映画ごときで人生は変わらない

感想と考察が入り混じる映画レビューブログ。うっすらネタバレあり。週1〜2回更新中!

【NOPE(ノープ)】ネタバレ感想と考察/人とケモノは分かり合えるか?!

 

 基本情報

公開:2022年

監督:ジョーダン・ピール(他作品「ゲット・アウト」「アス」)

主な出演者:ダニエル・カルーヤ    キキ・パーマー    スティーヴン・ユァン

上映時間:130分

 あらすじ

<以下「NOPE」公式サイトより引用>

舞台は南カルフォルニア、ロサンゼルス近郊にある牧場。亡き父からこの牧場を受け継いだOJは半年前の父の事故死を未だに信じられずにいた。形式上は飛行機の部品の落下による衝突死とされている。

しかしそんな「最悪の奇跡」が起こり得るのだろうか?

何より、OJはこの事故の際に一瞬目にした飛行物体を忘れられずにいた。

牧場の共同経営者である妹のエメラルドはこの飛行物体を撮影してバズり動画を世に放つことを思いつく。やがて起こる怪奇現象の連続。それらは真の「最悪の奇跡」の到来の序章に過ぎなかった。

 感想のようなもの

SF以外の要素が盛りだくさん

初っ端から自分語りで恐縮ですが、色々あって25年ぶりくらいに履歴書を書き契約社員になったものの新しい仕事についていけず、わずか4ヶ月で辞めてしまいました。…うう、仕事を辞めるってこんなみじめな思いをするのね(涙)とにかく自己嫌悪でいっぱい、むちゃくちゃ落ちている時に見た映画です。

ワタクシ的評価は…「すっげ面白かった!!!」

ただ、そんな心理状態の中観たことで、おそらく元気はつらつ状態で見た時にはスルーしたであろう意外なところにぐっさりと刺さってしまいました。それは「兄妹愛」です。

父から牧場を引き継いだOJ。ハリウッドに撮影用の馬を提供する牧場です。真面目だけど口下手で営業も下手なOJ、いつもの素朴な家から華やかな映画の撮影現場に馬をつれて赴いたものの、うまく立ち回れず、あげくのはてに俳優に怪我をさせてしまいます。「あああ〜仕事できひん人やん!私と同じやん!」前述のように落ち込んでいたワタシはOJにすっかり共感してしまいました。「周りはみんな慣れてる人・できる人」の中でオドオドと目を伏せて冷や汗をダクダクかいている…わかります。こうなると正反対の性格だけどいざという時に助けてくれる「同志」である妹の存在が輝いてくるわけです。この2人の関係がとても良くて、しみじみしちゃったんですよ。

さて、なぜこんな自分語りから入ったかと言いますとこの映画、大枠は「未確認飛行物体が出てくるSF大作映画」なのにそれ以外の要素がたくさん入っているので観る人によって「どんな映画なのか?」がプリズムのように変わって見えるのです。今流行りのノンジャンルってやつです。

「それ以外の要素」というのは例えば…

・兄妹愛(家族愛)の要素←落ち込んでいたワタシにぐっさり刺さったヤツ

・動物と人間の関係について←ペットと暮らしている人はグッとくるところ 

・「黒人」という「問題」←社会問題意識の高い人にはこれ

・バズりゃええんか!?今どきのSNS問題

・スペクタル中毒

などなど。SF映画は苦手でもきっとどこかに「刺さるパーツ」があるはず。終わった後「どこにグッときた?!」と話し合えるように、友達と大勢で観ても楽しいかも知れません。

「風呂敷広げ」も芸のうち!

またすでに100万回くらい言われていると思うけど、ジョーダン・ピール監督ってシャマラン監督に芸風が似てるよね。風呂敷は広げ方が大切なのであって中はカラでもいいんじゃ!という方におすすめです。物語というのはいかに次の展開に興味を持ってもらえるかが大切。起承転結の中で一番ダラけ気味になる「承」でどんだけ客離れを防ぐか。ジョーダン監督の「それっぽい演出」が冴え渡ります。正直ここがおもしろければオチが弱くてもいいんすよ。(ワタシは決してこの作品のオチが弱いとは思いませんが、そのような評価も多いのでね…)

さて、上記の要素の中でもう一つ刺さったのは「動物と人間の関係について」というテーマです。これについていろいろ考えちゃいました。ここから考察です。

以下、ストーリーのネタバレというかキモの部分のネタバレになっています!要注意!

考察のようなもの

馬とチンパンジーと〇〇

この映画、なんかいますよね、空に。UFOですかね?UFOって「未確認飛行物体」ですよね。物体ではないんですよ、あれ。それ自体が生物なんですよ、あれ。

そう、まさに空飛ぶマンタ。

宇宙人は知能が高いと想像しがちです。でもなんとなく宇宙にふわふわ漂っていて、餌がありそうな星にちょっと立ち寄ってみたという動物、否、ケモノがいてもおかしくありませんわな。そして「人間とケモノ」というこのテーマをフィーチャーするために舞台を「馬を調教する牧場」、そしてチンパンジーと共演した伝説のホームコメディ「ゴーディ・ゴー・ホーム」の生き残りリッキーを登場させたのです。

ケモノを手懐けることはできない

リッキーについてちょいと説明します。リッキーはOJの牧場の隣にある西部劇テーマパークの運営者で、子役としてTVショーに出ていたことがある男性です。そのTVショー「ゴーディ・ゴー・ホーム」はゴーディというチンパンジーとその飼い主である家族が織りなすコメディ。人気を博していましたが、ある日撮影現場で悲劇が起こります。普段はおとなしいゴーディが突然暴れ出し、リッキー以外の出演者をミナゴロシにしてしまうのです。リッキーは一人、重傷も負わず生き残ることができました。(もう一人の生き残りは顔の皮を剥がされています)リッキーはこの経験から「自分は、自分だけはケダモノを調教できる」と思い込み、例の空飛ぶマンタを手懐けようとするんです。

でもこれ、おそらくなんですが…ゴーディがリッキーを襲わなかったのは本当にただの偶然です。ヤられる前にゴーディが射殺されただけです。しかし幼いリッキーにはこの強烈な記憶が成功体験になり、「凶暴な動物も手懐けられる自分」を作り上げてしまったのでしょう。そして同じ悲劇が起きるというわけです。

いや、うちにも猫がいるんでわかるんですけどね。奴ら従順に見せかけてそうでもないですから。食べ物と安心を与え、日々「かわいいねえ〜」「良い子ちゃんでちゅね〜」と言って聞かせてどうにか野生を抑えているだけですから。

人間と人間以外の生き物はみな対等なはず。どちらかがどちらかを「飼う」なんてことはなく、ウィンウィンだからうまくいくんです。大切なのは相手が人間だろうがケモノだろうが、相手を敬う気持ちなのではないでしょうか?

なんてことも考えさせられたりしました。こういうノンジャンルっていうんですか?「意外な気持ちにさせられる」映画、私は大好きです。

 人生変わった度

★★

よく空を見上げるようになりました。(いやマジで)

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NOPE/ノープ(字幕版)

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