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【エンゼル・ハート】感想(ネタバレあり)/マツコが「人生を狂わされた」不穏映画の金字塔!なぜ濡れ場に“血の雨”が降る?

 

エンゼル・ハート [Blu-ray]

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  • ミッキー・ローク
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不穏度

70(100を満点として)

血まみれファックの衝撃たるや…!

あらすじ

<アマプラの紹介文より引用>

1955年、ニューヨーク。失業中の私立探偵エンゼルは、不穏な動きを見せるミスター・サイファーからの依頼を快く引き受けた。ハーレムの街からニューオリンズのブードゥー教の儀式まで、彼の捜査はやがて地獄への壮大な転落へと向かう。そして、エンゼルが質問した目撃者はすべて残酷に殺害され、警察はエンゼルを疑うようになる。パニックに陥り、追い詰められ、恐ろしい幻覚で疲れ果てた探偵は、任務を放棄しようとする。しかし、サイファーから信じられないような事実を聞かされる...。

評価

10年ぶりくらいに観た感想は「何かよう分からんけどやっぱ良いわ〜」というもの。不穏な雰囲気がすんごく良いということは覚えていたんですが、ストーリーはほぼほぼ忘れてたんですよ。いつものように忘れっぽい自分のせいだと思っていましたが、気がつきました。この映画、ものすごくストーリーがわかりずらいです。なんだか編集がゴチャっとしている感じ。でも、いいんです。ストーリーを追う映画ではありません。

怖すぎるのは嫌だけど、ゾワっとした雰囲気を楽しみたい人にはお勧め。ジャンプスケアで脅すような安いカットもないし。50年代の雰囲気とか、ブードゥー教の儀式とか、古いエレベーターとか、いちいち長い影なんかがゾクゾクする不穏感を煽ってて、お好きな人には堪らないはず。

いちおう「どんでん返しモノ」の枠に入るようですが、いまいちキレが悪くて中盤あたりで気づいてしまうんで、以下、気にせずオチまでネタバレしつつの感想です〜。

※ネタバレ前に観たい方はここからアマプラでどうぞ。

感想

血の雨と都市伝説

「人生観を決定づけた一本」。

テレビ番組でマツコ・デラックスさんがそう断言した作品がこの「エンゼル・ハート」。 主演はビジュアル絶頂期のミッキー・ローク、謎の依頼人にロバート・デ・ニーロ。この豪華な布陣で描かれるのは、単なる探偵物語ではありません。

記憶にこびりつく、あまりに美しくそしてあまりに不浄な「血の雨が降るベッドシーン」。 なぜ、愛し合う二人の上に、天からではなく“地獄”から降るような血の雨が注がれたのか?

そして、アメリカの音楽史に刻まれる「ある都市伝説」とは…?

あと今作を好きな人が必ず話題にするのがデ・ニーロのゆで卵の剥き方ですが、まあこれは観てもらうとして。

魂を売った男の悲劇

アマプラの紹介文ではわかりにくいのでストーリーを補足すると、NYの私立探偵であるミッキー・ロークは、デ・ニーロから、行方不明になったジョニーという歌手を探して欲しいという依頼を受ける。ミッキー・ロークはジョニーの痕跡を探し、ルイジアナへ。そこでジョニーの知人や元恋人と接触。妻は亡くなっていたがその娘に会うこともできた。しかし、肝心のジョニーにはなかなか辿り着けない。しかも会った人が次々と残忍な手口で殺されるので、犯人だと疑われてしまう。

最後の方にあるクライマックスが、血の雨が降るファックシーン。ミッキー・ロークはジョニーの娘と一夜を共にしたのです。

その後、真相が判明。

その真相は、ミステリーの枠を超えた「悪魔との契約」にありました。 実は、ハリーこそが探していたジョニー本人。ジョニーはかつて、歌手としての成功と引き換えに悪魔に魂を売り渡した男だったのです。その悪魔がデ・ニーロ。そうでしょうよ、異様な爪してたもんね。

しかし悪魔との契約から逃れるため、他人(ハリー・エンゼル)の心臓を喰らい、若者の肉体を乗っ取ったのです。ミッキー・ロークの役名は「ハリー・エンゼル」。エンゼルのハートというタイトルはここに繋がります。

ジョニーを探していたのはハリーの魂、自分を探させないために近しい人を殺していたのはジョニーの魂です。

1つの肉体に2つの魂。血の雨のシーンは、知らずに自分の実の娘を抱いてしまったという「近親相姦」への、神(あるいは悪魔)からの冷徹な回答だったというわけです。

まあ、なんちゅうか、「俺がお前でお前が俺で」って言うありがちな話ではあるんですが、途中で入ってくるブードゥー教に惑わされるので分かりにくい。ルシファーが出てくるってことはキリスト教の話だから、ブードゥー教関係ないよね?あるの?怪談に「因習村モノ」ってありますが、ブードゥーはおそらくアメリカの田舎の怖さの象徴として使われたのかと。

アメリカ音楽史に語り継がれる十字路の伝説

そして原作は「堕ちる天使」という小説だそうですが、このお話、ロバート・ジョンソンの伝説を下敷きにしているように思います。 

そう、「悪魔に魂を売って才能を得る」というプロット、音楽ファンならピンとくるはず。 伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソンの「十字路(クロスロード)伝説」です。

1930年代にブルースギタリストとして活躍したロバート・ジョンソン。ごく普通のギタリストだった彼がある時期家を離れると、帰ってきた時には異様に上手くなっていたと言います。それこそが十字路伝説。ミシシッピー州のとある十字路で、向こうから来た悪魔に魂を売り渡し、引き換えにギターのテクニックを手に入れた、というもの。

「エンゼル・ハート」のジョニーは歌手。劇中にもルイジアナの路上でタップダンスを踊る子供の姿やバンド仲間の演奏シーンがあり、アメリカの土着的音楽が流れているのはこの伝説を意識したからでしょう。

もちろん、ロバート・ジョンソンの十字路エピソードはいわゆる都市伝説ではありますが、彼、27歳で亡くなっているんですよね…。

それと思い出したのが、映画「私の男」(2014年・熊切和嘉監督)。浅野忠信と二階堂ふみの性交シーンに血の雨が降ります。この作品、ホラーでもスリラーでもないのでこのシーンが唐突すぎて印象に残っていたんですが、「エンゼル・ハート」へのオマージュなんですね。二人は義理の父娘ですから。ま、これはまた別の話。

ストーリーは初めと終わりだけ分かれば良くて、あとはたっぷり不穏感に浸りつつセクシーなミッキー・ロークを眺めていれば充分お腹いっぱいになれますのでぜひ一度はどうぞ!

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アマプラに時々ある現象ですが、字幕がヒドイです!ところどころ日本語を脳内補正しながら観る必要あり!

基本情報

公開年:1987年

監督&脚本:アラン・パーカー

キャスト:ミッキー・ローク(ハリー・エンゼル) ロバート・デ・ニーロ(ルイ・サイファー)リサ・ボネット(エピファニー)シャーロット・ランプリング(マーガレット・クルーズマーク)

上映時間:113分

 

アラン・パーカー監督作品で他に観たのは「ミッドナイト・エクスプレス」のみですが、こちらもとても良かったです。脚本がオリバー・ストーン。舞台はトルコの刑務所。重いし暗いんだけど最後までずっと手に汗握る面白さでした!