基本情報
公開年:2025年
監督&脚本:北野武
キャスト:ビートたけし(ねずみ)浅野忠信(井上刑事)大森南朋(福田刑事)仁科貴 宇野祥平 白龍
上映時間: 62分
あらすじ
<以下アマプラの紹介文より引用>
"ねずみ"と呼ばれる、一見冴えないが実は殺し屋の男が警察に捕まってしまう。釈放の代償として覆面捜査官となり、麻薬組織に潜入し、親玉との"偽の"直接取引を仕向けるが、予期せぬ展開が…。北野武監督が贈る、前半はシリアスなヤクザアクションとして、後半は同じ物語をセルフパロディのコメディとして描く二部構成。ねずみの運命やいかに。
評価
前回の記事の予告通り、早速観ましたよ!えーっと…。はっきり言ってワタシはあんまり面白いと思えませんでした。まあ、ちと気合を入れ過ぎたのかも知れません。少なくとも「よし、観るぞ!」と身構えて観るものじゃないな。スマホで観ても良いし、ながら見でいい。途中で止めてもいい。テレビのコント番組と同じ感覚で観るような作品です。きっと監督本人もそのつもりで作ったんだろうから失礼ではないと思います。
ちなみに「Rage(レイジ)」とは「激しい怒り、渇望、猛烈さ」といった意味。「アウトレイジ」はすごく良いタイトルだと思いましたが、今回はぶっ壊れてるってほどでもないんだよなあ…。予算があったというわりに派手な笑いもなくってさ…。ほら、ブロークンって言われると、こっちはお笑いウルトラクイズみたいなの期待すんじゃん?!
…
では以下、どのへんがあんまり面白くなかったのか?など、ざざっと感想です!(ネタバレなし!)
感想
2024年のベネチア映画祭で上映された際、「いや、まさかこういう感じで映画館で上映するとは思わなかったから…」と、むにゃむにゃ言い訳していた北野監督。実験作なら理解されなくたって堂々としてたらいいのに…と思っていましたが、実際観るとよく分かります。コレを権威ある映画祭で居並ぶ批評家に観られるってのは、そりゃあしんどいでしょう。頭を抱えている監督の姿まで込み込みのギャグ作品だと考えれば、面白くなくはないな。
さて、62分と短いこの映画、前半30分がシリアスパート、残りの30分がその前半をパロったコントです。
シリアスパートと言っても70代でお腹の出たビートたけしがキレキレの殺し屋役って自体無理があり、「これはどこかで観たヤクザ映画のパロディかな?」と思うわけです。
つまり、「あるあるヤクザ映画」のパロディが前半、そのパロディを前提にしたコントが後半になっているように見える。
ま、それは良いとして、前半はコントで言うところの「フリ」なわけですが、何ヵ所か「オチ」から逆算してフリを作ってるなと思うところがあって、そこに冷めちゃったのです。
そもそもが「この後、オチがありまっせ」と謳っているわけですから、ハードルが上がっている。ただでさえ「オチはどんなんかな〜?」とワクワク待っている観客に「ははあ、このパートはこうオトす気だな?」と思わせ、しかもその推測は当たってしまう。想像以上にはなりません。
「首」に出てきたアドリブコントが面白かったのは、こんなところでコントが始まるのかよ!という意外性があったから。今作のように、「さあ、笑わせてくれんでしょ?!」という期待が生まれちゃうとキツイ。
とはいえ、声を出して笑っちゃうところもありました。「首」に続いて大森&浅野コンビは楽しそうに演じてますね!取り調べのシーンは「その発想はなかった!」と感心したし、婦人警官が扉の前を通るカットは、後半意味が分かった時にすごい!と思いました。
ところで今作はAmazonのオリジナル作品。Amazon側が北野武監督に依頼して作ってもらったわけです。こういう時って、盛り上げるためにも同じ監督の作品を会員特典で放出しがちですが、今回は特になし。というか、アマプラに北野武監督作品、ほぼ入っていません。2025/2/14現在、確認できたのは「首」のみ。
うーん、お金の問題ではないんでしょうけど、正直、この作品につける予算があるのなら、期間限定でもいいから過去の北野作品観られるようにしてくんないかな…。と、Amazon様にお願いして筆を置きます…。
北野武監督が同作について語った「中田敦彦のYouTube大学」について書いています。
「首」レビューも置いておきますね〜