
不穏度
60(100を満点として)
角を曲がるだけなのに緊張する
基本情報
放映年:2025年
監督:川村元気
脚本:平瀬謙太郎 川村元気
キャスト:二宮和也 河内大和 浅沼成 花瀬琴音 小松菜奈
上映時間:95分
あらすじ
<公式サイトのintroductionより引用>
地下鉄の改札を出て白い地下通路を歩いていく。天井には【出口8】の看板。しかしいつまでも出口に辿り着くことができない。何度もすれ違う同じ男に違和感を感じ、やがて自分が同じ通路を繰り返し歩いていることに気付く。そして壁に掲示されている、謎めいた【ご案内】を見つける。通路のどこかに【異変】があれば引き返し、なければそのまま前に進む。【1番出口】【2番出口】【3番出口】…正しければ【8番出口】に近づき、見落とすと【0番出口】に戻る。次々と現れる不可解な異変を見つけ、絶望的にループする無限回廊から抜け出すことができるのか?
評価
面白かったあああ〜!!劇伴として流れるラヴェルの「ボレロ」のごとく繰り返されるシーンと重なりのダイナミズム!地下通路の静けさは怖いし、それが破壊される瞬間もまた怖い。
賛否分かれているようですが、ワタシはとても面白く観ました。ワンシチュエーションスリラーが好きってこともありますが。
ちなみにゲームは一切できないので、原案のことはまるで知りません。話題にはなっていたのでビジュアルイメージは見たことがあり、地下鉄の出口から出られないなんて面白いアイデアだなあ〜と思った程度。
では以下、そんなレベルの人間が観た感想です。話がシンプルなだけに予備知識は入れないで観たほうがいいと思いますんでネタバレなし!
感想
先ほども書きましたがゲームをまるで知らないもので、頓珍漢なこと言ってたらごめんなさい、先に謝っておきます。あと、これから観る方は導入部分すらも知らないほうがいいと思うので、どうにか中身にいっさい触れず感想を書いてみます。
二宮氏が迷い込むのは地下鉄から地上に出るための通路。
ルールは簡単です。「通路のどこかに【異変】があれば引き返し、なければそのまま前に進む。」二宮氏演じる「迷う男」はメビウスの輪のような通路を延々と進み続けます。テラテラと光る白いタイル貼りの壁。美容整形や司法書士事務所などのありがちなポスターが並び、何の変哲もない。
「迷う男」はその通路を何度も何度も通り、観客も何度も何度も同じようなシーンを見せられる。
するとトランス状態になってきて、スクリーンを見ながら妙なことを考え始めるんですよ。「人はなぜ出口に向かうのか?」とかね。
そりゃあ、入口をくぐったからには出口に向かうっしょ?と思いますが、ニノこと「迷う男」が入口をくぐる場面は出てこないんです。ファーストカットは地下鉄に乗っているところです。じゃあ入ってもいないのになぜ出口を目指すのか?と考えると、この通路って「産道」なんじゃないか?とか思い始めるんですよ。
生まれる、あるいは生まれ変わるために出口を目指す。でも誰にとっても産道ということではなく、死ぬために通過する人もいる、ここはそういう場所なのではないか?と。
公式サイトで監督はこう言っています
「能のような【見立て】が出来ると思ったんですね。あの空間は何か? 異変とは何か? 例えばあの空間が人間の心の中で、そこで心に抱いている罪が可視化されていくのだとしたら。そう捉えたら、物語が急に動き出した。」
ワタシはあの空間を「産道」と見立てましたが、どう見立てるかは観客一人一人で異なるでしょうし、それを楽しむ作品なんでしょうね。
エレベーターの中(悪夢のエレベーター)とか、白い箱の中(CUBE)とか高い塔の上(Fall)など、ワンシチュエーションスリラーの舞台は様々ですが、「地下鉄の通路」という身近でかつストロークのある場所というのが素晴らしいし、そりゃあ映画化したくなるよねえ。難しい脚本に取り組まれた平瀬謙太郎氏は無茶苦茶面キレがよくて面白かった「宮松と山下」を監督された方でもあります。日本映画の才能、集まってるな〜って感じ。
光と影にこだわったシンプルな映像、無駄のないセリフ、幾重にもできる解釈、表情をほとんど変えずに場を支配できる役者陣(最後のニノさん凄いよ!!)…などなど、日本的なものが詰まっていて、非常に世界を意識した作品だなと思います。さすがはヒットメーカーが手掛けたことはある。これから海外でも公開されるそうですが、その評判も楽しみだなあ〜!!
「8番出口」、公式サイト貼っておきます。かなり充実していますが映画の「回答」にもなりかねないので、観てから読むことをおすすめします!
地味だけどすごく面白い「宮松と山下」レビューも貼っておきますね!