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【パンチドランク・ラブ】感想/正直ワタシにはハマらなかった…その理由は?

 

不穏度

25(100を満点として)

基本情報

公開年:2003年

監督&脚本:ポール・トーマス・アンダーソン

キャスト:アダム・サンドラー(バリー・イーガン)エミリー・ワトソン(リナ・レナード)フィリップ・シーモア・ホフマン(ディーン・トランベル)メアリー・リン・ライスカブ (エリザベス)          

上映時間:95分

あらすじ

<以下、アマプラの紹介文より引用>

孤独な実業家は、ハルモニウムを奏でる謎めいた女性と出会い、心揺さぶられる恋の旅へと踏み出していく。

評価

非常に感覚的な、映画らしい映画です。この手の作品って好きなケースも多いんですが、今作はワタシにはハマらなかったかな…。

いえね、昨年ポール・トーマス・アンダーソンの「ワン・バトル・アフター・アナザー」にえらく感動しましてね。上手な人だなあと思ったんですよ。

で、同監督作品でまだ観てないものの中から評価の高い今作を選んだのですが、まずもって「よく分からん」って感じです。そう、ハマらなかったのはあまりにも「分からない」からなんですよ。いちおう恋愛ものですがそれにしてはなんだか不穏だし…。

とはいえ評価されるのはよく分かるし、脳裏に焼きつくような印象的なカットが何枚かあったので、以下はそんな話と、分からないなりに考えたことを。

感想

冒頭。倉庫のような空間にポツンと置かれたデスク。派手な青いスーツを着た男性が一人電話をしている。猛烈な孤独感を感じるカットです。その男性(主人公のバリー)が表に出ると、猛スピードで走ってきた車が目の前で横転。その後、なぜか彼の前にオルガンのような楽器「ハルモニウム」が置かれます。

この謎の展開、後のストーリーに繋がるかと思いきや、何もなし。

ストーリーはといえば、心優しいけどキレやすい奥手の男性が美女と出会い恋に落ちる…というだけ。

冒頭のクラッシュ=彼の暴力性、ハルモニウム=恋 と考えれば納得はいきますが。

話はバリーの視点で描かれます。バリーはいちおう「実業家」だけれどオフィスは倉庫だしとても儲かっているようには見えない。その上、7人の姉がいて何かとからかいの対象になっているので奥手。

この「身内の女性たちにからかわれる」シーンの気まずさがなんとも言えません。異性を意識し始め恋する気持ちを大人にからかわれるのがどんなに嫌か、思春期の頃を思い出すとよく分かります。大人になってもこの環境だったらそりゃあ恋愛からは遠ざかるでしょう。

姉たちは皆うっとうしいのですが、とくにウザい姉がメアリー・リン・ライスカブ演じるエリザベス。

懐かしの「24」でクロエを演っていた人ですよ!(覚えてます?!)真顔でも仏頂面に見えるのに、さらに眉間にしわを寄せて早口で捲し立てる。いやあ〜、クロエ大好きだったんですが、今回の役も彼女にピッタリでとても良かったです。

さて、とくにハンサムでもなくうだつも上がらないバリーを何故か気に入るのがリナという美女。なんとエリザベスの同僚で、彼女から家族写真を見せられて一目惚れしたのだとか。

そしてバリーとリナの恋模様とカットバックで描かれるのがバリーが抱えるトラブル。とあることでゆすられているのですが、脳みそが湧き上がるような恋愛をしている最中なのでドーパミンドバドバの勢いで反撃していきます。というかバリーは元々衝動性と暴力性を持った人なのです。普段大人しいのに突然キレるタイプ。この特性、おそらく今は病名がついているんでしょうね。

劇伴はバリーの心の声。苛立っている時はこっちもイライラするような音楽、打って変わってリナといる時はロマンチックでムーディーな音楽がついています。実に極端です。第三者には分かりにくい、彼のような特性を持つ人の心の波を代弁しているのでしょう。

そして最後2人は恋人になってめでたしめでたし、で終わるのですが…。どうにも不穏なムードを感じてしまうのですよね〜。

その理由は、彼を欲したのはあくまで彼女だったということが一つ。つまり奥手のバリーにとって女性なら誰でも良かったのではないか?ということ。

そして何度か見せるバリーの暴力性です。付き合ってうまくいかなくなったら彼女を殴るんじゃないか…という予感がするのです。

リナのマンションでバリーが迷う印象的なシークエンスがあります。マンションの廊下の先には意図的に大きく「EXIT」と表記されている。バリーはこの廊下を行ったり来たり。最後はリナの部屋にたどり着きます。

ちなみに大きな「EXIT」は別のシーンにもありました。彼の衝動性と暴力性が露わになるシーンでバリーはまさに「EXIT」の下に立っています。

この「EXIT」をどう考えたら良いのか?

リナの存在が、自分でも制御できない衝動性と暴力性から脱出するための「出口」という見方もあるかも知れませんが、そう簡単にいくのでしょうか?バリーの特性は生まれつきと家庭環境がミックスされて出来上がった強固なものに思えるのです。それだけにこのカップルの行く末を思うとなんだかザワザワします。

それでも暗い映画ではないんですよ、面白いことに。

オープニングとエンディングの、水彩画が滲むように色が溶け合う美しい映像。バリーの色である青とリナの色である赤(ピンク)が両端に置かれ、その間の色がグラデーションで配置されている。「世界には色々な特性の人がいて、両極同士が恋に落ちてもきっと混じり合うことができる」というメッセージを感じます。

「パンチドランク・ラブ」、意味は「強烈な一目惚れ」らしいですよ。ちょっと不穏でちょっと明るい、不思議な映画でした。

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ポール・トーマス・アンダーソン作品レビュー、置いておきます。「ワン・バトル・アフター・アナザー」は2025年ナンバーワン映画です。こっちの映画の「感覚」はよく分かりました!言葉で表現できない感情が湧き上がる、素晴らしい一本。

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