニーには絶対ないよね。ほとんど表情がないのもアジア的というか日本的でとても良い。無表情の赤ちゃんのような薄汚れたロボットが一人、広大な地下世界でポツポツと歩みを進める。そんなシーンだけでなぜか胸にグッと来るものがあります。
鉄腕アトムを思い起こさせる可愛らしさと孤独感、そして他のキャラクターにも共通する、丸っこくなで肩のフォルム。グロくて気味の悪い生物も出てきますが、どこかに「可愛げ」がある。いかにも日本文化を感じさせるこのセンス、お好きな方にはたまらないと思います。
お話は単純で、パートンが地下世界の迷宮で冒険を繰り広げるというもの。最後のほうで、赤い服を着たニコという少女と出会い、共に歩き出す、みたいなところで終わっています(うろ覚えです、すみません!)
訂正:再見したら全然違いました、すみません!パートンは上述の下膨れ顔ロボットから始まり、下層に落ちる度に壊れては再生させられ、造形が変化します。最後は上半身と下半身が分離してしまい、女の子に背負われているカットで終わり。
それにしても、なんとなく見始めたのに結局最後まで観てしまう面白さでした!改めて。
ギャグセンスが光る「JUNK WORLD」
そのJUNK HEADの時代から遡ること1042年前が舞台の「JUNK WORLD」。えーと、前作は配信で観たので劇場ではどうだったのか分かりませんが、今作には「吹替版」と「字幕版」があります。邦画なのに。
そうなんです、この世界には「ゴニョゴニョ語」という独自の言語があるんです。その名の通り、ゴニョゴニョと喋っているんですが、笑えるところっていうのがまさにこのゴニョゴニョ語そのもの。時折はっきりと聞き取れる単語が混ざっており、字幕と照らし合わせると、意味が遠からずだったりする。美術やキャラクター造形が評価されがちな堀監督ですが、ワタシは卓越した言語センスが一番の才能だと思いましたよ!いやほんと、ナイスギャグ過ぎて笑い堪えるの大変な場面がありましたもん。これから観る方にはゴニョゴニョ語が聞ける「字幕版」をおすすめします!
そして、お話が複雑になったのに合わせて、前作にはなかった3Dプリンターによる造形物や、CG加工が見られるようになります。それでもベースはやはりフィギュアによるコマ撮り。ストーリーに集中したいのに、どうしても「よくやるよなあ…すごいなあ…」という思いが浮かんでしまうのが難点っちゃあ難点。そんなわけで話の筋はよう分からん部分もありましたが、そんなことをさっ引いても、満足のいく105分でした。
次回作「JUNK END」も楽しみです!
JUNK HEADはアマプラで観られます。JUNK WORLDは現在公開中です!公式サイト貼っておきます〜。