映画ごときで人生は変わらない

感想と考察が入り混じる映画紹介ブログ。うっすらネタバレあり。

【NOPE(ノープ)】UFOと思いきや…?!がっつりネタバレ注意! 

 

 基本情報

公開:2022

監督:ジョーダン・ピール(他作品「ゲット・アウト」「アス」)

主な出演者:ダニエル・カルーヤ    キキ・パーマー    スティーヴン・ユァン

 あらすじ

<以下「NOPE」公式サイトより引用>

舞台は南カルフォルニア、ロサンゼルス近郊にある牧場。亡き父からこの牧場を受け継いだOJは半年前の父の事故死を未だに信じられずにいた。形式上は飛行機の部品の落下による衝突死とされている。

しかしそんな「最悪の奇跡」が起こり得るのだろうか?

何より、OJはこの事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。

牧場の共同経営者である妹のエメラルドはこの飛行物体を撮影してバズり動画を世に放つことを思いつく。やがて起こる怪奇現象の連続。それらは真の「最悪の奇跡」の到来の序章に過ぎなかった。

 感想

一言で言うと「すっげ面白かっった!」

ところで私はフリーランスで仕事をしているのですが、まあ色々あってここ数年あまり仕事がなく、ダブルワークでもすっかと25年ぶりくらいに履歴書を書き契約社員になったものの、新しい仕事についていけず、わずか4ヶ月で辞めてしまいました。

それまで「仕事辞めたい」と呟く人に「辞めたらいいじゃ〜ん!」などと軽く言っていたのですが、50歳にしてはじめて知りました。仕事を辞めるってこんなみじめな思いをするのね(涙)とにかく自己嫌悪でいっぱいで辞める前後の2ヶ月は1日5回は「死にたい…」と言っていたような気がします。はい、そんな時に見た映画です。

もう一度言う。

「すっげ面白かった!!!」

ただ、「仕事出来ない、ワタシダメニンゲン、ツライ…」という心理状態の中観たことで、おそらく元気はつらつ状態で見た時にはスルーしたであろうところにとくにぐっさりと刺さってしまいました。

父から牧場を引き継いだOJ。実はこの牧場は、ハリウッドに撮影用の馬を提供する牧場なのです。真面目だけど口下手で営業も下手なOJ、いつもの素朴な家から華やかな映画の撮影現場に馬をつれて赴いたものの、うまく立ち回れず、あげくのはてに俳優に怪我をさせてしまいます。「あああ〜仕事できひん人やん!私と同じやん!」そんなところで共感してどうする…って感じではありますが、この「周りはみんな慣れてる人・できる人」の中でオドオドと目を伏せて冷や汗をダクダクかいているOJに同情してしまうと、正反対の性格だけどいざという時に助けてくれて「同志」である妹の存在が輝いてくるわけです。この2人の関係がとても良くて、しみじみしちゃうんですよ。いざという時は身内!最後に残るのは身内!身内は大切にしよう!そんな気持ちを新たにさせていただきました。

さてこの映画、何が面白いって、外側は「未確認飛行物体が出てくる大作映画」なのに

・兄妹愛(家族愛)←ワタシにぐっさり刺さったヤツ

・撮影における動物と人間の関係 ←後述

・「黒人」という「問題」

・バズりゃええんか!?

・スペクタル中毒

などなど様々なテーマが内包されているから、見た人の考え方や立場、仕事によって「〇〇についての映画」と答えが違ってきそうなところ。私にとっては「しみじみとした兄妹愛の映画で、なんかUFOみたいなの飛んできて逃げるシーンもある」という作品になりました。

ところでこれ、すでに100万回くらい言われていると思うけど、ジョーダン・ピール監督はシャマラン監督に芸風が似てるよね。

風呂敷は広げ方が大切なのであって中がカラでもいいんじゃ!という方におすすめです。

さて。

 ここからがっつりネタバレです。

ストーリーのネタバレというかキモの部分のネタバレです。

なんかいますよね、空に。

UFOですかね?UFOは未確認飛行物体ですよね。

物体ではないんですよね、あれ。

それ自体が生物なんですよ、あれ。

そう、まさに空飛ぶマンタ。

宇宙人は遠い宇宙からわざわざ地球にやってきた、と考えるから知能が高いと想像しがちです。でもなんとなく宇宙にふわふわ漂っていて、餌がありそうな星にちょっと立ち寄ってみたという動物、否、ケダモノがいてもおかしくありませんわな。それで設定が「馬を調教する牧場」。そして伝説のホームコメディ「ゴーディ・ゴー・ホーム」の生き残りリッキーが出てくるというわけですよ。

リッキーについてちょいと説明しますと、OJの牧場の隣にある西部劇テーマパークの運営者で、子役としてTVショーに出ていたことがある男性です。そのTVショー「ゴーディ・ゴー・ホーム」はゴーディというチンパンジーとその飼い主である家族が織りなすコメディ。人気を博していましたが、ある日、撮影現場で悲劇が起こります。普段はおとなしいゴーディが突然暴れ出し、リッキー以外の出演者をミナゴロシにしてしまうのです。リッキーは一人生き残れたこの経験から「自分は、自分だけはケダモノを調教できる」と思い込み、例の空飛ぶマンタを手懐けようとするんですね。

いや、うちにも猫がいるんでわかるんですけどね。奴ら従順に見せかけてそうでもないですから。食べ物と安心を与え、日々「かわいいねえ〜」「良い子ちゃんでちゅね〜」と言って聞かせてどうにか野生を抑えているだけですから。

人間と人間以外の生き物はみな対等なはず。どちらかがどちらかを「飼う」なんてことはなく、ウィンウィンだからうまくいくんです。大切なのは相手が人間だろうがケモノだろうが、相手を敬う気持ちなのではないでしょうか?

なんてことも考えさせられたりしました。こういうノンジャンルっていうんですか?「意外な気持ちにさせられる」映画、私は大好きです。

 人生変わった度

★★

よく空を見上げるようになりました。(いやマジで)

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NOPE/ノープ(字幕版)

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      • ダニエル・カルーヤ