映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【アナザーラウンド】ネタバレ感想/飲んで飲んで飲まれて踊れ


アナザーラウンド(Blu-ray+DVDセット)

基本情報

公開:2021年

監督:トマス・ビンターベア(他監督作品:偽りなき者)

脚本:トマス・ビンターベア トビアス・リンホルム

キャスト:マッツ・ミケルセン(マーティン)トマス・ボー・ラーセン(トミー)

マグナス・ミラン(ニコライ)ラース・ランゼ(ピーター)

上映時間:117分

あらすじ

<以下、公式サイトより引用>

マッツ演じる冴えない高校教師とその同僚3人は、ノルウェー人哲学者の理論を証明するため、仕事中にある一定量の酒を飲み、常に酔った状態を保つというとんでもない実験に取り組む。すると、これまで惰性でやり過ごしていた授業も活気に満ち、生徒たちとの関係性も良好になっていく。同僚たちもゆっくりと確実に人生が良い方向に向かっていくのだが、実験が進むにつれだんだんと制御不能になり…。

感想

飲んで飲んで飲まれて飲んで

酒、飲んでます?ワタシは「あんまり…」です。くそう、つまらん人生だ!生来酒に弱い体質で日本酒や赤ワインで気持ち悪くなってしまいます。それでも酔っ払うことと酒の席は好きなので若い頃はガフガフと飲み泥酔しては色々とやらかしました…ううう(思い出して頭を抱えている)

さてこの作品、男4人が昼間っからずっと飲んでます。「人間の血中アルコール度は常に0.05%が良い」という哲学者の理論を証明するためです。

厚労省のサイトを見ますと、血中濃度(%)が「0.02~0.04:爽快期」「0.05~0.10:ほろ酔い期」「0.11~0.15:酩酊初期」「0.16~0.30:酩酊極期」「0.31~0.40:泥酔期」「0.41~:昏睡期」となっています。

0.05%はほろ酔い期の初期ってことですね。確かに調子は良さそうです。しかし案の定映画の主人公たちは「0.05%以上でもいけんじゃね?」とタガを外していきます。そりゃあかんやろと思うとやっぱりあかんことになります。基本すべてこの調子で「こうなるだろうな」と思った方向に行くし「何か原因あるんやろな」と思うとやっぱり何かある。ひねりがないというか素直なストーリーです。安心して観られるなあ、と思いましたが、退屈っちゃあ退屈。この映画、リメイク権をどこかが取得したようです。リメイクって、作り手側の「オレならもうちょっと上手く創れる」という気持ちが少しは入っていると思うんですが、まさにうん、それわかる!な感じ。

さて、厚労省のサイトを調べたついでに「1日の適正アルコール量」や「女性の平均アルコール摂取量」などを見ていたら、毎晩晩酌に発泡酒を欠かさないワタクシは「一般女性の中の7%しかいない酒好きな女」に入ることが判明しました。「こんなもん飲んでるうちに入らねえ」などと思っていましたが、すみません、飲んでます。訂正します…。

デンマークの酒事情と高校事情がわかります

冒頭から若い子がビール飲んで吐いています。この子たち高校生らしい。「ん?」と思っていたら、デンマークでは最近まで16歳から飲酒OKだったとか。(さすがにアレなので18歳に引き上げられたらしい)そうなんだ…。その後も酔っ払いが電車で騒いだり、主人公らが酒場で大騒ぎして路上で寝たり。「日本は酒呑みに甘い。海外じゃそんなみっともない酔っ払いはいない」という話を聞いたことがありますが、その海外ってたぶんアメリカのことですよね?少なくともデンマークはひどいんだな、ということがわかりました。親近感。

それから4人の酔っ払いの職場として出てくるデンマークの高校も新鮮(※4人は高校の先生です)。「良い授業を受ける権利」を主張する生徒たち。でもちゃんと勉強して試験で結果を出さないと卒業はできない。へええ〜。こういうところでそれまで知らなかった国の事情が分かるのは、映画を観てて面白いな〜と思うことの一つです。

マッツのダンスを見るためにある

以下、ネタバレ注意!です。

さて、血中アルコール度を増やしていった4人。なぜそんなに飲みたいのか?理由も徐々に見えてきます。4人の中のひとり、一番高齢で愛犬と2人暮らしのトミーは止めてくれる人がいなかったのでしょう、やめられなくなり昼間から泥酔、ヨットから海に転落して亡くなります。自殺か?という考察もネット上にはありましたがワタシは違うと思います。乗る前に救命ベストをつけようとしているし(酔っているので上手く着られず放り投げますが)、介助が必要な愛犬を大切にしてますし、事故でしょう。

悲しい顛末ではありますが「酔っ払いが酔っ払いとして死ぬ」のは幸せなことだと思います。それを象徴するように、残された3人は葬式の後、卒業式で飲みまくっている学生たちと共にやっぱり飲んで、主役のマッツ・ミケルセンは踊ります。この最後の素晴らしいダンスのためにあるような映画ですよ!タイトルの「アナザーラウンド」は「もう一杯!」という意味だそうです。人生いろいろある。辛いことばかりだ。だから飲んで踊るのさ。さて日が暮れてきたし今日も飲むかな〜。もう一杯!

人生変わった度

★★★

飲んで飲まれて生きていく

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アナザーラウンド(字幕版)

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  • マッツ・ミケルセン
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