映画ごときで人生は変わらない

映画大好き中年主婦KYOROKOの感想と考察が入り混じるレビュー。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【アマデウス】サリエリ地獄から這い出す方法


アマデウス ディレクターズカット [Blu-ray]

基本情報

公開年:1984年

監督:ミロス・フォアマン(他監督作品:カッコーの巣の上で ラリー・フリント)

キャスト:F・マーリー・エイブラハム(サリエリ)トム・ハルス(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)エリザベス・ベリッジ(コンスタンツェ)

上映時間:160分

作品紹介

<以下、公式サイトより引用>

凍てつくウィーンの街で自殺を図り精神病院に運ばれた老人。彼は自らをアントニオ・サリエリと呼び、皇帝ヨゼフ二世に仕えた宮廷音楽家であると語る。やがて彼の人生のすべてを変えてしまった一人の天才の生涯をとつとつと語り始める・・・。若くして世を去った天才音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの謎の生涯を、サリエリとの対決を通して描いた話題作。

1984年度アカデミー賞8部門(作品・監督・主演男優賞他)を獲得。

 

アマデウス症候群とは?

いよいよ日本時間で明日、アカデミー賞(米国)の授賞式ですね。その歴代アカデミー作品賞受賞作の中でも名作中の名作でDVDを持っているほど好きな「アマデウス」を紹介しようかなと思ったんですが、あまりにも有名すぎて今さらなのでストーリーではなく独り語りにしようかと。

「アマデウス症候群」という言葉をご存知でしょうか?これ、漫画「BANANA FISH」の中に出てくるセリフでてっきり精神医療や心理学の世界で使われる言葉だと思っていたのですが、どうやら作者の造語のようです。「憧れを抱きすぎて好きなのに憎い」という意味合いで「アマデウス症候群だな」と言う場面があるんです。ああ、映画アマデウスの中でサリエリがモーツァルトに抱いていた感情のことだな、と一発で分かるのがすごいですね。

秀才作曲家サリエリは清く正しく生きる宮廷音楽家。対するヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは下品極まりない男。ところがソイツが作る音楽はまるで神の囁きのような美しさ。自分がどんなに努力しても創ることができない憧れの音楽をあの下品な男が創るとは!天才だと認めざるを得ない。素晴らしい!がしかし憎い…!ぐぬぬ…

さて、自分が目指す世界ですぐそばに「天才」がいるというのは誰しも心穏やかではいられませんね。自分ごととして振り返ってみるとやはり人の才能に嫉妬することがありました。同業者で同じくらい忙しいはずの人が小説を書いてデビュー、映画化もされるほどのヒットになった時は焦りましたよ。文才はもちろん、出版社にコネクションを作り企画を通すといった才能まであったのです。それを知った時のワタシの気持ち。羨望やら自分の情けなさやらが入り混じってとても一言では言い表せません。自分の才能と努力が足りないせいなのに嫉妬に燃える自分がとても嫌でした。(この状態を以降「サリエリ地獄」と表現します)

そしてこのサリエリ地獄から抜け出せたきっかけはなんだったのか、つらつらと考えていたら思い出しました。それはワタシよりひどく嫉妬して突如彼の悪口を言いふらしはじめた人がいたからです。明らかに嫉妬なのに真っ赤になって必死に悪口を言うその人の醜さと言ったら。あー、自分も人からそう見えたのかもしれないな、とスーッと気持ちが落ち着いていきました。人の振り見て我が振り直すの典型ですな。

もしもサリエリの前にもこんな「自分よりひどい嫉妬をする人」がいたら、映画で描かれた悲劇は生まれなかったでしょう。しかしそうはらならかった。サリエリの悲劇は彼が「批評家としても一流」だったからです。アマデウスの創る音楽の素晴らしさを彼より深く理解していた人はいなかったのです。だから誰より深く嫉妬した。

でもね、醜悪さを全開にして悪口を言っていたその人だってワタシからみたら素晴らしい才能があったんですよ。そう、サリエリも作曲家としては秀才止まりでも批評家としては天才だった。長所って自分では気が付かないんですよね。サリエリ、あんた凄い人だったんだよ…

人生変わった度

★★★★★★

サリエリ地獄も振り返れば良い思い出。

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アマデウス(字幕版)

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  • F・マーリー・エイブラハム
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この他の歴代アカデミー作品賞受賞作についても書いてます〜。

1992年の受賞作「羊たちの沈黙」。スリラーでは初の作品賞となりました。

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1974年の受賞作。ネタバレしてきた人がいたら東京湾に沈めていいですマジで。

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1963年受賞作。長いけど一度は観てみて!近代史の勉強にもなるよ!

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