基本情報
公開年:2025年
監督&脚本:ギンツ・ジルバロディス
上映時間: 85分
あらすじ
<以下、公式サイトより引用>
世界が大洪水に包まれ、今にも街が消えようとする中、ある一匹の猫は居場所を後に旅立つ事を決意する。流れて来たボートに乗り合わせた動物たちと、想像を超えた出来事や予期せぬ危機に襲われることに。しかし、彼らの中で少しずつ友情が芽生えはじめ、たくましくなっていく。彼らは運命を変える事が出来るのか?そして、この冒険の果てにあるものとは―?
評価
2024年度アカデミー賞の長編アニメーション賞受賞の今作。なんて美しいのでしょう!大満足の85分でした。全ての人におすすめできますが、特に猫好きにはたまらん1本だと思います!「ノアの方舟」を彷彿させる物語なので(人間以外の)他の動物も出てきますが、猫だからこその気高さ、臆病さ、好奇心旺盛さ、孤独さ、甘えん坊さがお話を引っ張っていきます。実写のような精密さで描く猫ならではの仕草もかわいい!猫好きさんにはぜひ観て欲しい!です!!というわけで、以下ざっくり感想です!(ネタバレほぼなし!)
感想
初日、立川シネマシティの「極上音響上映」で観てきました。立川シネマシティには「極音」と「爆音」とのスクリーンがありまして、音に対しては大変にこだわりのある映画館です。お目当てにわざわざ遠くから来られる方も多いみたい。ワタシは初めて「極音」を体験しましたが、スクリーンの横にライブハウスかよってくらいにスピーカーが並べて吊るされているのに驚きました。
その極上の音響環境で観たせいもあってか、没入感がすごくてですね…。気がつくと身を乗り出しており、85分があっという間。映画を観たというより「体験した」という感じです。
主人公は一匹の黒猫。犬の群れが獲った魚を横取りしようとし、凶暴なワンコたちに追われる。森を疾走するシーンからその迫力と美しさにもう引き込まれてしまいます。
そしてある日、大洪水がやってきて世界が水にのまれる。本来水が嫌いな猫も水に飛び込まざるを得なくなる。そこへやってきた一艘の船。カピパラが乗っています。やがて乗客が増えていき…。というお話。
台詞はなく、猫はニャー、犬はワン、カピパラはフガフガいうだけ。それでもちゃんと彼らの気持ちは分かるし、とても豊かで深みのあるストーリーです。いやもう、映画って本来こういうものよね、って思いましたよ…。
んでですね、黒猫ちゃんももちろん、人間がつけた名前があるわけではなく、キャラ付けされているわけでもない自然の猫。さすがに若干の擬人化はしていますが(他の動物も含め)、ごく少しに留めている。よく猫のことを「神様が作った最高傑作」などと言いますが、この作品を見ると本当にそう思えますよ!!
…と、猫好きとしては鼻息が荒くなってしまう作品なのですが、一つ気になった部分がありまして。
動物たち、ほとんどメシを食わんのですよ。猫は1日でも絶食するとすぐ弱ってしまうのでずっと心配でして…。最後のほうでやっと魚を獲って食べるシーンが出てきてホッと一息。でもその食べる様子の描写が雑。猫、魚を丸呑みはしないって…。
いやファンタジーだし、そもそもの舞台すら見たことのない世界なんですから、メシ食べなくたって全然いいんです。でもここで「メシは?」とか、「メシの描写、そんなんでいいの?!」などと考えてしまうのって宮崎駿アニメで育った日本人だからなのかもしれません。刷り込みというのは恐ろしいですな…。
さて、監督はラトビアのギンツ・ジルバロディス氏。高校生の時から一人でアニメを作っていたそうです。今作は長編2作目。初めて他の人たちと一緒に作ったというのも驚きですが、今作を「Blender」という3DCGソフトで作ったというのも驚きでした。というのもBlenderって無料で公開されているソフトなんですって。つまりやろうと思えば誰でも自宅のPCで素晴らしいアニメを作れる。もちろん、動かすにはそれなりのスペックを積んだPCが必要ですが、昔に比べて世界への窓は大きく開いているわけで。何事も、やらない理由探しをしてる場合じゃないよなあ…なんて我が身を振り返って反省しましたよ。
公式サイト貼っておきます!
ついでに究極の猫映画「ボブという名の猫」レビューも貼っておきますね!にゃー!!