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【マイ・ブロークン・マリコ】評価とネタバレ感想/原作漫画にあって映画にないもの


マイ・ブロークン・マリコ [Blu-ray]

基本情報

公開年:2022年

監督:タナダユキ

脚本:向井康介 タナダユキ

キャスト:永野芽郁(シイノトモヨ)奈緒(イカガワマリコ)窪田正孝(マキオ) 尾美としのり(マリコの実父)吉田羊(タムラキョウコ/マリコの義母)

上映時間:85分

あらすじ

<以下、公式サイトより引用>

ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨ(永野芽郁)を襲った衝撃的な事件。それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという報せだった――。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、最初で最後の“二人旅”がいま、始まる。

感想

評価は「正直、微妙…」

去年映画館で観たいなと思いつつ、観そびれていた一本。親友の遺骨と一緒に旅をするって、なんか銀河鉄道の夜っぽくていいなと思いまして。えーっと観た感想は…正直なところ「微妙…」というのがワタシの評価です。あまりに芝居芝居しているというか、前半、セリフの説明が多く「いや、独り言言わせんでも見たら分かるから」という場面が多かったのが気になりました。が、きっと観客のターゲットが違うんでしょう。KADOKAWAですし、ティーン〜若い世代に観て欲しかったんでしょうね。製作者もターゲット外のおばちゃんに観られて文句を言われたくないと思います、すみません。

しかし後半窪田正孝さんが登場するとさすがというか画がぐっと引き締まります。いくつか「わあ、いい画だなあ〜」というカットもありました。とくに何度かあるシイノがご飯を食べるシーン。亡くなった者と生きている者との対比の象徴なのでしょうが、永野芽郁さんの豪快な食べっぷりもあってとても効いています。85分という短さの中で心に残るショットがあったので充分かと。んで、もともと原作の漫画が人気だったということで、観終わった後すぐさまLINE漫画で買って読みました。いいんですよ、これがすごく!

漫画にあって実写映画にないもの

原作もタイトルは同じ「マイ・ブロークン・マリコ」。ストーリーはもちろんセリフも映画と重なるものが多いです。そしてこちらも映画同様、単行本1冊にみたない短さ。漫画にはあまり詳しくないですが、誰かが「新井英樹っぽい」と書いていて(あ〜、それ!)と思いました。ヤンキー気質でがらっぱちのシイノは考えるより先に行動する派。大食漢で大酒飲みでずっとタバコをふかしている。この主人公が疾走することで物語を進めていきます。一方、カットバックで亡くなってしまったマリコとの思い出が挟まってくるのですが、それがなんとも残酷で静謐で。この対比が「エモさ」を生んでいるように思います。実写の表現が追いつかなかったのはシイノが醸し出す「疾走感」ではないでしょうか。ラスト近く遺骨で暴漢をぶん殴り海に落ちるあたりの漫画のコマはどれもすごいですが、「止まってる絵」だからより疾走感を感じるのですよね…。漫画を実写映画にするの難しいよねえ、とつくづく思いました。

あ、シイノ役の永野芽郁さんたぶんですけど親指の爪だけ綺麗に伸ばしてて他の爪を短くしてるの、ヤンキーっぽくてとても良いです!

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