不穏度
30(100を満点として)
病気のこと不穏っていうのもなんですが
基本情報
公開年:1993年
監督:ジェレマイア・チェチック
キャスト:ジョニー・デップ (サム) メアリー・スチュアート・マスターソン (ジューン) エイダン・クイン(ベニー)
上映時間:99分
あらすじ
幼い頃に家事で両親を亡くして以来心を病んでいるジューン。兄のベニーはそんな妹をとても大切にしている。主治医はジューンを施設に預けるよう勧めるが、ベニーには決心がつかない。同僚のエリックには自分の人生を大事にしろと忠告されている。ある日友人の家でポーカーに負けた兄妹は、そのツケで勝負の相手のマイクの家に居候しているいとこのサム(ジョニー・デップ)を引き取る破目に。バスター・キートンに憧れそっくりな格好をしているサムは読み書きもできず、ほとんど口もきかない風変わりな青年。だがジューンとは意気投合。やがて2人は恋に落ちるが、ベニーは激怒。サムを家から追い出してしまうが…。
この作品の存在を知っている人、世の中にどのくらいいるんだろう…。若干不安です。ってか、なんでこんな良い映画があまり知られてないんだろう?ほっこり系のとても爽やかな作品なのに。ジョニー・デップ出てるのに。99分という短さもすんごく良いのに…などぐちぐちと言っていても仕方ないので見どころ3つ紹介しますね〜。
見どころ3点
ジョニー・デップが良すぎる
ジョニー・デップ、今やすっかりジャック・スパロウの人になってしまいましたが若い頃はアート系作品への出演が多かったですよね。この作品公開当時は30歳。「シザーハンズ」のハサミ男、「ギルバート・グレイプ」の家族のために犠牲になってる孤独な男性、史上最低の映画監督と言われた「エド・ウッド」などと並び「世の中に適応できない変わり者」を演じたら右に出る者ナシの頃です。実際のジョニー・デップも不安定な家庭で育ち10代の頃は自傷行為、ドラック、アルコールに溺れて高校を中退しているそうで、そんな「居場所のなさ」が彼のなんとも言えない暗い目を作ったのでしょう。
もちろん今作のサムも「変わり者」(現代ならはっきりとした病名がつくと思います)。しゃべらず、表情もほとんど変えないのに(だからこそ、か?)ジョニー・デップという役者の持つ地の良さがじわじわと迫ってきて、ワタシ的にはジョニデ作品の中のベスト3に入りますわよ。
兄と妹は共依存の関係?
「妹の恋人」。良い邦題ですが原題は「ベニー&ジューン」です。つまり「兄と妹」。実はこれ、兄と妹の話なんです。ジューンは、こちらもはっきりとは示されませんが統合失調症だと思われます。その妹の面倒を見ることが最優先の兄、ベニー。
話は飛び、ワタクシごとになりますが…4年前父が脳失血で倒れて半身不随になり、母親がメインとなって介護をしています。そして私たち夫婦もそれだけが要因ではありませんが実家の近くに引っ越しをしました。当初はいろいろと大変でしたが、母親も介護生活に慣れ以前ほどストレスは感じていないようです。「父の面倒を見る」ことにおそらく誇りや存在価値を見出しているんだろうな、とも。そう、ベニーの姿は母親と被ります。しかしワタシの両親の関係と異なるのは面倒を見られる側のジューンは若くて身体の自由があり、未来に希望を持っていること。(や、父に希望がないということではなく、年寄りなんでね…)この物語は、兄のベニーこそが実は病気の妹に依存していたことに気づき、その関係から卒業するというものなんです。「面倒をみてやっている」と言っている側が依存している…親子、夫婦、上司と部下…本当によくありますが本人は気が付かないやっかいなもの。ん〜、自分も気をつけよう…。
アイロンでパンは焼けるのか?
精神的な病気を抱えた2人が恋に落ち、素敵なハッピーエンドを向かえるこの映画。ファンタジーです。そもそもサムの存在自体がかなりファンタジー。などということは分かっていてもどうしても現実に真似したくなるシーンがありまして。確か最後の方だったと思うのですが、サムが熱々に熱したアイロンをパンにジュっと当ててトーストを作るっていうシーンです。
ワタクシ、一人暮らしをしてはじめに作った料理がそれです。食パンにアイロンをジュっ。どうなると思います?軽く当てただけでは焦げ目はつきません。数秒間ぎゅーっと当てると焦げ目はつきます。きつね色です。美味しそうです。が、しかしパンがぺったんこになって固くなります。食べられたもんじゃなかったです。
ね、ファンタジーでしょ。
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