
不穏度
50(100を満点として)
恐ろしいのはグロ描写より人間の愛憎
基本情報
公開年:2025年Netflixにて配信
監督&脚本:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:オスカー・アイザック(ヴィクター・フランケンシュタイン)ジェイコブ・エロルディ(怪物)ミア・ゴス(エリザベス・ハーランダー/ヴィクターの母)フェリックス・カメラー(ウィリアム・フランケンシュタイン)
上映時間:151分
あらすじ
北極で氷に閉じ込められた船の乗組員が衰弱しきった男、ヴィクター・フランケンシュタイン博士を救助。ヴィクターは船長に、自らの恐ろしい体験を語り出す。
傲慢な天才科学者ヴィクターは、「死を克服する」という野望に取り憑かれ、人間の死体をつなぎ合わせて新しい生命体「怪物」を創り出すが、そのあまりの醜さに怪物を捨てる。
見捨てられた怪物は、孤独と苦悩を抱えながら世をさまよい、盲目の老人のもとで言葉や知識、愛を学ぶ。
やがて怪物は、自分をこの世に生み出しながら見捨てたヴィクターに対し、憎しみと復讐心を抱くようになり、彼を追って極寒の北極へとたどり着く…。
評価
2時間半もの長さですんで、配信で最後まで集中して観られるかなあ〜?と思っていましたが、まったく時間を感じさせない面白さでした!
とにかく展開が早い。誰かが血を流したかと思えば次のカットではもう葬式。細部まで凝った美術が素晴らしいこういう作品って「せっかくお金も時間もかけたんだから切るのがもったいない」という気持ちになってしまうせいか、ともすれば空虚な大作になりがちですが、デル・トロはすごいな。容赦なくガンガン話を展開させている。良いほうに突き抜けられるオタクなんですね。
では以下、ざっくり感想です〜。
感想
お恥ずかしい話ですが、原作「フランケンシュタイン」を読んだことがなくてですね…。映画が北極の船の上で始まるのって脚色かと思っていたら原作通りでした。
原作はメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」。えー、後ろに「あるいは現代のプロメテウス」ってのが付いてたのかあ、なるほど!神と人間の立場を、人間と怪物に置き換えつつ、人間が別の生命体を作るというその傲慢さをプロメテウスに重ねているのですね。
それとこれも勘違いされがちですが、フランケンシュタインとはヴィクター・フランケンシュタインという博士の名であって、例のヤツは名もなき「怪物」だかんね。
そんなこの原作のエッセンスをさらに分かりやすく噛み砕いているのが今作と言えそうです。というのは、原作では触れられていない、父親との関係がガッツリ描かれているんですよ。
厳格な父に育てられ、愛を感じることのなかったヴィクター。大好きな母親は弟の出産時に死んでしまいます。外科医の父は母親を助けることが出来なかった。「死なない生命を作る」という彼の恐るべき野望の原動力は父親への対抗心と、母への思慕です。
んで、成長した弟がある日婚約者を連れてくるのですが、ヴィクターも彼女を好きになってしまう。なぜって、婚約者エリザベスを演じるミア・ゴスは、ヴィクターの母親も演じた同じ役者なのです。ひえっ!怖!ここまでされると分かりやす過ぎて怖い。
デル・トロ自身にも父親との確執があったのでは…?と調べてみたらこんなインタビューが出てきました。
『父にとって男の子とはサッカーや野球が大好きなものだったが、自分は部屋に閉じこもって本を読んでいたので父親に理解されず、愛されていないと思っていた。でも自分自身も子供に同じことをしていた…』というエピソード。
壮絶とも思えない、この実にありがちな親子関係を不朽の名作に内包させてしっかり観せてくるところがさすが。創造性に必要なのはなにも極端な体験ばかりではないのですよ。
さて、原作と異なるのは怪物が不死であること。これ、同じ雨の夜に生まれた怪奇小説「吸血鬼」と重ねているんですかね?分かりませんが、より怪物の悲哀が色濃くなっています。このへんもデル・トロ節。
そんなこんなで久々にNetflixに入った甲斐があったな〜という作品でした。ネトフリオリジナル作品なので、他の配信では観られません。
あと、まるで原作知っているかのように書きましたが、冒頭に触れたように読んでません。青空文庫にあったので、ちょっとづつ読もうかな〜と。
ちなみにこんな物語を書く人は、「生命を作る=子供を産む」ことに関してどう思っていたんだろう?とメアリー・シェリーについても興味が湧きました…。
ティザー貼っておきますね〜
おすすめネトフリオリジナル作品置いときます!
目眩くマジックリアリズムの映像化!原作未読ながらも南米の神秘とドロドロにがっつり引き込まれるドラマシリーズ「百年の孤独」。頼むから続編作って!!
こちらも続編を楽しみにしている「三体」。宣伝に力を入れているネトフリドラマはハズレないように思います!